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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年04月10日

TM 大宮×新潟@熊谷(3、4本目ver.)

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201104100113000[1]orange.jpgいわゆる主力組の登場となった3本目。このカードはリーグ再開後、3試合目となる5月7日にNACK5でのゲームが組まれています。また、もうおなじみですが大宮の鈴木淳監督は前新潟監督。そして新潟の黒崎久志監督は鈴木監督政権下のコーチであり、元大宮の選手。さらに言えば新潟の白井淳GKコーチも元大宮の選手&GKコーチ。結構、縁のあるチーム同士の対戦です。
メンバーは大宮がGK北野。DFは右から渡部、深谷、キム・ヨングォン、村上。中盤はボランチが青木と上田、右SHが東、左SHが藤本。2トップはイ・チョンスとラファエルです。一方の新潟はGKに東口。DFは右から藤田、千葉、石川、酒井高徳。中盤は小林と本間のドイスボランチで、SHは右が三門で左がチョ・ヨンチョル。前にはミシェウとブルーノ・ロペスが入ります。
まず、最初にチャンスを掴んだのは大宮。3分、村上、藤本、イ・チョンスと繋いで東のシュートは東口を強襲。8分にも藤田のバックパスが弱くなった所に、左SBの村上がダッシュ。間一髪でクリアとなりますが、村上が2つのチャンスに顔を出すなど、積極性を発揮します。ところが徐々にリズムを掴み始めたのは新潟。14分に右でボールを持った三門が素晴らしいサイドチェンジ。チョ・ヨンチョルの落としを受けた酒井はエリア内へ侵入。シュートまでは行けなかったものの、このプレーが象徴するようにうまくサイドの幅を使う形が出てきたことで、攻撃が回り出します。中でも当然と言えば当然ですが、やはりチョ・ヨンチョルの推進力は特筆モノ。黒崎監督も「ヨンチョルは行けちゃうからね。行くなと言う訳には…」と苦笑したように、ある程度ボールを持ったら勝負というのは前提で、実際にそれがチャンスに結び付いてしまいます。鈴木監督も「サイドで的を絞れず、崩されることもあった」と言及していますが、彼をどう封じていくかは今後も対戦相手を悩ます部分でしょう。ただ、試合後に黒崎監督が「サイドに人がいて、真ん中にいなくなっちゃう。外、外に逃げてしまうところはある」と話していたのも、非常に興味深いポイントだと感じました。
さて、大宮は開幕戦で選択した4-2-3-1ではなく、4-4-2でスタート。「チョンスとのプレーは慣れ親しんでいるし、システムは問題ない」とはラファエル。実際、新潟のCB石川が「食い付くと裏を取られるというのもあって、クサビに対して甘くなった部分があった」と振り返ったように、2トップはしっかりボールを収められ、ここからはチャンスの萌芽が見られたのですが、今日の両SHを務めた東と藤本はどちらかと言えばサイドプレーヤータイプではなく、どうしても中央に入ってくることが多かったので、バイタル付近が混雑していた印象です。その影響もあってか、前半はボランチの上田がほとんど攻撃に絡んできませんでした。ビルドアップ能力は最終ラインも含めて非常に高い中で、ややサイドの使い方には課題が残ったかもしれません。40分は新潟。ブルーノが倒されて得たFKを藤田が直接狙うも、バーの上へ。41分も新潟。中盤でミシェウの巧みなヒールを起点に、途中出場の川又が左サイドから絶妙のクロスも、ブルーノのボレーは枠に飛ばず。3本目はスコアレスで45分が経過しました。
4本目はいきなり素晴らしい高精度サイドチェンジの応酬で幕開け。48分、千葉のレーザービームがチョ・ヨンチョルへ。直後、キム・ヨングォンのレーザービームがラファエルへ。Jでも屈指の好フィードキッカーがスタンドを沸かせます。しかし、この直後には新潟がゴール前で信じられないクリアミス。青木のシュートは東口が弾き出しますが、やや直前とは落差のあるプレーでした。51分は新潟にチャンス。うまくボールを奪った千葉からミシェウへ。川又のパスからブルーノが潰れ、酒井のシュートは北野がファインセーブ。そしてこのCKから生まれたゴール。藤田のボールに合わせたのは「狙い通りの所に来たのでバッチリでした」という石川。トータルスコアでも、1-2と新潟が逆転に成功します。
ここからは、大宮の運動量が全体的に低下し、61分には相手のミスを突いてラファエルが、65分にも中央をドリブルで切り裂いてイ・チョンスがフィニッシュまで持ち込むものの、やや単発の攻撃が多くなり、なかなかゴールの可能性が見えて来ない中、輝いたのはやはり10番。70分、少し新潟ディフェンスの対応がルーズになった所を見逃さず、ラファエルが右へ短いラストパス。「角度がなかったけど思い切って打とうと思った」東のシュートは激しくゴールネットを揺さぶります。東も素晴らしかったですが、ラファエルのパスも秀逸だったのは間違いありません。72分には新潟も三門のCK、混戦の中から千葉がカンフーキックボレーで枠を捉えたシュートは北野がファインセーブ。するとその1分後、今度は長いボールを東が落とすと、ラファエルの躊躇なく右足で撃ち抜いたミドルは問答無用の再逆転ゴール。本人も「3ヶ月に1回出るか出ないかのゴール」と笑うゴラッソで、今度は大宮が1点をリードしました。やはりラファエルは一味違いますね。隣で見ていた新潟担当のライターさんとも話していたのですが、ゴールに絡む部分だけではなく、チームへのロイヤリティ、つまり献身性の部分も含めてトータルでの能力はJの外国籍選手の中でも超トップレベル。彼1人を追って観戦してみても、相当面白いのではないでしょうか。
と、ここまではかなり白熱した展開で、スタンドもいい意味で盛り上がっていたのですが、80分にミシェウとイ・チョンスが小競り合いを起こした辺りから、会場の空気も一変。加えて、ちょっとどういう方が担当だったのかはわかりませんが、主審も動揺したのかジャッジが一気に曖昧になり、「イライラしてコントロールを失ってしまった」(石川)のはピッチ上のみならず、スタンドからも怒号が飛び交うような事態に。終盤はスタジアム全体がナーバスさを抱えたまま、ゲームが壊れた状態でタイムアップを迎えてしまったのは何とも残念でした。
「フィジカルコンディションが上がってきたのは大きい」と試合後に語ったのは鈴木監督。大宮は4本通じて見ても、選手層の厚さはかなりのモノがあるだけに、個々のコンディションが整えば開幕戦で一端を示したようなスタイルで1年間走り切れそうな感じは受けました。特に中盤は最激戦区。システム、メンバーの組み合わせ含めて今後が大いに楽しみです。
そして「しっかりとやるべきことはできた。チームとしてここにきていい感じでできている」とは黒崎監督。3、4本目で言えば、内容では新潟の方に少し分はあったと思います。攻撃面はある程度計算できそうな感じですが、「ここの所は失点が多い」と指揮官も語る守備面では、少しエリア内での対応で後手を踏む場面も見られた印象。また、どうしても攻撃力の高い右サイドは守備時に狙われる傾向があるだけに、その対策も1つポイントになりそうです。後は、記者陣からもサポーターからも大人気の川又を少し長めに見られたのは今日の大きな収穫でした。

AD土屋

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