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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年03月05日

J2開幕戦 FC東京×鳥栖@味スタ

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19回目となる春の訪れ。ようやくJリーグのある日常が我々の下へ帰ってきました。すべての人が待ち焦がれたシーズンの芽吹きに胸を踊らせる開幕戦。フランスから帰国したその足で向かったのは、創設メンバーとして参加し、昇格という成果と共に1シーズンで駆け抜けた1999年以来となるJ2を戦うことになったFC東京が開幕を迎える味スタ。相手はユン・ジョンファン新監督が就任し、岡本知剛、國吉貴博など積極的に補強した中盤か魅力的な鳥栖。カードとしてもかなり興味深い一戦です。ゲーム前にはスカパラの華やかな演奏で彩られた味スタへ、詰め掛けたフットボール好きの数は「本当にたくさんの人が来てくれた」と新キャプテンの今野泰幸も驚く21408人。長く険しいであろう旅路は14時5分、その第一歩が踏み出されました。
東京はJ2の中で異例とも言うべき大量補強へ踏み切ったにも拘らず、新加入組でスタメンに名を連ねたのは左SBに入ったレンタルバックの阿部巧と、左SHの谷澤達也のみ。指揮官も続投ということもあって、最終ラインでこそパスは回るものの、基本はそこから平山相太の頭と、鈴木達也の裏へ目がけて繰り出すロングボールが多く、18分に鈴木のCKから中村北斗が大きくふかしたシュートがチームのファーストシュート。なかなか攻撃の形を創れません。
対する鳥栖は「もっと緊張するかと思ったけど、予想外にスムーズにゲームへ入ってくれた」とユン監督も話したように、中盤でも岡本と藤田直之のドイスボランチが散らし、両SHの國吉と柳澤隼がボールを受けてアクセントになるなど、むしろ中盤では優勢。大熊清監督が「鳥栖は繋ぐ所は繋ぐし、実力はある」と言うのも頷ける内容を披露します。すると33分には決定機を創出。岡本のクサビを基点に、中央を巧みなパスワークで完全に崩すと、最後は豊田陽平がエリア外から左足でシュート。ボールは激しくクロスバーを叩き、先制弾とはなりませんでしたが、東京サポーターは一瞬色を失ったに違いありません。続く41分にも、岡本が奪ったFK。藤田が小さく出して、30m近い距離を直接狙った國吉のミドルは枠を捉え、塩田が何とかセーブ。そのCKも藤田のキックに、クロスバーを越えはしましたが豊田がフリーでヘッド。セットプレーでも鳥栖にチャンスが生まれます。
「1人1人ミスが多かったし、バランスも悪かった」(今野)東京は、前半終了間際に羽生直剛の横パスへ走り込んだ高橋秀人のミドルが1本目の枠内シュート。頼みの平山もさすがに空中戦では優位に立ちましたが、そのセカンドやそれ以外の部分では、高い危機察知能力を発揮し続けたCBの木谷公亮を中心とする鳥栖ディフェンスがことごとく勝利。流れとしては鳥栖ペースとも言えそうな45分間は、スコアレスで終了しました。
後半開始から手を打ったのは大熊監督。中村を下げて、「回数は少ないが、ボールを運べたり、危険なモノは持ってる」ロベルト・セザーを投入します。これで鈴木が右のSHへ移ったことが結果的に奏功。49分には相手のミスパスを奪った谷澤が右へ付けると、鈴木がフィニッシュ。52分にも相手のミスパスを基点に、またも谷澤のラストパスから鈴木がシュート。どちらもゴールのわずか左へ外れましたが、鈴木の広範囲に渡る動きが東京に欠けていたダイナミズムをもたらし、サイドでの主導権も徐々に獲得していきます。
58分には鳥栖にチャンス。右サイドから田中輝和、國吉と繋いで、エリア内へ侵入した柳澤はDFとの接触で倒れかけますが、バランスを取り戻して倒れずに放ったシュートはDFに当たり、GKがキャッチ。安易に倒れず、シュートまで持ち込んだのは大いに評価されるべきですが、倒れていればPKだった可能性も否定できず、ここは1つのポイントだったかもしれません。
そして訪れた青赤の歓喜。61分、森重が左へ振ったボール。後半に入って一層縦への意識からオーバーラップが増えていた阿部がクロスを上げると、GK室拓哉の伸ばした手と平山の頭とボールがクラッシュ。こぼれ球を谷澤が押し込みます。ややオフェンスファウルにも見え、決めた東京の選手たちも、スタジアムの雰囲気も少し時間が止まったような格好の中、「ああいうのでもゴールはゴールなんで」と笑顔を見せたのは谷澤。苦しみながらホームの東京がリードを奪いました
59分には柳澤に替えてキム・ビョンスクを送り込んでいたユン監督もすかさず2枚目のカード。63分、國吉と野田隆之介をスイッチ。早坂良太を前線から右SHに落として、豊田と野田の2トップにシフト。高さとパワーを兼ね備えた2人で、今野、森重真人が聳える東京ゴール陥落を試みます。それでもボールが回るシーンはあるものの、シュートまで繋がるシーンは皆無。「とにかく勝ち点3が欲しかった」(今野)東京の気迫にゴールへの香りを遮断されてしまうと、76分には最後の交替枠で藤田と米田兼一郎をスイッチしたものの、以降は1本のシュートも打てず。
逆に大熊監督は86分に「ボランチの所は締めてもう1点という形で」羽生に替えてホベルトを送り込む念の入れよう。89分には「4ヵ月くらい試合に出てないので、もう少し動きの量と質を上げていかなくては」(大熊監督)というロベルト・セザーがハーフウェーライン辺りからスルスルとドリブルで持ち上がり、室にファインセーブを強いるようなシュートを放つ収穫も。「内容的にはそんなによくなかった」(谷澤)中でも、今シーズン求められる勝ち点3はしっかり奪い切り、FC東京はただ1つの目標を達成するための長い長い道程を歩み出しました。
敗れた鳥栖は「これから先、期待の持てるいいチームに仕上がってきたんじゃないか」とユン監督も話した通り、チームとしての機能性は一定以上のものを見せてくれたと思います。ただ、中盤での優位性をフィニッシュに繋げる部分はもう1つ。豊田を軸にして、パートナーやシステムをどう固めていくかは、新監督の手腕が問われることになりそうです。
東京は今日に限って言えば、昨シーズン終盤からメンバーの顔触れも含めて大きな変化はなく、攻撃はやはり長いボールが中心になりそうな雰囲気。プレシーズンの好調が伝えられた大竹洋平の出場機会がなかったのは少し残念でしたが、当然長いボールの多いスタイルが悪い訳ではないので、ブレずに突き詰めていけば勝ち点を積み重ねていくことはできそうです。さあ、2011年のJリーグ開幕です!

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