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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年03月06日

J1開幕戦 柏×清水@日立台

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201103062010000kashiwa2.jpg太陽王の凱旋。2年ぶりとなるJ1へ帰ってきた柏。再びクラブの誇りを取り戻し、日本のフットボールファンにその存在を認めさせるためのシーズンが幕を開けます。対峙するのは、長谷川体制に終止符を打ち、イラン代表監督を務めていたアフシン・ゴトビを招聘。主力の顔触れも大きく入れ替わり、“新生”という印象も強い清水。お互い理由は異なれど、勢いを付けるという意味では「ただの1試合ではない」(柏・ネルシーニョ監督)開幕戦。黄色と一部のオレンジが沸騰する中で、日立台の春が開宴しました。
ゲームが始まると、まずは昨年と同じシステムでメンツも変わらない柏の中盤が躍動。特に2年連続の開幕スタメンに「監督の信頼も厚くなってるなと思う」と話した茨田は、レアンドロ・ドミンゲスと絶妙の距離感で攻撃にアクセントを加えていきます。また、12分には右SBに入った新加入の増嶋がロングスローを投げると、清水GK山本海人のファンブルからあわやというシーンに。今年の新たな名物になりそうなプレーにスタンドもどよめき、雰囲気を一層盛り上げます。さらに、左SBでの起用となった最注目のジョルジ・ワグネルも15分には高精度フィードを一発でレアンドロへ通し、シュートシーンを演出。継続性の持つ強みに新戦力の個も見せた柏がガッチリ主導権を確保しました。対する清水は、システムも昨シーズンの4-3-3から4-2-3-1に変わり、伊藤の1トップで、その下に大前、小野、アレックスが並ぶフレッシュな布陣でしたが機能性に乏しく、イージーなミスも連発。「バックパスに詰めて行こうと話していた。それで相手も慌ててくれた」と柏2トップの一角を占めた田中も言及したように、後ろでのビルドアップも不安定で、「我々は最初の20分間ナーバスになっていた」とゴトビ監督も認める、苦しい立ち上がりを強いられます。
すると21分、「去年からFWとして見ていた。彼は前でやった方が生産性が高い」という指揮官の評価で最前線に入った大津が得たFK。キッカーのワグネルが左足を振り抜くと、「普段から練習しているので自信を持って蹴れた」というボールは完璧な軌道を描いてゴール右スミへ吸い込まれるゴラッソ。ベンチへ一直線に走り出したワグネルを抱擁で迎えたネルシーニョ監督。期待のブラジリアンが挨拶代わりの一発をぶち込み、ホームチームが1点のリードを奪いました。以降も全体のペースは柏。清水も3年目にしてようやく定位置を掴んだ感のある大前こそオーバーヘッドを枠に飛ばすなど体のキレを感じさせるようなプレーを連発しますが、いかんせんグループで崩す意図が希薄。伊藤とその下に位置する小野が絡むシーンもほとんどなく、2人とも孤立してしまうなど厳しい時間が続きます。「選手が変わってもフォーメーションが一緒なら大丈夫」とは茨田。昨年からの上積みも感じさせるパフォーマンスを披露した柏が、攻守に圧倒して45分間は終了しました。
後半に入っても流れは変わらず。「前半は結構裏に抜けていたが、後半は少し中に入ってスペースを空けることを意識した」と茨田が話したように、ワグネルのオーバーラップも回数が増え、逆サイドの増嶋も積極的にスペースへ飛び出すなど、「今日のキーはサイドのスペース」とゴトビ監督も話したサイド攻撃は、柏に一層厚みが出ていきます。62分には増嶋、レアンドロと繋ぐと、最後はワグネルが枠内シュートまで持ち込むなど、両SBが関与してのフィニッシュワークでチャンスを創出。そして迎えた65分、ワグネルのCKが流れたボールを左サイドで大津が拾ってクロス。これをDFがクリアしきれず、パク・ドンヒョクが冷酷に一突き。2-0。点差が広がりました。止まらない太陽の輝き。67分、ワグネルのアーリークロスにファーへ走り込んだ増嶋のヘディングはわずかに枠の右へ外れましたが、流れの中から左SBのクロスに右SBが飛び込むシーンは圧巻。両者共に指揮官の起用へ応えてみせます。すると68分、清水のFKから一転、柏のカウンター発動。人数は柏5人に対して清水3人。ボールを持った茨田は「レアンドロのスピードを止めずにいいパスが出せた」と納得のラストパスを左へ。レアンドロはGKとの1対1も冷静に右スミへ流し込み、3-0。ゲームは決まりました。
もはや混乱状態に陥った清水はカウンターへのケアも散漫。72分にも清水のCKからまるでデジャヴのようなシーン到来。今度は田中が左へ流すと、待っていたのはまたもフリーのレアンドロ。今度はドリブルが大きくなり山本海人に阻まれましたが、4分間に同じようなシーンが2度も連続したあたりに、清水の現状が凝縮されていたように感じました。加えて攻撃陣も55分にはほとんど何もできなかったアレックスに替えて高原を最前線に置き、伊藤を左SHへ移しましたが、高原は体のキレを個人では感じさせたものの、組織へと融合させる段階にはなく、結局チーム全体で見ても後半のシュートは1本のみ。79分にはボスナーが大津への危険なタックルで一発レッドを食らうなど、最後まで攻守が噛み合わずじまい。「前半も後半もレイソルが数段勝っていたと、皆さんも思ったのではないでしょうか」とネルシーニョ監督も語るほど、申し分ない内容を見せ付けた柏が、華々しくトップディビジョンへの帰還を果たしました。
清水は残念ながら非常に辛いスタートを切ったと言わざるを得ません。客観的に見ても「力の近いチーム同士の対戦」(ゴトビ監督)だっただけになおさらでしょう。このゲームに関して言えば、岩下と枝村のドイスボランチが攻守に中途半端だった気がします。キック精度と展開力は別物なので、ここである程度ボールを落ち着かせることができないと、いくら小野を1トップ下へ置いてもゲームを創るのは難しいかもしれません。
逆に勝った柏はもはや阿吽の呼吸とも言うべき、栗澤と大谷で組むドイスボランチのバランス感覚がとにかく秀逸。栗澤はセカンド奪取にゲームメイクにと、とにかく至る所に顔を出し続けてチームのリズムを司り、それを大谷が後方から絶大な存在感で支える関係が完全に確立。この2人の補完関係がJ1でも大きな武器になることも再確認できたと思います「すべての試合が最初で最後と思って、90分で勝つために全てを出し切らなくてはならない」とネルシーニョ監督。この気持ちを持ち続けている限り、柏の躍進は止まりそうにありません。

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