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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年01月04日

高校選手権3回戦 前橋育英×流通経済大柏@フクアリ

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早くも3回戦で実現した関東トップクラス同士の激突は、そのまま全国トップクラス同士の激突。まだ見ぬファイナルの風景を求めて、神村学園に室蘭大谷と難敵から共に4ゴールを奪って勝ち上がってきた前橋育英。前回選手権に出場して以来となる、3年ぶりの全国制覇へ明徳義塾を2-0で一蹴し、まずまずの滑り出しとなった流通経済大柏。明確に頂点を見据える両校の対戦は、ひょっとするとベスト8以降に組まれる、どの対戦カードよりも贅沢な顔合わせかもしれません。しかし、9017人と第1試合より多くの観衆を集めてキックオフされたゲームは、唐突に動き。7分、「どんどんプレッシャーが来るからノーリスクで」(山田耕介監督)と言われていたはずだった育英のDFラインに信じられない連携ミスが生じると、かっさらった進藤誠司(3年・高浜中)のパスから宮本拓弥(2年・Wings U-15)がシュート。育英GK牛越健太(3年・F.C.CEDAC)もファインセーブで弾き出しますが、リバウンドを進藤がキッチリ流し込みます。「前半はとにかく守備というイメージだったので嬉しい予想外」とはキャプテンの増田繁人(3年・FCクラッキス松戸)。思わぬ格好で流経に先制ゴールが転がり込みました。さて、嫌な形でリードを許してしまった育英も9分、小島秀仁(3年・ヴェルディSS小山)のFKから、失点に絡んでしまった北爪健吾(3年・前橋エコー)のヘディングは、流経GK緒方大樹(3年・帝京中)にファインセーブで阻まれましたが、チャンス創出。それでも14分には逆に流経に好機。右SBの鈴木翔登(3年・坂戸ディプロマッツ)が頭で繋ぎ、富田湧也(3年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)のボレーはクロスバー直撃。育英はリズムを掴めません。その要因は小島と小牟田洋佑(3年・FC佐野JY)をうまく封じ込められたこと。小島には、ほとんど公式戦は初めてという熊田陽樹(3年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)がマンツーマン気味に付き、配球の起点を抑えにかかると、「自分がもっと動いてスペースを創り、ボールを引き出さなくてはいけなかった」と小島本人も語るなど、ある程度は策が奏功。最終ラインの増田も「熊田と古波津(辰希・2年・小禄中)がよく潰して、効いていた」と話したように、湯川純平(3年・大宮アルディージャJY)に小島と攻撃のスイッチを入れられるドイスボランチをケアしたことで、サイドからの展開も封じます。さらに育英からすれば痛かったのは小牟田へボールが収まらなかったこと。「マッチアップは全部勝ちたかったのに、立ち上がりは抑え切れなかった」とは増田ですが、実際はその増田がほとんど小牟田とのマッチアップに勝利したことで前に基点ができず、ここに当ててから次々と2列目3列目が飛び出していく本来のスタイルが出せなかったことが、攻撃が停滞した一番の理由だったように感じました。31分には右サイドで小島の左足フィードをトラップした戸内英輔(3年・クマガヤSSC)がボレーを放ちましたが、これを含めて前半の育英が記録したシュート数は3本。「ゼロゼロでOKだったのに、点まで取って」と話す本田裕一郎監督からしてもおそらくプラン以上の展開で、流経リードのままハーフタイムに入りました。ところが後半に入ると、またも意外な形でスコアが動きます。47分、育英は飯沼壮貴(3年・前橋エコー)、小島と繋ぎ、湯川のシュートがDFに当たると、ボールは高く上がってピッチへ弾みます。これに「バウンドを合わせ、体を入れてDFを抑えて足を伸ばした」という小牟田のボレーは、GKのニアサイドを打ち破り、そのままゴール。10番を背負ったストライカーの3戦連発となる同点弾。ゲームは振り出しに戻りました。すると流れは一転。途端に育英の反攻開始。50分、じっくりとビルドアップしながら、最後はエリア外から白石智之(2年・前橋FC)がトーキックで狙ったシュートは緒方がファインセーブ。52分、飯沼のシュートチャレンジも緒方が何とかセーブ。「後半は自分たちで動いてスペースを創れた」と小島。「小島と湯川に持たれて、付き切れずにサイドに振られた」と増田。育英ペースが続きます。本田監督もたまらず55分、よく役割を果たした熊田に替えて、「左足の小指が折れてるので、本当は休ませたかった」という、名古屋内定の吉田眞紀人(3年・横浜F・マリノスユース)を投入。さらに58分には菅谷大樹(2年・今市中)を下げて、中村慶太(2年・ARTISTA FC)を送り込み、吉田を1トップに入った宮本のすぐ下に置く4-2-3-1にシフトして、劣勢を跳ね返しに掛かります。育英も64分には戸内と柏俣翔也(3年・東松山ペレーニアFC)を入れ替え、小島を2トップ下に移し、湯川がアンカーに入る中盤ダイヤモンドの4-4-2にシフト。小島と吉田。浦和に名古屋とJリーグ入団が内定している2人の“14番”が共に司令塔の位置へ入り、決定的な仕事を遂行する機会を窺います。それでもよく鍛えられたチーム同士だけあってなかなかお互いの守備網は漏れず、シュートシーンを創るのも一苦労。76分は流経のビッグチャンス。中村が左へ展開し、進藤が中へ送ると吉田がシュートを放つも湯川が決死のブロック。こぼれ球に反応した富田がフリーで打ったシュートもわずかに枠の左へ。終了間際の84分、中央左寄り、ゴールまで約25mのFKは育英。キッカーの小島が短い助走からカベの右側を巻いたキックは、右ポストの外側を叩いて枠外へ。ビッグマッチは両者譲らずドロー。ベスト8進出の権利はPK戦という過酷な方法で決着を付けることになりました。先攻となった育英の1人目は小島。スタンドが固唾を飲んで見守る中、「GKを見ないで思い切り蹴った」ボールは無情にもクロスバーの上へ。後攻の流経は吉田が成功。育英2人目の湯川が左下を狙ったキックは「毎日PKの練習はしてたので自信はあった」という緒方が完璧なセーブ。流経は富田が成功。3人目は育英の北爪、流経の進藤、共に成功。育英4人目の小牟田が左スミを狙ったキックは本田監督の「最低でも1本は間違いなく止めてくれる」という信頼に応えた緒方が2本目のセーブ。「PK戦の前に「勝った」って言って送り出した」指揮官の予言通りに、毎日行ってきたPK練習の成果を発揮した流経が、次のラウンドへと駒を進める結果になりました。「育英とはしょっちゅうやってたのでお互いにやりにくい相手」と本田監督も話したように、ある程度手の内を知り尽くした両者の力は、ほとんど互角だったと思います。実際に80分間の中でも差は付きませんでした。こうなると勝敗を分けるのは小さなディテール。「ボールをセットした時に相手の選手は動揺しているのがわかったので、自分の方が気持ちで上だ、止めれるなと思った」とは2本のPKをストップした緒方。そう思えた緒方のメンタルと、そう思わせた本田監督が日頃から施してきたであろうメンタルコントロール。流経が勝ち上がった理由は、そんな部分の地道な積み重ねだったのかもしれません。    AD土屋


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