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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年12月25日

天皇杯準々決勝 清水×山形@アウスタ

foot!
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西部、伊東、市川、ヨンセンなどここ数年のチームを支えてきた主力の退団が発表され、その他数人にも移籍の噂が持ち上がり、さらに長谷川健太監督の退任も決定するなど、年が明ければまったく違うチームになることが予想される清水。今シーズン日本平でのラストゲームということもあって、このチームでサポーターに勝利を届けたい所です。一方の山形はJ1昇格2年目のシーズンをほとんど降格圏に足を踏み入れることなく、13位でフィニッシュ。この天皇杯でもクラブ史上最高タイのベスト8へと躍進し、新たな歴史を刻む準備は整いました。快晴の清水は5.0度。強風にさらされ、底冷えのする中でキックオフを迎えたゲームは、まず清水がラッシュ。開始わずか30秒、兵働とのワンツーから岡崎が抜け出すと、シュートは当たり損ねたものの早くもチャンス創出。2分、バックパスの乱れを突いた小野が獲得したFK。藤本のキックは壁に。7分、またも山形のバックパスがズレると、ヨンセンのボレーはGK清水がファインセーブ。さらに13分、ヨンセンが体を張ってFKを奪うと、ゴールまで30m近い距離からボスナーが全力でひっぱたいたボールも壁がブロック。ホームの大歓声を背に、清水が猛攻を仕掛けます。ただ、「前半押し込む形が多い展開になるだろうと思っていた」と長谷川健太監督が話せば、「前半は予想通り押し込まれた」とは小林伸二監督。つまりこの展開は共に予想の範疇であり、清水ペースでゲームは進んでいきますが、「それが山形の戦い方だと思っていたので、ゲームをコントロールできているが、決して自分たちのリズムではない」(長谷川監督)というのが、おそらく清水サイドの共通見解。案の定、清水が記録した前半のシュート4本の内、開始15分までに3本が集中。25分には小野のFKから、こぼれを狙った兵働のキックは山形DFが体を張ってブロック。さらにセカンドを拾った藤本もシュートまで持ち込めず。26分にも市川、岡崎、本田と繋ぐも、太田はクロスを封じられてチャンスが潰えるなど、粘り強い守備でゴールに鍵を掛けた山形へ、少しずつ流れが移っていきます。30分以降の山形で目立ったのはアンカーの佐藤。似たような4-3-3気味の布陣を敷く清水で、同じくアンカーに入る日本代表の本田を向こうに回して、セカンドの奪取で互角以上のパフォーマンスを披露し、36分にはそのセカンドを拾ったシーンから自らミドルも。このゾーンで優位に立ったことが、五分に近い流れにまで山形を引き戻させた印象です。40分に小野がFKをふかしてしまうと、山形にもチャンス到来。42分、石川のFKを田代がとんでもない高さと滞空時間で折り返すと、秋葉のヘディングはわずかに枠の右へ。43分、小林のクロスを宮沢が落とし、またも秋葉の左足シュートは枠内に飛ぶもGKキャッチ。「前半に失点しなかったのはよかった」とは小林監督。清水攻勢というイメージの中、シュート数では山形が上回った前半はスコアレスで終了しました。小林監督の決断。後半スタートから宮沢を下げて増田を投入すると、55分にビッグチャンス創出。ルーズボールを拾った増田は、DFを引き付けて左へラストパス。そこには田代がフリーで待っていたものの、トラップが大きくなると飛び出したGK山本海人がキャッチ。決定機はつぶれましたが、増田が絡んで1ついい形が生まれました。以降はかなり膠着した展開に。「おそらく相手の足が止まるので、ボールは回せるようになる」という小林監督の読みは当たりましたが、山形はサイドをなかなか効果的に崩せず、それは清水も同様。70分、長谷川監督は疲労が目立った小野に替えて大前を送り込むと、3分後にはその大前のうまいサイドチェンジから、太田のクロスをGK清水のフィスティングしたボールがクロスバーに当たるシーンがありましたが、先制ゴールとはいきません。76分、小林監督は北村に替えて、負傷から何とかこのゲームに間に合った宮崎を投入。サイドの活性化を図ります。迎えた83分は山形。増田の左CKに飛び込んだ西河のヘディングが捉えたのは、ゴールの数センチ上にあるクロスバー。山形から駆け付けた少なくないサポーターに広がる溜め息。所定の90分を2分回った終了間際、市川の鋭いクロスをヨンセンが巧みに落とし、兵働のフィニッシュはGK清水がガッチリキャッチ。両者譲らず、0-0。さらに30分間がゲームへ加えられることになりました。延長に入ると、前が岡崎とヨンセンの2トップで、中盤がボックスの4枚になり、4-4-2へシフトした清水に勢い。92分、ヨンセンのポストから岡崎が抜け出すも、西河が懸命に体を寄せるとシュートは力なくGKへ。102分は大前、ヨンセンと回して、太田のクロスに岡崎が合わせ、シュートとは行かなかったものの、スタンドを沸かせます。ところがこのゲーム2度目のハーフタイムが明けると、歓喜を爆発させたのは北国の青。107分、石川のアーリークロスに宮崎が「結構狙っていた」斜めの動きでDFラインの間に潜ると、「最初は自分で行こうと思ったが、やっぱり落とした」ボールを田代が左に持ち出しながら左足一閃。揺れるゴール。揺れる青。「セカンドを拾って決め切るのは山形の特徴」と敵将も認める一発。アウェイ山形が土壇場でリードを奪いました。ところが諦めない、折れないオレンジ。109分、岩下のフィードからこぼれを兵働が狙うとGK清水がファインセーブ。このCKを兵働が蹴り入れると、フリーで合わせたのはボスナー。ボールは綺麗な軌道を描いてゴール右隅へ。「ボスナーの所が少しミスマッチなのはわかっていたけど…」と悔しさを滲ませたのはGKの清水。1-1。わずか2分間で再びゲームは振り出しに戻りました。もはやノーガードの打ち合い。120分の山形。石川、宮崎と繋ぎ、廣瀬の折り返しを田代が狙うも、太田が体でブロック。120分の清水。市川のアーリークロスから岡崎が完全なフリーで繰り出したシュートは、GK清水が超ファインセーブ。タイムアップ。震える死闘が決着を見るには120分でも足らず。11mのロシアンルーレットが、彼らの行く先を預かることになりました。先攻は山形。1人目の増田は山本海人の逆を取って成功。後攻は清水。兵働は左下に成功。2人目、「GKが動いたのが見えちゃった」という佐藤のキックは山本海人が気合のセーブ。岩下は左上へ成功。3人目の小林は大胆に中央へ成功。市川は右スミに突き刺し、サポーターへ向かって胸のエンブレムを叩きます。4人目の下村は左スミへ成功。ヨンセンは右上の凄まじいコースへ成功。5人目の田代は確実に右スミへ成功。「凄い緊張した」岡崎のキックはGK清水わずかに及ばず。「多くのサポーターに勝利をプレゼントしようというつもりだったが、結果的になにかサポーターから勝利を頂いたような試合」と長谷川監督も話した激闘は、清水がPK戦を制して、エコパでの準決勝へ勝ち残りました。やはりボスナーのゴールがゲーム最大のポイントだったと思います。「あと何分か我慢してたら相手も焦って前に掛かってくるので、もう1回チャンスが出てきてた」と小林監督。「追い付くのに時間がかかると放り込むばかりになっちゃってたと思うので、アレが大きかった」と兵働。あるいはそれまでの105分間と同じか、それ以上にスペクタクルが詰まっていた延長後半の15分間を目撃できただけでも、日本平へ足を伸ばした甲斐がありました。素晴らしいゲームでした。    AD土屋


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