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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年12月20日

JFL入替戦第2戦 アルテ高崎×三洋電機洲本@浜川

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JFL17位と地域決勝3位が、それぞれ“残留”と“昇格”を懸けてホームアンドアウェイで雌雄を決する入替戦。いわゆる全国リーグの境界線となるカテゴリーの行き来が決まるだけあって非常に結果が重いゲームです。先週、三洋電機洲本(以下、三洋)のホーム・アスパ五色で行われた第1戦は、後藤義一監督が地域決勝を市原臨海まで視察に来た甲斐があってか、アウェイのアルテ高崎(以下、高崎)が0-3で先勝。落ちたくない側が大きなアドバンテージを得ての第2戦となった浜川は観衆が1173人とほぼフルハウス。独特の熱気に包まれ、キックオフの時を迎えました。序盤から積極的に飛び出したのは、後のない三洋。5分には森田郁也がロングスローで場内を沸かせると、7分には村上歩夢のミドルを何とか高崎DFがブロック。10分、沈大紀のFKは高崎GK岩舘直がパンチング。ホームチームのゴールを脅かします。三洋で目立っていたのは、キャプテンの成瀬敬志朗とドイスボランチを組んでいた村上。レフティらしいボールの持ち方から左右にうまく配給し、セカンドも果敢に奪取。彼の奮闘が三洋に中盤での優位性をもたらしていたように、私には見えました。一方の高崎は「選手がプレッシャーを感じていたのか、フワッとゲームに入ってしまった」と後藤監督も苦笑したように、なかなか攻撃に打って出ていけません。3点のリードがあるため、守備に軸足を置いた戦いを選択したのかと思いきや、後藤監督に守備面での指示を聞いてみると、「いや、守備に関して特に指示は出してません。もっと繋いでアグレッシブに行きたかったのに」とのこと。どうやら高崎の選手へ掛かっていたプレッシャーは想像以上に大きかったようです。すると、先にゴールを奪ったのは勢いそのままに三洋。19分、右サイドから沈が蹴ったFKを、CBの太田晃一がダイレクトボレーで捉えたボールは、魅入られたかのようにゴール左スミへ。2試合トータルは1-3。かなり面白い展開になってきました。2点差があるとはいえ、比較的早い時間に失点した高崎も、ようやく吹っ切れたのか28分、白山貴俊のFKへ合わせた山田裕也のヘディングは、三洋GK浅野裕也がパンチング。30分、神谷恭平のクロスから、小柴翔太のワントラップボレーは枠の左へ。立て続けにチャンスを創りましたが、前半で記録されたシュートはこの2本のみ。実は第1戦でFWの松尾昇悟が退場したことを受けて、このゲームに後藤監督が「競れるヤツがいないと厳しいかなと思って」送り出したFWは、本来DF登録の小柴。慣れない位置で小柴も奮闘しましたが、やはりなかなか前でボールが収まらず、味方の上がりを促すまでには至りませんでした。再び訪れる三洋の時間帯。33分、森田のパスを巧みなターンで足元に置いた村上のミドルはGKキャッチ。38分、右サイドを崩し、最後は村上が右足で打ったミドルは、DFに当たっていいコースに飛ぶも岩舘がファインセーブで阻止。そのCKから、ファーに流れたボールを森田がボレーで捉えると、ここも岩舘がセーブ。「前半の内にもう1点欲しかった」とは稲葉監督でしたが、三洋からすれば後半にも十分期待を抱かせる内容でハーフタイムを迎えました。さて、「慌ただしいサッカーになってしまった」(後藤監督)高崎は、後半開始から2枚替え。少し不安定だった右サイドのSBを秋葉から川里光太郎に、前線も小柴から一柳穣へスイッチ。的確な交替策を施すと、流れはクルッと高崎へ。48分、エリア内で神谷は決定的なシーンを迎えたものの、シュートは枠外。51分、56分と立て続けに替わった一柳が惜しいシュートを放つなど、ようやく攻撃面のエンジンが掛かり始めます。すると三洋も58分、「少し目先を変えたくて」(稲葉監督)スタメン起用された中尾秀樹に替えて、本来レギュラーFWの廣瀬一樹を投入。さらにボランチの村上も稲垣侑也とスイッチ。2点を奪いに行く姿勢を打ち出します。62分、沈のCKをファーで梅川毅士が折り返し、森田が決定的なボレーを放つも高崎DFが体を投げ出してブロック。63分、最終ラインからのフィードを梅川が強引にシュートへ繋げるも、ボールにヒットせず。高崎ゴールをこじ開けられません。70分を過ぎると、待っていたのはかなりオープンな展開。71分は高崎。白山の左クロスに、フリーで走り込んだ一柳のヘディングはバーの上へ。73分は三洋。友定が蹴ったFKのこぼれを、稲垣がボレーで狙うもGKキャッチ。77分も三洋。梅川の落としを廣瀬が左に流れながら打ったボレーもGKキャッチ。82分も三洋。左サイド、ゴールまで25m弱の距離から稲垣が直接狙ったFKはGK正面。83分は高崎。神谷の右アーリークロスはフリーの吉田明生にドンピシャも、ヘディングはGK正面。チャンスは創り合いながら、スコアは動かないまま。三洋は苦しくなっていきます。この時間帯になるとゲームの動きが激しいため、スタンドの盛り上がりは最高潮に。私は本当にフットボールが好きな人たちで埋まった空間がそこへできていたことに、少し感動を覚えていました。三洋の意地。84分、梅川とのコンビネーションから廣瀬が狙ったシュートはGK正面。86分、稲垣のFKが生んだ混戦から、成瀬のボレーはDFに当たってGKへ。89分、稲垣のCKを太田が頭に当てるも、GKキャッチ。「選手は最後まで頑張ってくれたが、少しだけ差があったと思う」とは稲葉監督。三洋がその少しの差を、勢いで上回ることは最後までできず。90+1分、小島直希が蹴った浮き球は、ガチャガチャした混戦を生み出すと、出てきたボールに反応した吉田のボレーが三洋のゴールネットを揺らし、1-1。「もうやりたくないです。胃が痛い…」と後藤監督も思わず漏らした入替戦は、2試合合計4-1。高崎がJFL残留を決める結果となりました。お互いにホームゲームで苦しんだ辺りに、この入替戦の難しさが垣間見えます。我々には想像も付かないようなプレッシャーの中で、180分間を戦い抜いた彼らにスタジアム中から大きな拍手が贈られたのも、よく理解できました。「JFLに手が届きそうな戦いができたという意味では嬉しい」と「34敗してもいいからJFLに連れていってやりたかった」という稲葉監督が話してくれた2つの言葉は、どちらも本音でしょう。赤城の山並みがくっきり見える上州の片隅に、本物のフットボールが確かにありました。   AD土屋


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