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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年12月05日

地域決勝大会決勝ラウンド第3節 Y.S.C.C.×AC長野パルセイロ@市原臨海

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JFL昇格を懸けた地域決勝もいよいよ最終日。厳しい各地域リーグを勝ち抜け、さらに先週行われた決勝大会の1次ラウンドも突破してきた4チームの精鋭が市原臨海に集結。今日の結果次第でJFLへ昇格できるか、アルテ高崎との入れ替え戦へ回るのか、それとも敗退してしまうのかが決まります。第1試合は、ここまで2連敗と苦しい立場に追い込まれた関東王者のY.S.C.C.と、1勝1PK負けで4ポイントを獲得した北信越王者のAC長野パルセイロが激突。前者は勝てば3位で入れ替え戦へ進出する可能性があり、長野は90分間で負けさえしなければ悲願のJFL昇格を達成することができます。ゲームが始まると、まずチャンスを創ったのはY.S.C.C.。3分、平間直道のスルーパスに、負傷明けで強行出場となった小澤光が反応したボールは、飛び出した長野GK諏訪雄大が一瞬早くキャッチ。7分には「あれはウチの特徴」と三宅大輔監督も話した寺田洋介のオーバーラップから、クロスを二アで青田翔がうまく合わせ、枠の左には外れましたが惜しいシーンを創出します。一方の長野は、宇野沢祐次と藤田信で組む「強烈な2トップ」(三宅監督)へ長いボールを合わせていくものの周囲との連動性に乏しく、なかなかチャンスを生み出せません。12分には右サイド、ゴールまで約25mの距離から麻生瞬が直接狙ったFKは枠を捉え切れず。すると逆にY.S.C.C.に再びチャンス。14分、中村竜也のCKをまたも青田が頭で合わせ、これも外れはしましたが、青田は167センチの身長を感じさせない“点”での強さを発揮。さらに20分には中村が直接FKをクロスバーにぶつけるなど、ゲームの主導権はY.S.C.C.に傾いていきます。Y.S.C.C.を見ていてすぐに気付くのは、「大事なのはこういうサッカーだと思う」と指揮官も話した、ボールを簡単に蹴らず、しっかり繋ぐスタイルが浸透していること。中盤は小澤と平間のドイスボランチに加えて、右SHに入るレフティ須原明康の技術が高く、細かいパスが確実に繋がりますし、その中から一発で逆まで届くサイドチェンジの意識も十分。よくありがちな“ポゼッション”が目的になっているチームとは異なり、ちゃんとゴールから逆算したボール回しを行っている辺りに、ここまで勝ち上がってきた実力を感じます。26分と45+1分にも共に「頑張れる選手なので1本決めてくれれば予定通り」と三宅監督が評した青田が反転から鋭いシュートで長野ゴールを脅かすなど、前半はスコアこそ動かなかったとはいえ、大半の時間でY.S.C.C.がペースを掌握して45分間が経過しました。迎えた後半はまず長野にビッグチャンス到来。46分、土橋宏由樹のスルーパスを佐藤大典が繋ぐと、栗原明洋が枠に飛ばしたシュートはY.S.C.C.のGK浜村大樹がファインセーブ。50分にも左サイドで相手の連携の悪さを突いて、佐藤が放ったシュートはCB松田康佑が体で決死のブロック。何とかY.S.C.C.も踏みとどまります。この後半の立ち上がりを、三宅監督は「ボランチの所でボールが拾えず、ラインが下がってしまった」と振り返りましたが、長野サイドにしてみれば「前半は堅さがあった」(薩川了洋監督)のは間違いない所。ハーフタイムを挟んで、ようやく本来持ち合わせている前へのバワーが帰ってきたようです。続く長野の猛攻。54分、右サイドから佐藤の上げたクロス、こぼれを栗原がGKの飛び出した無人のゴールへ蹴り込みますが、ここも松田が頭で魂のクリア。FW登録ながら最終ラインでの起用に応える松田の2連続クリアには三宅監督も「アイツはCBの方がいいですね」と笑顔。56分に大橋良隆がゴールまで30m近い距離から枠内へ飛ばしたFKも浜村が弾き出し、失点を許しません。ようやくY.S.C.C.にも好機が訪れたのは58分。青田、福井和基と2トップが絡み、最後は須原に渡ったものの右足シュートは力なくGKへ。67分には青田が右サイドをうまく抜け出し、中へ折り返すも福井のシュート目前でDFがクリア。スコア動かず。長野も69分にはここまで大会3ゴールを挙げているキャプテンの宇野沢が、佐藤のクロスをヘディングで枠内へ。76分にもエリア内でのコントロールから浜村のセーブに阻まれましたが、惜しいシュートを放ってようやく存在感をアピールします。共にゴールを奪えないまま、経過していく時間。勝つしか望みを繋ぐ方法のないY.S.C.C.はCBの鈴木陽平を最前線に上げて、最後の抵抗。87分、須原のCKからこぼれを途中出場の石川健太が狙うも、長野DFが体でブロック。所定の時間を過ぎた91分、またも須原のCKからGKの諏訪が外されたボールはゴールへと引き寄せられますが、33歳のベテラン土橋が懸命に頭で掻き出します。93分はラストチャンス。縦へのフィードを青田が収めて前を向き、渾身の力を込めたフィニッシュは、長野CB大島嵩弘がブロック。直後、歓喜に沸いたのはオレンジ。最後はスコアレスドローという形でしたが、PK戦の勝敗を待たずにJFL昇格の切符を勝ち取る結果となりました。なお、PK戦は浜村が見事に1本目をストップしたY.S.C.C.が3人全員成功したのに対して、長野は3人目と4人目が相次いで失敗。Y.S.C.C.が意地を見せましたが、喜ぶ選手がいるはずもなく、おそらく世界でも類を見ないような、何とも残酷なPK戦となってしまいました。長野の話は他の人が触れてくれると思うので(一緒に見てたエルゴラのT記者とか)、Y.S.C.C.の話を。実は今日のゲーム、昨日のカマタマーレ讃岐戦からスタメンが8人入れ替わっていたんです。エースの辻正男が負傷で、CBの服部大樹が警告累積で欠場したという側面はあったにせよ、この大胆な采配を聞かれると三宅監督は「ターンオーバーで戦ってるんです」とのこと。聞くと4人で構成するセットを4つ用意して、「対戦相手によって一番バランスのいいセットでスタメンを組む」のだそうです。これは以前、やはりこの大会に参加した際、どうしても連戦で結果が出なかった教訓を生かして導き出されたやり方で、今回も「GKの控え以外は全員がプレーした」と三宅監督は話してくれました。ボールを大事に繋ぐスタイルに、徹底したターンオーバー。敗れはしましたが、チームとしての取り組み方に多くの示唆を残して、Y.S.C.C.は大会を去っていきました。   AD土屋


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