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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年12月31日

高校選手権1回戦 前橋育英×神村学園@柏の葉

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柏の葉で行われる第1試合は1回戦屈指の好カード。伝統の黄色と黒の縦縞ユニフォームから“上州の虎”や“タイガー軍団”の異名を取る群馬代表の前橋育英と、県予選ではファイナルで鹿児島城西を延長後半の決勝ゴールで振り切り、2年連続となる全国切符を掴んだ神村学園。日本一を目標に掲げるチーム同士が早くも初戦から火花を散らします。共に攻撃力を売り物にしているだけあって、ゲームは序盤からハイテンションの殴り合い。7分は神村。平山龍之介(3年・FCヴィラノーバ水俣U-15)のパスを受けた永冨弘之(2年・クレフィオFC山口)のシュートはわずかに枠の右へ。9分も神村。野嶽惇也(1年・太陽SC)は岩尾瑞貴(3年・北指宿中)がヒールでリターンしたボールをシュートへ持ち込むも育英DFがブロック。10分は育英。素早いパス交換から、飯沼壮貴(3年・前橋エコー)のラストパスでフリーになった戸内英輔(3年・クマガヤSSC)のシュートはヒットせず。11分も育英。またもエリア内で細かく繋ぎ、湯川純平(3年・大宮アルディージャJY)のシュートはわずかに枠の上へ。16分は再び神村。1本のフィードで抜け出した小谷健悟(3年・神村学園中)が独走。しかしドリブルでかわそうとしたボールを飛び出した育英GK牛越健太(3年・F.C.CEDAC)が強奪。攻守が目まぐるしく入れ替わります。神村は平山、野嶽、小谷、永冨と前の4人がフレキシブルにポジションチェンジを繰り返し、パスで崩すと言うよりはまずドリブルを選択。育英CB川岸裕輔(3年・前橋エコー)も「前半はスピードの対応が遅れてドリブルで仕掛けられた」と苦しめられたことを認めています。対する育英は細かいパスワークが目立つものの、ベースはボールを受けたらとりあえず少しでも前へ運ぶドリブル。それにプラスして、小牟田洋佑(3年・F.C.佐野JY)というターゲットへの長いボールと、そのセカンド奪取という部分があっただけ、攻撃のバリエーションでは育英が優勢。すると20分、眠れる虎の目覚め。湯川のクサビを「DFがボールを取りに来るのはわかってたので、最初からかわすつもりだった」という小牟田は、トラップでマーカーと綺麗に入れ替わり、そのままゴール右スミへ流し込みます。県予選の準決勝、決勝と多くの決定機を生かせなかった小牟田が全国の舞台で大仕事。育英が1点のリードを奪いました。畳み掛けるタイガー軍団。27分、左サイドから白石智之(2年・前橋FC)が中へ送ったボールを、飯沼はスルー。これで神村ディフェンスの呼吸がズレると、戸内のパスから湯川が丁寧にゴール右スミへ流し込み、2-0。リードが広がります。さて、「前半はポゼッションされて自分たちのサッカーができなかった」(小谷)神村も30分に相手のキーマン小島秀仁(3年・ヴェルディSS小山)のミスパスを奪った小谷がドリブルで突き進み、GKまでかわして中へ上げると、ここは北爪健吾(3年・前橋エコー)が必死にクリアしますが、この前後から流れは神村へ。35分にはさらなる決定機。中央へ入れられたボールは育英DFのクリアが小さく、落下地点に入った小谷は浮き球をダイレクトで縦へ。平山は最高のトラップで収めて、ゴール左スミへ一刺し。神村が1点差に詰め寄ってハーフタイムに入りました。前半の最後になってリズムを掴み、ゴールも奪った神村。竹元真樹監督は後半開始から前鶴祥太(3年・FC JUVENTUDE)と永冨を下げて、上船利徳(3年・ヴェルディSS調布)と福島遼(3年・太陽SC)を送り込み、さらなる勢いを求めると、43分には野嶽のスルーパスに反応した福島が、1人かわしてフィニッシュまで。48分、小谷の右クロスへ飛び込んだ野嶽のダイビングヘッドは、わずかに枠の右へ。「リードされていたので、こうなったら攻撃に賭けるしかない」(小谷)という姿勢が攻勢の時間帯を呼び込みます。しかし、「向こうが前掛かりに来たからスペースが空いて、カウンターが決まる部分はあった」と山田監督。川岸も「後半はファーストディフェンダーが対応できていたので、チームとしての対応もできた」と話すなど、押し込まれながらも焦りはなかったようです。すると63分に記録されたのは、同点弾ではなく追加点。ハーフカウンター気味に右サイドを抜け出したのは5分前に投入されたばかりの松井聖也(2年・前橋FC)。松井のクロスがファーへ抜けた所を、飯沼が落ち着いてフィニッシュ。「勝負の分かれ目になる次の1点」(山田監督)は、育英が奪いました。苦しくなった神村はそれでもドリブル主体のスタイルを貫きますが、疲労が出てきた状態では元々フィジカル面に優れる育英ディフェンスを剥がすまでには至らず、1対1でも劣勢を強いられます。加えて、「バランスを取ることを意識した」という小島がボールを積極的に呼び込み、前後左右へ散らしながらポゼッションの中心に君臨し始めると、神村はボールもなかなか奪えず、攻撃の時間を増やせません。そして77分、小島のCKがファーへ流れた所を川岸が左足ボレーでトドメの一突き。悲願の全国制覇に向けて育英が難敵・神村を4-1で一蹴し、力強い船出を飾りました。敗れた神村は最後まで攻撃的な姿勢を貫きましたが、力及ばず。ドリブルを重視したスタイルは魅力的ではあるものの、その武器が封じられた時に繰り出す次の手に欠けた印象です。勝った育英は、「劣勢の時間帯を切り抜けたことは評価できる」と山田監督も振り返ったように、2-1になってからのハーフタイムを挟んだ20分あまりで、失点を許さずに耐えたことが大きかったと思います。ボールを動かして、前へ運んでいく推進力はおそらく大会屈指。あとは4ゴールと火を噴いた決定力が湿らなければ、悲願達成も十分視界に捉えられるような、勢いの付く初戦突破になりました。    AD土屋


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