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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年11月21日

高校選手権千葉決勝 流通経済大柏×市立船橋@市原臨海

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もはや千葉の“クラシコ”として、すっかり定着したと言ってよさそうなこのカードが今年度のファイナル。流通経済大柏と市立船橋。「本当は2チームが全国に行ければ一番いいんですけど」と流経の本田裕一郎監督も話す、全国大会決勝クラスの好カードです。今年度の実績ではインターハイで全国を制した市船に分がありますが、直接対決ではすべて流経が勝利。お互いに激しく意識しあってきた両者のラストバトルに、市原臨海のメインスタンドもほぼフルハウス。日本中の高校サッカーファンがその結果を注視する一戦は、流経のキックオフでスタートしました。まずはいきなり1分、ルーズボールを拾った吉田真紀人(3年・横浜F・マリノスJY)が右サイドからクロスバーにぶつけるミドルを放ってスタンドをどよめかせると、一気に流れを引き寄せたのは流経。「うまくボールを回せれればいいんだけど、なかなかそんなことはさせてくれないので蹴りました」と本田監督が話したように、ボールを持ったらまずは遠い所がファーストチョイスという形を徹底しますが、1トップに入った田宮諒(3年・FCトリプレッタ)と、その下に並んだ吉田、杉山賢史(3年・FRIENDLY)、進藤誠司(3年・藤沢高浜中)はいずれもアジリティと技術に優れ、独力で局面を打開できそうな選手ばかり。12分には杉山がわずかに枠の左へ外れるミドルを放てば、21分には杉山、田宮と繋いで、最後は吉田のミドルが枠を捉え、何とか市船GK高橋諭(3年・ルキナス印西SC)が弾き出したものの、前への圧力を掛け続けます。一方の市船は一発勝負ということもあり、「守備面をある程度考慮して」(石渡靖之監督)インターハイ得点王の和泉竜司(2年・FC四日市)はベンチスタート。さらに1トップの水谷達也(3年・FC四日市)、そのすぐ下の藤橋優樹(3年・岐阜VAMOS)、左SHの石原幸治(3年・Penya F.C.Barcelona Japan)と攻撃のキーマン3人が、「前半から蹴ってくることはわかっていた」(本田監督)という流経にマンツーマンで対応されると、なかなか張り巡らされた包囲網を打ち破ることができません。31分は流経。進藤、富田湧也(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15習志野)が絡んで創り出した田宮の決定機は、市船のキャプテン平尾優頼(3年・松戸六実中)が体を投げ出してブロック。37分、吉田のパスを受けた杉山がニアへ折り返すと、田宮は大きくなってしまった持ち出しのトラップをうまくリカバーしながら、角度のない所から右のポストに直撃させる強烈なシュート。スコアこそ動かなかったものの、印象で言えば7:3から8:2の割合で流経優勢の中、最初の40分間は終了しました。後半開始から先に動いたのは市船。「前半をゼロで抑えられれば、ウチのペースだと思っていた」石渡監督は、川村翔矢(3年・三井千葉SC)に替えて和泉を投入。藤橋が川村のいた右SHにスライドします。するとその藤橋がサイドでうまく基点を創り、それに石原や和泉が絡むことで市船にもリズムが。49分には、石原のCKにフリーで今瀬淳也(3年・三井千葉SC)が飛び込むも、流経GK緒方大樹(3年・帝京中)が何とかキャッチ。55分、石原が左サイドを駆け上がって折り返したボールに、藤橋が左足で合わせたシュートはバーの上へ。前半はほとんど感じられなかったゴールの可能性が、徐々に高まってきます。ところが57分にゲームを動かしたのは流経。進藤からパスをもらった田宮が中へ。吉田はワントラップで左に持ち出し、やや角度が狭くなったにも関わらず、思い切って左足を振り抜くと、ボールはゴール右スミへ飛び込みます。「多くの方が注目してくれるゲームなのでゴールできて嬉しい」と笑ったエースの一撃。流経が先手を取りました。さて、自分たちがペースを握り始めていた時間帯で失点を許してしまった市船は、59分に水谷を諦め、松野央資(3年・FC四日市)を投入しましたが、流れは再び流経へ。62分、本橋託人(3年・Forza'02)がゴールまで30m近い距離から繰り出した無回転FKは高橋が何とかセーブ。64分、進藤と杉山を経由して、吉田がループ気味に狙ったミドルはここも高橋がファインセーブで逃れましたが、市船は守勢に回らざるを得なくなります。石渡監督は66分に大きな決断。ボランチの河崎敬(3年・フォルトゥナSC)を削って、正岡望世(3年・京都サンガU-15)を藤橋と最前線に並べ、今瀬のワンボランチで攻撃への姿勢を鮮明に打ち出します。最後の10分は、夏冬全国制覇を目指してきた市船の意地。72分、百瀬隆之介(3年・千葉みつわ台中)のクロスがファーに流れると、正岡はサイドネットの外側を揺らす惜しいシュート。76分には石原を下げて、FWの本田拓也(3年)を送り込み、さらにCBの山野辺大樹(3年・Penya F.C.Barcelona Japan)を前線に上げて、なりふり構わず1点を奪いにいきます。アディショナルタイムに入った81分、百瀬の右クロスから、山野辺は完全に芯で捉えたヘディングを放ちますが、緒方の正面。ツキもありません。84分、山野辺が体を張って獲得したFK。正岡のキックを緒方がパンチングで弾き出すと、鳴らされた長いホイッスル。ピッチに浮かび上がった勝者と敗者のコントラスト。「技術うんぬんより気持ちで負けないと決めていた」(増田繁人)流経が、3年ぶりとなる3回目の選手権出場を決めました。色々な意味で頂上対決らしいゲームだったと思います。「今日みたいな緊迫したゲームでも自分たちのペースを崩さずにやれるようなチームにしていきたい」とは本田監督。やはり負けたら終わりのトーナメント。さらに相手が最大のライバルともなれば、普通にやれというのが酷な話。求めていたスタイルは別にあったのかもしれません。しかし、そのプレッシャーの中で共に全力を尽くしたからこそ、試合後には自然とお互いが抱き合って健闘を讃えあったのでしょう。1年間“リュウケイ”と“イチフナ”という看板を背負い続けてきた選手たちに、拍手を贈りたいと思います。    AD土屋


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