デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2010/11

S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年11月04日

ナビスコ決勝 磐田×広島@国立

foot!
  • Line

サックスブルーの復興。90年代後半から00年代前半まで誇った隆盛も今は昔。2008年には入れ替え戦も経験するなど、苦しい近年を強いられている磐田。実に2003年の天皇杯以来となる日本一までは、あと1勝です。紫の勇躍。J2降格の憂き目に遭って3年。J1に復帰しただけではなく、今シーズンはACLにも出場し、チームのスタイルと共に独自の存在感を築き上げた広島。19年目の初戴冠はすぐ目の前です。磐田サポーターが白とサックスブルーに浮き上がらせたのはチームフラッグ。広島サポーターが白と紫に浮き上がらせたのは黄色いカップ。39767人を数える証人を集めた最後の聖戦、いざ開幕。両チーム通じて最初のシュートを放ったのは16分の磐田。中央やや左、ゴールまで約20mの距離から上田が狙ったFKは、わずかにバーの上へ。21分、槙野が右に展開したボールを、ミキッチが中へクロス。走り込んだ森脇のヘディングは枠の左へ。3バックの左右両サイドが共に絡んでの“らしい”フィニッシュが、広島の初シュート。ただ、「入りがあまりよくなかった。磐田は後ろからのポゼッションをしっかりケアしてきた」と広島のペトロヴィッチ監督が話せば、「広島も慎重になっていたので、穴がなかなかできなかった」と磐田の柳下正明監督。前述した2本のシュート以降は、29分にイ・ガンジンの素早いFKから、山本脩人の左クロスがジウシーニョの背中に当たり、枠外に飛んだ1本を含めた3本のみが、30分までに記録された両チーム通じてすべてのシュート。柳下監督も「初めの30分くらいは申し訳ないゲームをしたのかな」と苦笑いを浮かべましたが、実にファイナルらしさを感じさせる重苦しい展開が続きます。そんな空気が打破されたのは36分。「磐田は前からフォアチェックに来ていた」とペトロヴィッチ監督が振り返ったように、磐田の狙いは高い位置で奪ってからの速攻。その急先鋒としてなかなかボールに触れない中でも、決して怠ることなくプレッシャーを掛け続けていたジウシーニョは、この場面でもキッチリ中島に寄せると、その激しさにたまらず中島が下げたボールを、焦りが伝播したのか、西川はキックミス。拾った船谷は右へ展開し、前田が上げたクロスに自らフリーで走り込むと、「苦手なので当てることを意識した」というヘディングで西川の股間を破るゴール。流れの中からは初めて訪れたチャンスで一刺し。磐田が先手を取りました。しかし、いつもほどポゼッションも取れず、苦しい中でミスから失点を喫した広島もすぐに反撃。43分、右サイドでボールを持ったミキッチは、船谷、山本脩人、那須と迫り来る相手を軽やかにかわすと、ニアへクロス。左アウトを選択した李のシュートは、当たり損ねが幸いして、コロコロとゴール右スミへ転がり込みます。ほぼ2ヵ月ぶりのスタメン起用に応える、クロアチア人の好アシスト。GKの西川も参加した、11人で矢を射るパフォーマンスも飛び出し、広島が追い付いて最初の45分間が終了しました。ハーフタイムを挟み、後半開始から高柳に替えて、山崎を送り込んでも途切れない広島の勢い。48分、双子のパス交換から、和幸のフィードに抜け出したのは山岸。川口との1対1も冷静に股間の下を抜いたシュートが、ゴールに吸い込まれます。流れを掴んだ広島が見事に逆転してみせました。さて、前半でケガを負っていたイ・ガンジンに替えようと、既にピッチサイドで大井をスタンバイさせていたタイミングで、アンラッキーな失点を許した磐田。51分に右サイドをうまく抜け出した西のループも枠を捉えられず、ペースを引き戻せません。ペトロヴィッチ監督は56分に、早くも2枚目のカードとして、森崎浩司と青山をスイッチ。一方の柳下監督も60分、先制弾の船谷を下げて、「どんどん仕掛けろと言われていたし、途中で入った選手がやるしかないと思っていた」という菅沼を投入します。すると、ここからゲームの潮目が変化。63分、上田、西、那須と左右に揺さぶり、最後はジウシーニョのヘディングは枠内も西川キャッチ。67分、左サイドの菅沼を起点に那須が右へ展開。西のクロスを、ニアでジウシーニョがすらすと、菅沼の決定的なヘディングはオフサイド。72分、菅沼のサイドチェンジを受けた西の右クロスに、ファーでフリーの菅沼が放ったボレーは森脇がクリア。連続してピッチの横幅を使ったアタックで揺さ振る磐田。「自分たちのペースでゲームを運んでいた」とは柳下監督。この流れで、77分には最後のカードとしてジウシーニョOUTで山崎IN。勝負に出ます。耐える時間帯の広島。ペトロヴィッチも決断。78分、「体力的に限界で交替せざるを得なかった」ミキッチと替わったのは、切り札の佐藤ではなく横竹。ミキッチの位置には森脇が上がり、横竹が3バックの右に入ります。しかし、残り時間が10分以上ある段階で切った3枚目の守備的なカード。「4バック気味になってもいいので、僕は守備を重点的にやっていた」と森脇。「守ろうという意識はなかったが、そうなってしまった」と森崎和幸。これで全体のラインが下がったことが、結果的に磐田の猛攻を呼び込む格好になります。80分に上田のCK、81分に上田のFK。83分、上田の左クロスに、フリーの山崎がボレーも槙野ブロック。そのCK、上田のキックを古賀が頭で合わせるもバーの上へ。そして迎えた89分、またしても上田が蹴ったCKはニアでフリーになった那須がヘディング。西川も懸命に弾きましたが、ここに詰めていたのは「必ずチャンスが来ると信じていた」18番。アシストこそあったものの、それ以外では槙野と森脇に終始抑え込まれていた前田の、このゲームファーストシュートは起死回生の同点弾。磐田生還。2-2。カップファイナルは、5年ぶりの延長戦で雌雄を決することになりました。94分は広島、高萩の左足ミドルがクロスバー直撃。99分は磐田、上田のFKは最高のコースに飛びますが、西川が右手1本で超ファインセーブ。譲りません。そして102分、磐田はやはりセットプレー。上田の左CKを、またしても二アで那須が頭に当てると、菅沼のボレーはゴールネットを揺らします。3-2。再逆転。今度は磐田が1点のリードを奪いました。気落ちした広島にさらなる牙を剥く磐田。104分、山崎は前田とのワンツーで抜け出すと、「ディフェンスもシュートコースも見えていた」と右足一閃。4-2。「今非常に好調で、使ってみたいというのは初めからあった」という指揮官の采配ズバリ。点差が広がります。それでも諦めない広島。延長前半のアディショナルタイム、まったく同じ位置で2回のFKを自ら獲得した槙野が2本目に蹴ったボールは、伸ばした川口の右手を掻い潜ると、紫のサポーターへもたらされた歓喜。4-3。このゲームに不可能はないのでしょうか。またカップの行方は不透明に戻り、最後の15分間に突入します。109分、試合を決めたのはやはりこの男。古賀のFKを、胸トラップから縦へ持ち出した前田が強引に打ったシュートは、ブロックに戻った森崎和幸の足に当たり、ゆっくりとゆっくりと西川の頭上を越えて、枠の中へ。5-3。柳下監督も「ベンチでコーチ陣と「凄いな」と驚いていた。90分過ぎてからまた一段とアイツの凄さが出た」と手放しで称賛したエースの一撃。延長だけで生まれた4ゴール目はあまりに大きな追加点。磐田戴冠へのカウントダウンが確かに始まります。諦めない広島。115分、執念の象徴とも言うべき槙野のシュートは、わずかに枠の右へ。諦めない槙野。122分、エリア内へ切り込みPK獲得。自ら蹴ったキックは、しかし「最後の場面しか仕事してないんで」と笑った川口が意地のストップ。死闘にピリオド。古豪復活。磐田が「粘り強さが出てきている、その象徴のようなゲーム」(川口)を制して、ナビスコ王者に輝きました。理屈抜きに素晴らしいゲームでした。両チームの選手たちに心から感謝したいと思います。    AD土屋




  • Line