デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2010/11

S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年11月07日

J2第33節 柏×岐阜@日立台

foot!
  • Line

2009年11月28日。涙の降格から1年。いよいよ柏がJ1復帰を懸けたゲームに臨みます。「第1節からファイナルだと思ってやっているので、1試合ずつ極端なことを言えば“生きるか死ぬか”でやってきた」(柏・ネルシーニョ監督)積み重ねが、20勝9分け2敗という素晴らしい成績に。引き分け以上で昇格が決まるとはいえ、目指すのはただ勝利のみ。日程の関係上、ホームで昇格を決められるのはおそらくこれが最後のチャンス。サポーターと共に歓喜を分かち合うためにも、負けられないゲームは“太陽王”の名にふさわしく、強い日差しが射し込む日立台でキックオフを迎えました。3分に中盤でのルーズボールを収めた田中秀人のパスから、嶋田正吾がしっかり枠にミドルを飛ばし、ゲームのファーストシュートを記録した岐阜は、「前半に関しては、守備をしっかり固めてカウンターというパターンに徹した」と倉田安治監督も話したように、スペースをしっかり埋めたゾーンの4-4-2を選択すると、22歳の吉本一謙と36歳の秋田英義で組むCBが積極的なプッシュアップを行い、高いラインを保ったことで、全体のコンパクトさを維持。これにはネルシーニョ監督も「守備を徹底して走るし、サボらないので非常にやりづらい。キーになる選手が消されていた」と苦しめられたことを認めています。実際、7分にはレアンドロ・ドミンゲスのCKから、近藤直也がわずかにバーを越えるヘディングを放ちましたが、以降はボールキープこそ長いものの、流れの中からはなかなか決定的なシーンを創り出せません。逆に岐阜は、嶋田と左SHに入った押谷祐樹がカウンターの先鋒に。14分には押谷が無回転ミドルを枠内へ。30分には、嶋田が西川とのワンツーから右サイドに持ち出し、最後は右SBの新井涼平がフィニッシュ。「焦れて前掛かりになった所でカウンターを受けた」とはネルシーニョ監督。ボール支配とは裏腹に決定機へ繋がりそうな攻撃の手数は、ほぼ互角で推移していきます。少しモヤモヤしつつあった日立台がようやく沸いたのは33分。中央、ゴールまで約25mの距離からレアンドロが狙ったFKはクロスバー直撃。チーム最多タイの10ゴールをマークしている司令塔が、個の脅威を岐阜に突き付けてみせます。45分には北嶋の巧みなポストプレーから、左サイドを抜け出した蔵川洋平のクロスは流れ、拾った酒井宏樹が右サイドをえぐって折り返すと、蔵川のダイレクトシュートは枠の右へ。両SBが揺さぶりを掛けて創り出したチャンスもゴールには至らず。前半は「我々がうまくコントロールして進めていった」という倉田監督の言葉も頷けるような、岐阜のプラン通りに近い形で、45分間が終了しました。後半はスタートから岐阜に選手交替。あまり流れに乗れていなかったFWの佐藤洸一に替えて、永芳卓磨を左SHへ投入。前には押谷が上がり、嶋田と2トップを組むことになります。48分には柏にチャンス。大谷秀和のフィードを北嶋が収め、林陵平のシュートは秋田がブロックも、こぼれをレアンドロが再びシュート。枠は逸れましたが、このゲームではなかなか見られなかったアタッカー陣のコンビネーションで、惜しいシーンを創出します。すると、57分に日立台の黄色が噴火。近藤が獲得したFKをレアンドロがファーへ送ると、高い打点で林がヘディング。ここに飛び込んだのは、まるでここに合わせてきたかのような終盤戦の絶好調男・北嶋。そのまま見送っても入っていたようなボールに、頭から飛び込んだ執念が自らのゴールという記録を呼び込み、「林〜、ごめんなさい」とおどける一幕も。不動の9番が大舞台で価値ある先制弾。柏が昇格を引き寄せる、大きなリードを奪いました。倉田監督も59分、ボランチの池上礼一を下げて、川島眞也を送り込み、少し運動量が落ちてきた中盤を引き締めにかかりますが、あまり効果は得られず、どうしてもスペースが空き始めてしまいます。70分には北嶋がレアンドロとのワンツーで抜け出し、綺麗な左足ボレーを放つと、ボールは枠のわずか右へ。71分、酒井が右サイドを茨田陽生とのワンツーで抜け出し、上げた速いクロスは二アでDFが何とかクリア。74分、レアンドロ、林、茨田と細かく繋いで、レアンドロが左へ送ると、走り込んできた蔵川のシュートはGKがキャッチ。「サイドのスペースにもう少しMFが流れて攻撃しよう」というネルシーニョ監督が送った指示も高いレベルで実行した柏が、果敢に追加点を狙います。岐阜も76分には最後のカードを投入。足を攣った阪本一仁に替わって入ったパク・キドンが前線で押谷と並び、嶋田を2トップ下に配して、川島がアンカーに入る中盤ダイヤモンドの4-4-2で、最後の反撃を試みます。しかし83分、新井が大谷への危険なタックルで提示されたイエローカードは今日2枚目。岐阜は厳しい状況に追い込まれました。そして、もはやその瞬間へのカウントダウンが始まっていた90分、右サイドで6分前に投入された田中順也が粘って中へ送ったボールを林が落とすと、大谷は躊躇なく右足を振り抜き、ゴール左スミへ豪快に一刺し。全試合にスタメン出場してきたゲームキャプテンの今シーズン2点目は「思ったよりも“持ってる”なと思った」と笑う、バースデー翌日ゴール。勝利を確信したスタンドはもはや総立ち。さらなるデザートは94分。蔵川のクロスを、替わったばかりのホジェルが体を張ってキープしながらエリア内で倒されると、岡部拓人主審の判定はPK。キッカーのレアンドロが左スミに蹴り込み、フィエスタは終演。終わってみれば3-0。「僕らは90分を見てゲームをしている」とは大谷。トータルのゲームマネジメントで差を見せ付けた柏が、ホーム日立台で1年でのJ1復帰を見事に決めてみせました。石崎体制の終焉。新監督の就任。急激な方向転換。浸透しない新機軸。後手に回った監督交替。結果、4年ぶりの降格。負のスパイラルから抜け出せず、2度目のJ2生活を強いられた柏。しかし、「ネルシーニョの言うことがこの1年で浸透してきた」と北嶋が語ったように、シーズンを通じて勝利という結果を積み重ねることで、攻守に力強さを感じさせる素晴らしいスタイルが少しずつ、確実に構築されていった印象です。「手応えは100%感じている。4試合を残しての昇格、こういうシーズンにできたことは結果が証明している」と5度日立台の宙に舞った指揮官。1シーズンで見違えるように逞しくなったチームは、どんな時も声援を送り続けて来たサポーターに少し早い、それでも最高の「クリスマスプレゼント」(ネルシーニョ監督)を贈り届けてくれました。     AD土屋




  • Line