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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年11月14日

高校選手権東京B決勝 國學院久我山×都立駒場@西が丘

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東京Bのファイナルは東京実業を4-0と一蹴して、2年ぶりの全国へ王手を懸けた國學院久我山と、昨年の代表校でもある東久留米総合に延長で競り勝って、13年ぶりとなる全国を狙う都立駒場の対戦。前の試合は割合似たタイプ同士でしたが、この2チームはかなり特徴も異なるので、どういう噛み合わせになるのか楽しみにキックオフを迎えました。ゲームが始まると、久我山は基本布陣こそ4-2-3-1気味でしたが、前の4枚は比較的流動性の高いポジショニング。特に191センチの原之園卓也(3年・横浜FC鶴見)と、レフティの宮崎準也(3年・ジェファFC)は自由にピッチを泳いで、ボールを引き出しにかかります。全体的にも、ドリブルとショートパス主体のスタイルは相変わらずで、李済華監督の志向が強く窺えました。6分には宮崎の右クロスに原之園が頭で合わせ、ややヒットしませんでしたが、2トップで1つチャンスを生み出します。しかし、先手を奪ったのは駒場。13分、菅佑也(2年・東京ヴェルディJY)のクサビを赤沼太郎(2年・大森第六中)がダイレクトで落とすと、秋葉俊之介(3年・横浜FC鶴見)が打ち込んだボレーは、ゴール右スミへ吸い込まれます。「あんな見事な壁パスが決まるなんて、スタッフは驚いています」と笑ったのは山下正人監督。まずは駒場が先制してみせました。なかなかチャンスを創れなかった久我山に決定機が訪れたのは28分。平口開斗(3年・FC東京U-15むさし)のスルーパスに原之園が抜け出しましたが、ループは力がボールに伝わらず、GK根岸和也(3年・三菱養和調布)が難なくキャッチ。追い付けません。駒場で目を引いたのはボールアプローチの速さとタイミング。「久我山のサポートを少なくさせたかった。それには人に付いて、プレッシャーを掛けることで視野を狭くして、ボールを奪うしかない」という山下監督のイメージをしっかり体現。ボールを持たれる時間こそ長かったものの、バイタルにしっかり鍵を掛けたことで、30分以降もなかなか久我山に決定的なシーンを創らせません。逆に40分には駒場にFKのチャンス。中央やや右、ゴールまで20m強の距離からキャプテンの原玄(3年・横河武蔵野JY)が繰り出したキックは、わずかにゴール右へ。追加点とはいきません。ただ、「ウチは守りが特徴なので、今日も「ああ、いつも通りだな」って思った」とは原。駒場にしてみれば守備の時間が長いのは想定済み。決定的なピンチを1回に抑えて無失点。しかもリードまで奪う、おそらく想定以上の展開で前半を終えたのではないでしょうか。後半はアドバンテージを握っている駒場がまずは攻勢。45分には松本侑大(3年・Forza'02)が右サイドでの鋭い突破からクロスまで。46分、秋葉のCKをCB栗原将聡(3年・ヴェルディ調布JY)がシュートに持ち込むもヒットせず。51分、ルーズボールを拾った畠中潤(2年・北・桐ケ丘中)が、右に持ち出しながらシュートを放つと、ややかかり気味になってしまい枠の左へ外れたとはいえ、いい時間帯が続きます。久我山も57分には、井上大(1年・横河武蔵野JY)のFKに、大畑圭輔(2年・柏レイソルJY)がフリーでヘディングを放ちながら、ゴール左へ。惜しいシーンを創りましたが、これが後半最初のチャンスらしいチャンス。ビハインドを追う焦りからか、前半見せていたようなスタイルよりもロングボールが増えていき、原之園には収まるものの、攻撃がどうしても彼頼みへなりがちに。「相手が思ったより後半は長いボールを多用してきて、それなら自分たちの方が強いんじゃないかって思ってた」とは駒場の原。相変わらずボールへの集散が速い駒場が敷いた網を打ち破れません。逆に61分は駒場。秋葉のパスを受けた右サイドで畠中は、カットインからそのまま左足を振り抜くと、久我山GK山本幸汰(1年・ジェファFC)のファインセーブに遭いますが、追加点への意欲も十分です。早く同点ゴールを奪いたい久我山は、もう割り切ったのか、縦に速いサッカーへシフト。63分には宮崎の右CKに、山内寛史(1年・AZ'86tokyo-ome)が狙ったヘディングはクロスバーの上へ。65分にも宮崎のFKから、二アで並木凌介(3年・横浜FC鶴見)が頭で合わせるも、GKキャッチ。時間ばかりが経過していきます。とはいえ、やはり苦しいのは駒場も同様。後のない久我山のパワーに押し込まれる場面も目立ち、「ちょっと引いちゃって好きにやられてしまった」とは山下監督。必死に耐える展開を強いられます。そして、74分には久我山に千載一遇の同点機。途中出場の山内浩道(3年・東京久留米FC)がFKを素早くリスタート。DFラインの裏へ落としたボールに、反応した原之園がGKと1対1の場面を迎えましたが、シュートはバーの上へ。オレンジの落胆。1点が奪えません。すると、ここを乗り切った駒場は最後の集中力を発揮。「最後の5分は仕方ないんで、色々言うのをやめた」という山下監督の意気に応え、久我山決死のアタックを凌ぎ続けます。そして聞こえたのは、待ちに待ったタイムアップのホイッスル。「力強いチームになってくれたと思う」と指揮官も笑顔を見せた駒場が、インターハイに続く東京二冠を達成して、13年ぶりに全国の舞台へ帰還する結果となりました。今年の東京高校サッカー界は、かなりチーム間の実力が拮抗した大混戦の1年だったと思います。そんな中で、駒澤はT-1との、駒場はインターハイとの二冠をこの選手権で達成してみせました。これは本当に大変な偉業と言っていいでしょう。この2チームが他のチームに比べて突出していたのは何だったのか。それは「高校サッカーらしく気持ちで戦うチームなんで」と原が、「気持ちだけは絶対負けるなと言っている」と山下監督が、図らずも共に口にした“気持ち”。最後は東京の中でも“気持ち”がどこよりも強かった2校が優勝旗を掲げたのだと、私は思いました。    AD土屋


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