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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年11月18日

天皇杯4回戦 大宮×福岡@NACK5

foot!
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このリーグ終盤に来てミッドウィーク開催という、かなり不可解なスケジュールで行われる天皇杯の4回戦。残留を争っているJ1の大宮と、昇格を争っているJ2の福岡。リーグ戦とはメンバーを大幅に入れ替えるのは目に見えており、試合前はその内容を危惧する気持ちがなかったと言ったら嘘になりますが、結果的に少しでもそんな疑念を抱いたことを謝らなくてはならないような、素晴らしい激闘となりました。「このメンバーの方が今日はいいパフォーマンスを発揮できるのではないか」と鈴木淳監督が送り出した大宮のメンバーは、GKが江角。4バックは右から杉山、福田、アン・ヨンハ、2種登録の宮崎泰右。ドイスボランチが橋本とルーキーの木原正和。SHは右が渡部で左が内田。2トップは藤田と市川、という11人。直近のリーグ戦からスタメン全員が入れ替わります。一方、「今ウチの動ける選手でベスト」と篠田監督が選んだ福岡のメンバーはGKが六反。4バックが右から平石健太、柳楽、山口和樹、イ・ジョンミン。中盤はボランチが阿部と宮路で、右に鈴木、左にソン・ジョンリュン。やや縦関係気味の2トップは高橋と永里、という11人。こちらは永里以外の10人を直近のリーグ戦から変更。ただ、個人的には普段ほとんどプレーを見る機会のない選手がたくさん見られて、お得感を覚えながらゲームに入りました。さて、立ち上がりは開始1分に福岡の高橋が積極的なミドルを放ちましたが、以降は大宮のペースに。特にボランチに入った橋本が幅広くボールを引き出しては配給することで、攻撃のリズムが生まれます。また、「前半はFWに食い付き過ぎてうまく行かなかった」と福岡のCB山口が話し、鈴木監督も「よく間に顔を出して、クサビを入れてコンビネーションプレーはできた」と振り返ったように、藤田がうまくバイタルへ潜り、ボールを収めて基点になったことも、大宮が攻勢に出た1つの要因に。4分には市川が渡部とのワンツーから抜け出すと、六反にファインセーブを強いるシュートを枠に飛ばし、6分には宮崎が判断よくダイレクトではたくと、内田のスルーパスから市川がゴールに流し込み、これはオフサイドを取られますが、いい形を創ります。すると18分、橋本が右サイドをドリブルで前進して中へ。市川のスルーを経て、受けた藤田はエリア外から左スミギリギリをピンポイントで撃ち抜くシュート。勢いそのままに大宮が先制しました。アウェイで失点を許してしまった福岡。ところがその1分後に、あっさりと追い付いてみせます。高橋が右に流れて折り返したクロスに、ファーサイドから飛び込んだのは、今日がプロデビュー戦となったソン・ジョンリュン。「昨日は緊張して眠れなかったが初めてもらったチャンスだし、チームに貢献したい気持ちはずっと持ってた」という19歳の同点弾。スコアは振り出しに戻ると、ここから形勢逆転。基本的なスキルで上回る大宮がボールを持つ時間こそ長いものの、球際への強さと速さが出てきた福岡が前への推進力を強めると、30分には橋本からボールを強奪した阿部がクロスバーをほんの少し越えるミドル。38分にも、永里が右に持ち出しながら放ったシュートは江角がセーブ。終盤は福岡が手数を増やし、大宮ゴールを脅かすような格好で45分間が終了しました。迎えた後半も流れは福岡に。そして54分、左SBのイ・ジョンミンがオーバーラップからエリア内までドリブルで侵入すると、杉山に倒されPK獲得。キッカーは鈴木。福岡の逆転を誰もが予想する中、21歳のキャプテンが蹴ったボールは、しかし江角がワンハンドで弾くとクロスバーにも弾かれゴールならず。千載一遇の好機を逃してしまいます。そうなるとまたも流れは一変し、大宮ペースに。61分、左から宮崎のグラウンダークロスに渡部が合わせるもバーの上へ。62分、木原のスルーパスから内田が抜け出すも、フィニッシュは六反がファインセーブ。65分には福岡も鈴木がグラウンダーで蹴ったCK、永里の左足シュートはわずかに枠の左へ。66分は再び大宮。宮崎がサイドに押し出されながら、素晴らしいクロスを上げると、藤田のヘディングはわずかにゴール右へ。この時間帯は「よくオーバーラップしてクロスを上げてくれた」と鈴木監督も評価した宮崎が、チャンスメーカーとして躍動します。そんな大宮の流れで訪れた72分、右サイドで渡部、木原と繋ぐと、杉山はカットインしながら突如左足一閃。ボールはクロスバーと地面を叩いてから、ゴールネットに到達。J1のプライドか。大宮が突き放しました。さて、ラスト20分あまりで再びビハインドを負った福岡。篠田監督も74分に大久保、77分に岡本と攻撃的なカードを切って勝負に出ますが、なかなかチャンスを創れません。それでも84分、一瞬のエアポケット。左サイドから岡本が上げたクロスは、大宮CBの福田とアン・ヨンハが取っていたポジションの、ちょうど真ん中辺りに入り、フリーで走り込んだ高橋は冷静に頭でゴール左スミへグサリ。福岡蘇生。ゲームは延長戦に突入しました。その延長は前半が福岡ペース。103分、鈴木のCKに山口が頭で合わせたボールは、わずかに枠の左へ。「俺、ラッキーボーイかって思ったんですけどね」と苦笑した、プロ初スタメンの山口。大宮入りしてから気合で坊主にしたという“漢”でしたが、ラッキーボーイになり損ねます。延長後半は大宮ペース。108分、橋本のラストパスから最後は石原が狙うも、六反がセーブ。112分、金久保のクロスから、市川のシュートはここも六反セーブ。120分、ゴールまで25m強の距離から金久保が繰り出したFKはバーを越えてしまいます。両者譲らず。ベスト8への挑戦権はPK戦へ委ねられることになりました。先攻は大宮。1人目の橋本が右へ蹴ると、六反は完璧なセーブ。後攻の福岡。高橋は左上へ成功。2人目の藤田は左上へ成功。大久保のキックは江角がセーブ。タイスコア。3人目の市川は六反の逆を突いて左スミへ。ゲーム中のPKを失敗した鈴木は右サイドネットへ突き刺し、リベンジ達成。4人目の石原は「元々PKは得意」という六反がセーブ。岡本は左上へ成功。5人目のアン・ヨンハは冷静に六反の逆を取って成功。そして阿部も江角が飛んだ逆側に流し込み、ミッション完遂。120分間にプラスしてPK戦までもつれ込んだ死闘は福岡に凱歌。敵地で、クラブ史上初となるベスト8進出の快挙を「遠い地まで応援に来てくれた」(篠田監督)サポーターと共に喜びました。素晴らしいゲームでした。双方死力を尽くしてベストのパフォーマンスを披露。そこにはまさに監督によって、“ベストメンバー”だと送り出された選手たちのプライドがありました。何をもってベストとするか。そんな議論がいかに意味のないものかを証明するような熱戦だったと思います。   AD土屋


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