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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
柏サポーターにとって今日のゲームはただのリーグ戦における1試合ではありません。なぜなら日立台に乗り込んでくる熊本のGKは、「12年もいたスタジアムなので、ここでやるのは特別」と自ら話す南雄太。2005年の降格も、2006年の昇格も、そして昨年の降格も、いい時期も辛い時期も想いを共有してきた守護神の帰還。選手紹介のアナウンスには、大きな拍手と大きなブーイング。そして、熊本を率いる高木琢也監督も「“雄太を男にしてやろう”と言って送り出してくれた」と当の南。このGKを様々な感情を持った眼が見つめる非常に不思議なゲームは、コイントスでエンドが入れ替わり、南が柏の熱狂的サポーターを背負う形でキックオフを迎えました。開始37秒、林陵平のスルーパスに北嶋秀朗が抜け出し、南との1対1は枠を外したものの、いきなり決定機で幕を開けたゲーム。熊本は「CBがいつものメンバーじゃなく、うまく連携ができなかったので」(高木監督)、3-4-1-2という意外なシステムを選択してきます。ただ、立ち上がりこそいきなり大ピンチになりましたが、右からチョ・ソンジン、堤俊輔、福王忠世と並んだDF3枚が、柏の2トップに入った林と北嶋に対して1枚余らせながらケアする形を採り、早いチェックで高い位置での基点潰しに成功します。さらに、攻撃面では「相手のボールアプローチを考えて、ワイドプレーヤーを置く方がポイントが創りやすい」と右に宇留野純、左に片山奨典を配置し、中盤は中に絞る形が特徴の柏を牽制。加えて、19分に渡辺匠のパスから松橋章太が掴んだ決定機と、23分に松橋の右クロスから、最後はカレン・ロバートがボレーを枠に飛ばした決定機と、この2回の鋭いカウンターで配給役になったのは2トップ下に入ったファビオ。ネルシーニョ監督も「前半は対応が中途半端でファビオにカウンターの基点を創られた」と認めたように、普段とは異なる位置での起用にも「中盤の難しさを肌で感じた」と振り返りながら、しっかり応えてみせます。それでも、2回のピンチを切り抜けてからは、やはり柏が攻勢に。28分には大谷秀和の縦パスに、7月17日以来となる13試合ぶりの出場を果たした大津祐樹が反応して、左足で狙ったシュートは南がファインセーブ。36分には田中順也が右へ流れながらラストパスを送り、林がフィニッシュに持ち込むと、これも「ある程度運ばれても最後の所はやらせてなかった」と語る南が超ファインセーブ。ゴールは奪えなかったものの、レアンドロ・ドミンゲスの出場停止と、茨田陽生のボランチ起用に伴い、攻撃的な中盤を任された田中と大津がチャンスに絡み始めます。柏も徐々に手応え。そして熊本は2回あったチャンスのどちらかで先制点さえ奪えていれば、ほぼ満点と言っていいようなゲーム運びで前半は終了しました。後半に入ると、先に熊本が決定機を創出。52分には宇留野のパスから、軽い対応の近藤直也と入れ替わったカレンがわずかにゴールの左へ外れるシュートを放ちます。しかし、この後はひたすら柏が攻め続ける展開に。ボランチの大谷も中盤の底から効果的なパスを送りますが、55分の大津、57分の北嶋とシュートまで持ち込めません。60分、大津、北嶋と繋いで田中のフィニッシュは南がキャッチ。「相手の攻撃のリズムや流れの中でうまく対応できた」と高木監督。熊本も集中が切れません。1つ柏から見て、なかなかいい形でフィニッシュまで行けなかったのは、ネルシーニョ監督も言及した「サイドから攻撃を仕掛けたが、決め球の質を欠いた」部分でしょう。後半は、「修正してカウンターに落ち着いて対処できた」(ネルシーニョ監督)ため、前半以上に右の村上佑介、左の橋本和とSBがオーバーラップする機会が多かったにも関わらず、中央にしっかり合うようなクロスは共にほとんど繰り出せず。「相手が5バック気味で、クロスはファーに蹴っていたがそれ一辺倒になってしまった」と橋本。スタジアムにも何度となく溜め息が漏れてしまいます。68分には大津が北嶋とのワンツーで抜け出すも、左足のシュートはバーの上へ。動いたネルシーニョ監督。直後に田中を下げて、工藤壮人をそのまま中盤に配置。76分には林に替えて、ホジェルを最前線へ投入します。78分にはそのホジェルが、北嶋から受けたボールをミドルエリアから枠内へ飛ばすも南がセーブ。82分、大谷のフィードをホジェルが落とし、北嶋のシュートは枠の左へ。ネルシーニョが切る最後のカードは右SB。残念ながら1本たりともクロスを中に合わせることができなかった村上と小林祐三をスイッチ。サイドのパワーを増強します。86分には、その小林が左へサイドチェンジ。工藤のシュートは左サイドネットの外側に。高木監督も2枚目のカードを88分に。前線の松橋を下げて、筑城和人を右SHに投入。ドローOKの意志を統一させに掛かりました。89分、大津の左クロスをニアで北嶋が合わせたボールはバーの上へ。アディショナルタイムは6分。94分、小林が北嶋とのワンツーで右サイドを切り裂き、ラストパスを大津が狙うも、南ががっちりキャッチ。95分、橋本のクロスはファーへ。フリーのホジェルがうまくミートさせたボレーは、南が弾き出しゴールならず。「とにかくゴールを取れなかった試合」とネルシーニョ監督。「前節負けて、柏のアウェイで戦うという状況を考えればよく頑張ってくれた」と高木監督。双方譲らず。スコアレスドローがゲームの終着点になりました。熊本は「勝つためにこの戦術、やり方が一番合っていることを選手たちが理解してくれた」と高木監督が評価したように、このゲーム限定とも言えそうなシステムと戦い方を、よく遂行したと思います。「最近できてなかったので、ゼロに抑えられたのは良かった」と南。守備面では大きな収穫を得たようです。柏も無得点に終わったとはいえ、「自分たちの意図した攻撃は生み出せていた」(北嶋)「攻撃の形ができていたし、やっていることは間違いじゃない」(大津)と2人が話した通り、悪くない内容でした。勿論フィニッシュの精度は問われるものの、「相手のGKが改めていいGKだと思った」という北嶋の言葉を、多くの選手も感じたのではないでしょうか。そんな南は「これだけ温かく迎えてもらったので、しなきゃいけない」と、試合後は柏ゴール裏、メインスタンド、バックスタンドへ律儀にご挨拶。「やっていて楽しかった」と再会の90分間を堪能して、日立台を後にしました。 AD土屋
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