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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2010年10月18日

高校選手権東京A準々決勝 国士舘×関東第一@清瀬内山

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第2試合は選手権出場3回を誇る名門・国士舘と、近年では都大会の常連として確固たる地位を築いている関東第一。共にT-1リーグへ所属している、強豪同士の対戦となりました。私が関東第一に注目していたのは、そのテクニックにフォーカスしたスタイル。「あのちっちゃいヤツらが、どうすれば生きるかを考えた時に選択した」と小野貴裕監督が語る、ドリブルとショートパスを組み合わせたアタックは、東京の高校サッカー界でも異質です。一方、田中渓人(2年・ヴェルディSS調布)と赤木隼人(2年・ヴェルディSS調布)という決定力の高い2トップを生かす、縦へのアタックにパワーを持っているのが国士舘のスタイル。こう書くと関東第一がいいサッカーをしていて、国士舘は…と思われがちですが、私はスタイルどうこうにはさほど興味はなく、それよりも持ち駒を生かした戦い方で、どう勝利を手繰り寄せられるかを見たいので、この異なる特徴を持った両者の対戦がどう転ぶのかを、かなり楽しみにしてキックオフを迎えました。まず、立ち上がりで目に付いたのは関東第一が見せたゲームへの入り方。夏はとにかく最終ラインから執拗に繋いで繋いでビルドアップしていくシーンが多く見られましたが、今日はシンプルに縦へ蹴り込む長いボールも少なくなく、「いいサッカーをすれば勝利はどうでもいいって訳じゃないんで」と笑う小野監督の意図が透けて見えます。それでも7分には左サイドをうまく崩して、向井凌雅(3年・FRIENDLY)のクロスに香山彰利(3年・FC明浜)が合わせ、DFにブロックされますが“らしい”形を創ると、12分にはFKのチャンス。キッカーの田邊敬一郎(3年・ヴェルディSSレスチ)は、中へ合わせるモーションから左へはたき、斜めに走り出していた向井が中へ折り返すと、飛び込んできた沓掛元気(2年・ヴィヴァイオ船橋)は後手を踏む対応になってしまった国士舘DFに倒され、主審はPKを指示。これを田邊が確実に流し込み、ペースを掴んでいた関東第一が先制ゴールを挙げました。さて、1点を追う形になった国士舘は、中盤でうまくフィルターを掛けられずに、なかなかマイボールの時間を増やせません。26分には赤木が焦れたように強引なミドルを打ちましたが、ゴールのはるか右へ。T-1ではゴールを量産した田中渓人も前を向かせてもらえず、手詰まりに。すると32分には関東第一に決定機到来。田邊、伊東礼央(2年・FC多摩)、田邊と繋ぎ、谷中隆太(2年・NASALOT FC)が左サイドからクロスを送ると、またも飛び込んできた沓掛のシュートはDFがブロック。しかし、このCKを田邊が蹴り込むとニアで泥臭く押し込んだのは香山。押し気味にゲームを進めていた関東第一が、大きなアドバンテージを握ってハーフタイムに入りました。後半に入っても流れは変わらず、関東第一ペース。小さくないビハインドを負っている国士舘の田中哲夫監督は、53分に田中渓人と赤木を諦め、クルーズ・アンソニー豪(2年・ヴェルディSS調布)と長谷川拓夢(3年・小松川第三中)を投入。2トップをそっくりそのまま入れ替えますが、それでもやはり中盤での劣勢を跳ね返すことができず、個の力はありそうな前線にボールを供給できません。逆に関東第一は65分、田邊のパスを受けた途中出場の小川絢生(1年・小倉南FC)が、わずかに枠の右へ外れるシュート。67分には「前線でしっかり収められる」(小野監督)宇羽井アハマド(1年・FC多摩)が粘って右へ。伊東の折り返しを、香山が狙ったシュートは枠を捉えられませんが、チームとして3点目への意欲を隠しません。70分にはようやく国士舘にも、このゲーム最初の決定的なチャンス。左サイドで受けたクルーズは、浮き球をループ気味にボレーで狙いますが、ボールはわずかにゴールの右へ。2点が重くのしかかります。そんな相手を尻目に、最後の10分間は関東第一のアタックショー。74分、右サイドをえぐった伊東が巧みなチップキックで1人かわして折り返したボールを、香山が狙うもバーの上へ。75分、香山のスルーパスにラインギリギリで抜け出した宇羽井がGKと1対1になったものの、枠に飛ばせず。76分、小川のラストパスを香山はDFともつれながら、フィニッシュまで持ち込むも枠の右へ。80+2分、伊東の右クロスに途中出場の七戸翔太郎(3年・FC多摩)は合わせ切れず、小川のシュートはクロスバー直撃。「試合を見てなくて結果だけ見た人にとっては、2-0と3-0だと受ける印象も違うので、3点目が欲しかった」と小野監督は苦笑しましたが、2年生ながらキャプテンを任されている村岡翔太(FC CONSORTE)と星清太(1年・FRIENDLY)で組んだCBを中心に、最後まで守備面でも集中を切らさず、国士舘をシャットアウト。関東第一が4年ぶりとなるベスト4へ駒を進める結果となりました。現役時代は群馬FCホリコシでのプレー経験もある小野監督は、まだ30歳の青年監督。それでも「以前は荒いイメージを持たれていた」と自ら評したチームに、まったく違ったスタイルをうまく植え付けている印象です。次は「何としても当たりたかった」という帝京戦。高校サッカー史上最も有名なカナリア軍団に、同じく黄色のユニフォームを纏った“新・カナリア軍団”がどこまで肉薄できるか。準決勝は11月6日、西が丘サッカー場で行われます。    AD土屋


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