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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年09月26日

J2第28節 横浜FC×富山@国立

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開幕3連勝と最高のスタートを切りながら、以降は5連敗と4連敗が1度ずつと苦しい中盤戦を強いられていた横浜FC。ところが、中断明けは9試合を戦って5勝2分け2敗と大きく勝ち点を伸ばし、現在9位と再び上位を狙える位置にまで浮上してきました。聖地国立開催となる今日の相手は昇格2シーズン目となる富山。横浜とは対照的にここ7試合勝ちがなく、現在は4連敗中。加えてこのゲームはチームのトップスコアラー黒部光昭が出場停止で不在と、苦戦は免れそうにありません。ガチャピンの選手紹介という何とも珍しいイベントを経て始まったゲームは、案の定立ち上がりから横浜が圧倒。3分に武岡優斗がカイオとのワンツーから抜け出し、右サイドネット外側に強烈なシュートを打ち込むと、9分にもエデルの左アーリークロスが、裏へ走るカイオに通る寸前で富山の左SB谷田悠介にクリアされ、フィニッシュまでは繋がらなかったものの、まずは積極性を打ち出します。ただ、12分にエリアの外側で横パスを7、8本回して、最後はエデルが焦れたようなミドルをクロスバーの上へ打ち上げたシーンが象徴するように、かなり全体のラインを下げてブロックを築くような富山ディフェンスの前に、カイオも引いて受けたがるシーンが増えてきたこともあって、横浜もなかなか縦への効果的なボールが入らなくなり、少しずつ落ち着きを取り戻した富山が逆にポゼッションで上回るような展開に変容していきます。しかし、楚輪博監督が「選択肢がボールを繋ぐという意識なのか、フリーでやっててもパスを選択してしまう」と語った通り、ボールを保持する時間は長くなったものの、効果的な縦パスやサイドからの崩しは出て来ず、シュートはまったく打てません。すると28分、横浜は右サイドでクサビを武岡が巧みなワンタッチで繋ぎ、難波、ホベルトを経由したボールはカイオの足元へ。ゴールまで約25mの距離から、10番は右スミに曲げて落とすゴラッソ。流れを引き戻した横浜が先手を取ります。さらに39分、左サイドで「彼に求めたいのは攻め込んで、相手が攻撃する時間をなくすことで“守備”をすること」と指揮官に言及されたエデルが、いい意味で期待に反して低い位置までプレスに戻って奪ったボール、八角が絶妙のアーリークロスをDFとGKの間に落とすと、飛び込んだ難波はGKをワンタッチでかわして難なくゴール。一時は嫌な展開になりかけたとはいえ、結果的には富山のシュートをゼロに抑えた横浜が、2点のリードを奪ってハーフタイムへ折り返しました。後半は富山が51分に谷田の左クロスから、ようやく木本敬介のヘディングでチーム初シュートを記録しますが、ボールはバーの上へ。そして58分、柳沢将之のCKをまったくのフリーになっていた渡邉将基が頭で叩き込み、横浜に3点目。「1人1人マークは掴めているのにフリーでやられるということは、意気消沈してるのかなと思った」と楚輪監督。実質試合の行方は決しました。せめて1点は返したい富山も69分、朝日大輔が右サイドでDFと競り合いながら粘って上げたクロスから、途中出場の平野甲斐がヘディングをクロスバーにぶつけますが、岡宏道主審は朝日がファウルを受けたというジャッジで富山のFKを指示。そのFKも平野が入れたボールをニアへキン・ミョンヒが頭から飛び込んだものの、ボールはわずかに枠の右へ。スコアを動かせません。そんな中で迎えた71分、今日一番の歓声に包まれてピッチに登場したのは「国立競技場は特に20代の頃、30代の頃、代表の頃のことを思い出していつも入っていく。グラウンドに入ると、日本のサッカー界が積み上げてきた歴史、悔しいこと、皆で歓喜したこと、いろんなことを思い出す」というカズ。さすがにスターは姿を現しただけでも十分その価値を感じさせましたが、その3分後にはただのスターではなく、ホンモノのスーパースターと呼ばれる理由を自らの足で証明してみせます。74分、カズが倒されて得たFK。本来はFKキッカーのカイオは「カズがここまでやってきたことを考えると絶対譲らなきゃいけない」とカズにキッカーを譲ります。固唾を飲んで見守るスタジアム。短い助走から繰り出されたキックは「力を抜いていいイメージで蹴れた。入った感触はあった」と本人も手応えを語ったように、美しい軌道を描いてゴール左スミへ吸い込まれます。その瞬間、スタジアムは記者席も含めて凄まじい雰囲気に。「入れた瞬間の盛り上がりは感じた。素晴らしい雰囲気の中でダンスを踊らせてもらいました」と振り返る“カズダンス”が飛び出すと、ピッチ上の選手はもちろん、ベンチからもスタッフを含めたほぼ全員が飛び出し歓喜の輪が。「ここで久々にゴールできて嬉しく思う」という国立でのゴール。私は瞬間、97年9月7日のことを思い出していました。日本がまさに世界への扉を開いた、フランスワールドカップの最終予選第1戦。代表のエースとしての重責を見事に結果へと昇華させた、あの伝説の4ゴールの中でも4ゴール目と、それに続いてメインスタンドへと走り出す姿。おそらく日の丸を背負った彼としては最後に輝きを放った、あの日から13年。43歳になっても、なお現役プレイヤーてして戦い続ける男の閃光。舞台も観客の数も違うかもしれませんが、ひょっとすると13年前のあの日よりずっと価値のある瞬間に居合わせることができたのかもしれません。さて、富山も85分にはカン・ヒョンスのFKから、そこまではキッカーを務めていた平野が「いいシュートだったと思う」と自画自賛する、173センチとは思えない程に高い打点のヘディングをねじ込んで1点を返しますが、反撃もそこまで。「結果も内容も勝利に値する形になったのかな」と岸野靖之監督も納得の横浜が、最高のデザートまで提供してくれるようなゲーム運びで、さらに上位との差を詰める勝ち点3をモノにしました。富山は率直に言って相当厳しい状況だと思います。黒部不在を差し引いても、攻撃のアイデアや連動性はほとんど見られず、「点を入れられるとお手上げみたいになっちゃう」と楚輪監督も苦笑い。残り試合で意地を見せて欲しい所です。勝った横浜は、内容も先制ゴール以降はほぼパーフェクトに近い形。「チームとしては絶対なくさなきゃいけない」と岸野監督も触れた最後の失点は確かに余計でしたが、いい形で次節の甲府戦に臨みます。それにしてもやはりカズは凄いですね。素直に頭が下がります。「自分はいいプレーをしたいし、いいプレーをできると思っているし、チャンスをもらえれば活躍できると信じている」と話せば、「明日の新聞楽しみにしてますよ。ソフトバンクだと思うけど」と報道陣を笑わせる一幕も。やはりスターは、いや、スーパースターは最後までスーパースターでした。    AD土屋




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