デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2010/09

S M T W T F S
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2010年09月25日

J1第24節 FC東京×大宮@味スタ

foot!
  • Line

城福監督解任後、16位のFC東京が初めて迎えるリーグ戦は勝ち点3差で前を行く14位大宮との激突。9年ぶりに指揮官として帰還した大熊清監督の初陣は、いきなりの残留争い直接対決です。清水に快勝したかと思えば、鹿島に完敗してみたり、なかなかチーム状況が読みにくい大宮は、金澤が出場停止のボランチにイ・ホ、CBには前節に続いて今シーズン2度目のスタメンとなる福田を起用。やや守備に不安を残すメンバー構成となります。一方の東京で一番の変化は、リカルジーニョを左SHに起用し、最前線で大黒のパートナーに平山を指名したこと。実際ゲームが始まってみると、東京が鮮明に打ち出したのは平山の高さを最優先に活用するスタイル。最終ラインである程度繋いだら、シンプルにフィードという形を多用していくと、これが奏功した格好で東京が攻勢に。19分には縦フィードを平山が頭で落とし、最後は3列目から飛び出した森重がエリア内でフィニッシュ。ボールはクロスバーの上へと消えていきますが、1つ狙い通りの形で決定機を創出します。ただ、少し気になったのは2トップのコンビネーション。大黒は「相太(平山)といい距離感でやれてた」と話しましたが、平山が裏へ落として大黒が走り込むようなシーンはなかなか創れず、チームもまず平山へのハイボールを選択したために、「大黒にはほとんどボールが入らなかった」とは大熊監督も認める程。前半45分間で記録したシュートもゼロで、大黒の良さを生かすには難しい展開だったと思います。また、「平山へ入れてくるボールのセカンドが拾えず、運動量も東京が上回っていて後手後手に回る展開」(大宮・鈴木淳監督)の大宮でも特に空いていたのは右サイド。少し藤本と村上の連携が乱れがちになる中、東京は左SHのリカルジーニョへボールが入るケースが多かったのですが、「かなりサイドに開いていたので、ある程度持たれるのはしょうがないと思った」とは大宮のCB坪内。確かにボールが入ってからのリカルジーニョは、速攻時も遅攻時も自分で行くのか周囲を使うのかのタイミングが曖昧で、そこからフィニッシュまで繋がったのは数える程。攻撃している時間の長さの割に、ゴールの予感は漂って来ません。41分には石川のパスを右サイドで受けた平山が、柔らかいラストパスを送り、またも飛び出してきた森重がシュートを放ったものの、大宮CB福田俊介が体でブロック。奪えない先制ゴール。すると42分には大宮にチャンス到来。ラファエルが右へ展開したボール、軽い対応の中村と入れ替わった藤本は縦に持ち出してシュート。ここは権田がセーブしましたが、ようやく大宮も惜しいシーンを創ります。入れ替わる攻守。今度は東京に決定的なシーン。45分、椋原の右グラウンダークロスは中で誰も触れず、ボールはファーサイドのリカルジーニョへ。GKの北野もクロスに出ていたため、空いたゴールにシュートを流し込むも、ライン上で福田に掻き出され、スコアを動かせません。東京からすれば、攻守に圧倒しながら何とももどかしい45分間が経過しました。後半も立ち上がりから東京のラッシュ。48分、リカルジーニョの左クロスを平山がうまく落として、大黒のボレーはGK正面。51分、平山のパスからリカルジーニョの強烈な左足シュートは北野がファインセーブ。51分、53分と続けざまに平山が放ったシュートは、前者がわずかにクロスバーを越え、後者は北野がストップ。あと一歩でゴールという時間帯が続きます。さらに勢いを増したい大熊監督が、57分に切った1枚目のカードは大黒に替えて大竹。送り込まれた大竹もすぐ流れに乗り、左サイドでドリブルやシンプルなパス捌きで、チームにアクセントをもたらします。しかし、もはや決壊間近と思われた大宮を甦らせたのは鈴木監督の決断。63分、藤本を下げて石原をFWに投入し、「どこで使うかがキーになっている」と指揮官が捉えていたイ・チョンスを右SHにポジションチェンジ。これを境に「サイドに基点が作れるようになってペースが掴めた」(鈴木監督)大宮がジワジワと攻撃の手を強めると、69分に大きな議論を呼ぶであろうシーンが訪れます。大宮は北野のパンチングからカウンター発動。金久保が素晴らしいサイドチェンジを右へ送ると、イ・チョンスはあえてマイナス気味に速いクロスを中へ。プルバックしたラファエルがボレーで叩くと、ボールはクロスバーに当たり、バウンドしてゴールラインを越えましたが、名木利幸副審のフラッグは上がりません。記者席から見た限りは明らかにゴールでしたし、金久保も「入ったように僕には見えた」と振り返ったものの判定は覆らず、0-0は続きます。それでも流れは変わらず、71分にも石原が惜しいシュートを放つと、その2分後にとうとう「耐えていればいずれチャンスは創ってくれる」という坪内をはじめとした守備陣の期待に、攻撃陣が応えます。73分、右サイドでラファエルが粘って粘って混戦を抜け出し、ファーサイドへクロスを上げると、「ヘディングの感覚とかわかんないんで、とりあえず当てとけという感じで」飛び込んだのは金久保。「なかなか結果が出なくて焦る気持ちはあった」と語るルーキーのJリーグ初ゴールが飛び出し、自分たちの波をしっかりと掴んだアウェイチームが大きな1点をもぎ取りました。さて、「決定的なチャンスもあった」(大黒)にも関わらず失点を許した東京は、大宮と対照的に交替策もハマりません。67分にリカルジーニョとのスイッチで投入された重松も持ち前のシュート意識を打ち出せず、78分には前田を入れて変則の3-4-3にシフトしたものの、「守備をしながらチャンスがあったら攻撃しようと思っていた」と語る右WBの石川も、3人が攻め残りする相手に実質SBのような位置取りを強いられてしまいます。「最後の10分間はパワープレーになってしまった」と大熊監督。そして89分にはマトを平山のマンマーカーとして送り込む徹底した鈴木監督の采配。加えて最終盤には、ラファエルとイ・チョンスが2人だけで決定機を創り、2人だけで時間も巧みに消費させるなど、“質”の高さを存分に披露。崖っぷちでの直接対決は、耐えて耐えて奪った1発を守り切るという、何とも“らしい”勝ち方で、大宮が勝ち点3を強奪する結果となりました。大宮で見逃せないのは前節からの成長。「アンラッキーなこと」(鈴木監督)でゴールを取り消されたものの、前節の鹿島戦でジャッジにナーバスになったことで崩れてしまった経験から、「今節は前節の教訓を生かすことができた」と鈴木監督も言及した通り、気持ちを切らすことなく4分後にホンモノのゴールを決めてみせました。鈴木監督も「今日の一番の勝因」として、その精神的な部分を挙げており、色々な意味で勝ち点3以上に価値のある勝利となったようです。敗れた東京は、一方的に攻めながら一発に沈むという、まさに流れの悪いチームの典型的な内容で大熊体制初陣を飾れず。劇薬もとりあえずの効果は見られず、いよいよ最悪のシナリオが現実味を帯びてきました。果たしてこのまま沈没してしまうのか。残されたのはあとわずかに10試合です。    AD土屋




  • Line