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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
3位決定戦
2010/7/10 20:30 ネルソン・マンデラ・ベイ(ポートエリザベス)
ウルグアイ×ドイツ
天候:曇り時々雨 気温:14度 観客:36,254人
主審:ベニト・アルチュンディア(メキシコ)
【ウルグアイ】
GK
1 ネストル・ムスレラ
DF
4 ホルヘ・フシーレ
2 ディエゴ・ルガーノ(C)
3 ディエゴ・ゴディン
22 マルティン・カセレス
MF
17 エジディオ・アレバロ
15 ディエゴ・ペレス
16 マキシ・ペレイラ①
10 ディエゴ・フォルラン④
7 エディンソン・カバーニ
FW
9 ルイス・スアレス③
SUB
12 フアン・カスティージョ
23 マルティン・シルバ
6 マウリシオ・ビクトリーノ
19 アンドレス・スコッティ
5 ワルテル・ガルガーノ
8 セバスチャン・エグレン
11 アルバロ・ペレイラ①
14 ニコラス・ロデイロ(負傷)
18 イグナシオ・ゴンサレス
20 アルバロ・フェルナンデス
13 セバスチャン・アブレウ
21 セバスチャン・フェルナンデス
監督
オスカル・タバレス(ウルグアイ国籍)
(4-2-3-1)
--------スアレス----ーーーー
------------------
-カバーニ---フォルラン---M・ペレイラ-
-----アレバロ---ペレス-----
------------------
-カセレス-ゴディン-ルガーノ-フシーレ-
-------------------
--------ムスレラ--------
【ドイツ】
GK
22 ハンス・ヨルク・ブット
DF
20 イェロメ・ボアテンク
17 ペア・メルテザッカー
3 アルネ・フリードリッヒ①
4 デニス・アオゴ
MF
6 サミ・ケディラ
7 バスティアン・シュヴァインシュタイガー(C)
13 トーマス・ミュラー④
8 メスト・エジル①
2 マルセル・ヤンゼン
FW
19 カカウ①
SUB
1 マヌエル・ノイアー
12 ティム・ヴィーゼ
5 セルダル・タスキ
14 ホルガー・バドシュトゥバー
16 フィリップ・ラーム
15 ピオトル・トロホウスキ
18 トニ・クロース
21 マルコ・マリン
9 シュテファン・キースリンク
10 ルーカス・ポドルスキ②
11 ミロスラフ・クローゼ④
23 マリオ・ゴメス
監督
ヨアヒム・レーヴ(ドイツ国籍)
(4-2-3-1)
--------カカウ--------
-------------------
-ヤンゼン---エジル---ミュラー-
--シュヴァインシュタイガー-ケディラ----
-------------------
アオゴ-フリードリッヒ-メルテザッカー-ボアテング
-------------------
--------ブット--------
【マッチレポート】
最大の目標であるファイナルへの進出が絶たれて3日と4日。
最後の1試合は3位を決めるこのゲームになってしまったが、
どちらが勝っても初優勝のファイナルとは違って、
ワールドカップでの経験も豊富な両チームの激突。
今大会でおそらく最大のサプライズとも言うべき、ベスト4進出を果たしたウルグアイ。
タバレスが最後の一戦に選んだメンバーは
ここまで左SBとして出場してきたフシーレを右SBで起用し
M・ペレイラが一列上がって右SHへ。
左SBはオランダ戦同様にカセレスで、CBにはルガーノが帰還。
最終ラインを大きく組み替え、前線にはスアレスも出場停止明けで戻ってきた。
対するレーヴは大幅な入れ替えを敢行。
まずGKはノイアーではなく、36歳のブットがワールドカップデビュー。
こちらもここまで左SBだったボアテングが右SBに移り、
その左SBには今大会初出場のアオゴ。
中盤左SHはポドルスキを外してヤンゼンを、CFにはカカウを選択して、
前回に続く2大会連続3位を目指す。
さて、ゲームが始まるとスペイン戦での反省からか、
まずはドイツがボールをしっかり回し、ウルグアイが受け止める展開に。
ただ、いきなり5分にワールドカップデビューのアオゴが、
ペレスに足の裏を向けてタックル。
アルチュンディア主審はイエローカードを提示したが、
レッドでもおかしくないようなプレー。レーヴもちょっとヒヤリとしたことだろう。
先にチャンスを掴んだのは押されていたウルグアイ。
6分、ゴールまで30m強のFKはフォルラン、
蹴ったボールはカベに入っていたカカウがハンドで止めたという判定で
さらに近い位置からのFKへ。カカウにはイエローカード。
今度は20m強の位置から再びフォルランが放ったシュートは、
ボール約2個分、枠の左へ。外れたものの精度は低くない。
10分、今度はドイツにCKのチャンス、
エジルのキックをスアレスに競り勝ったフリードリッヒが頭で合わせると、
ボールはクロスバー直撃、ミュラーが押し込むもゴディンが何とかクリア。
お互いにセットプレーから1回ずつ得点機を創り合った。
ここからはボールを支配するドイツもなかなかゴール前に
迫っていくシーンまで持ち込めないまま、焦れるような時間が続いたが、
1本の積極的なシュートチャレンジがゲームを動かす。チャレンジしたのは、
ラームに替わってキャプテンマークを巻いたシュヴァインシュタイガー。
19分、ショートカウンター気味にケディラから
左サイドの深い位置でボールを受けたヤンゼンに
下がって対応したM・ペレイラのクリアは中央にいたシュヴァインシュタイガーへ、
2タッチで収めると30m以上ある距離から強烈なシュートを見舞う。
揺れて落ちたボールに、ムスレラは弾くのが精一杯。
詰めていたのは、“ゲルト”のような狡猾さでミュラー。
準決勝ではスタンドで苦虫を噛み潰していた20歳が大会5ゴール目。
まずはドイツが1点をリードするが、これがスペクタクルなシーソーゲームの
ほんの序章だとは、この時まだ知る由もない。
ドイツが特にこの立ち上がりの25分くらいまで、
スペイン戦と最も違った部分は、やはり前への推進力だろう。
ミュラーとヤンゼンの両SHが縦へとボールを要求していったのはもちろん、
前の試合ではほとんど攻撃に関与できなかったケディラも
前へと出て行くシーンが目立ち、これにシュヴァインシュタイガーも
うまく後方支援や自身のチャレンジを組み合わせて、中盤を支配していった。
今更ではあるが、これが何でスペイン相手にできなかったのかと思ってしまう。
25分、ウルグアイは右サイド、フシーレが付けたボールを
大きなブーイングを浴びながらスアレスがアオゴを背負って、
強引にクロス気味のシュート、こぼれをフォルランが頭で狙うも
メルテザッカーが体でブロック。ようやく2枚看板で流れの中からチャンスを創る。
すると28分、中盤でボールを持ったシュヴァインシュタイガーへ
ペレスが獰猛に襲い掛かるとボールカットして、すぐにスアレスへ。
カウンターはウルグアイ3人にドイツ2人。
フォルランが右に流れ、スアレスはそれを横目に左のカバーニへラストパス、
ワントラップで素晴らしいコントロールを見せたカバーニは
飛び出したブットの右側へ冷静に流し込む。
まるでドイツのお株を奪うようなカウンター炸裂。1-1、ゲームは振り出しに戻る。
やはり見逃せないのはペレスのボール奪取だろう。
この男とアルバロで組むドイスボランチのボール奪取力、
そして何者をも恐れない果敢なチャレンジは、見る者の胸を熱くさせる。
モナコとペニャロールには多くのオファーが殺到するのではないか。
このゴール以降は、ドイツの攻撃を速いボールアプローチで抑え込む
ウルグアイが攻められながらも、主導権を握っているような展開。
42分もウルグアイ、
ケディラの横パスを全力で戻ったM・ペレイラがカットすると、
ペレスは2タッチで縦へ、フォルランは2タッチでスルーパス、
ボールを奪ってからわずか6秒、2本のパスでスアレスが抜け出す決定機。
シュートはわずかにゴール左へ外れたが、
今日に限っては展開の妙もあってウルグアイのカウンターがハマる。
攻守の切り替えで上回り始めたウルグアイがリズムを引き寄せて
前半は同点のまま、ハーフタイムを迎えた。
後半もまず大きなチャンスを掴んだのはウルグアイ。
48分は左サイド、カバーニ、スアレスと繋いで、
フォルランは右足アウトでダイレクトスルーパス、
フリーで抜け出したカバーニは、やや角度がなくなりブットがセーブ、
こぼれをカバーニが戻して、スアレスのシュートは再びブットがセーブ。
この3人でのアタックは実に危険な香りを漂わせる。
そんな中、今大会でも屈指のゴラッソが生まれたのは51分。
カカウのバックパスをかっさらったアルバロが
スアレスとのワンツーから右サイドを抜け出してクロス、
フォルランは豪快なダイレクトボレーをワンバウンドでネットに突き刺す。
ブット、一歩も動けず。タバレスも吼える。
アイデア、チャレンジスピリット、テクニック、すべてが融合したスーパーな一発。
やはりフォルラン。これでビジャ、スナイデル、そしてミュラーに並ぶ5ゴール目。
ウルグアイが華麗に逆転してみせた。
しかし、ゲルマン魂の発露はその5分後。
56分、右サイドでボールを持ったボアテングは絶妙の弧を描く高速アーリークロス、
これが飛び出したムスレラとフシーレの間を抜けて、ヤンゼンの頭にドンピシャ。
ここまでのゲームとは違うポジションを任された
サイドプレイヤー同士で生み出した同点ゴール。今度はドイツが追い付いてみせる。
ただ、それでも依然としてゲームの流れはウルグアイ。
60分、スアレスはフォルランからのリターンを受けると、
右に持ち出しシュートを放つも、フリードリッヒがブロック。
62分、カウンターから右サイドで受けたスアレスは
カットインから強烈な30mミドルを枠内へ飛ばし、ブットが何とかセーブ。
もはやスアレスはどんどん音量を増す自分へのブーイングを
燃料にしているかの如く、果敢にゴールを狙い続ける。
65分、ブットのキックはカバーニがカット、
スアレスとのワンツーで抜け出しかけるとシュヴァインシュタイガーのクリアは、
メルテザッカーの背中に当たって、フォルランの目の前へ、
シュートは飛び出したブットがブロック。
5分間で3回の決定的なチャンス。ウルグアイがドイツを攻め立てる。
69分、バックスタンド側での攻防、
アオゴに体を入れられたM・ペレイラは、
一度体勢を崩しながらもアオゴへ頭からタックル。
当然ファウルを獲られたが、まるでラグビーのようなプレーに
M・ペレイラの、そしてウルグアイの魂を見る。
これが彼らをここまで押し上げた1つの要因なのは間違いない。
73分、レーヴは1枚目のカードで前線を変える。
カカウOUTでキースリンクIN。なかなか出番の来なかった9番がピッチへ。
76分、左サイドでアオゴとのパス交換から
そのキースリンクがうまくDF2人の間をすり抜けると、シュートはムスレラが正面でブロック。
1ついいシーンを創出する。
77分、タバレスも1枚目のカードを切る。
奮闘したペレスを下げて、オランダ戦2アシストのガルガーノを投入。
中盤をやや攻撃的なメンバー構成にシフトする。
81分、レーヴ2枚目のカードはクロース。
ヤンゼンがベンチに下がり、そのまま左SHに配された。
そして82分、この日2度目の逆転ゴールが生み出される。
エジルの右CK、ファーへ流れたボールをフリードリッヒがヒザで中へ、
ルガーノが懸命にブロックしたが、浮き球へ真っ先に反応したのはケディラ。
フワリと、確実に、ボールは緩やかな軌道を辿り、雨に濡れたゴールネットへ包まれた。
バラック不在を補って余りある働きを、7試合に渡り披露し続けていた
23歳の代表初ゴールは、勝利を大きく引き寄せる貴重な一発。
ドイツが再び1点のアドバンテージを得た。
92分、スアレスがフリードリッヒにエリアすぐ外で倒される。
正真正銘のラストプレー。キッカーは当然フォルラン。
3歩の助走から放たれたキック、狙ったのは85分前と同じゴール左上。
スピードもコースも申し分ない。ブットも届かない。
直後、クロスバーにボールが当たる乾いた音が聞こえ、
その2秒後にアルチュンディア主審は試合終了を告げるホイッスルを吹いた。
両チームがお互いの健闘を讃え合う。
素晴らしい3位決定戦。場内ではいつまでもブブゼラが鳴り響いていた。
7試合で16ゴール。その破壊的な攻撃力で世界を驚かせたドイツ。
大会前にはエンケの不幸、バラックやアドラー、ヴェスターマンの離脱など
不安要素ばかりが目に付く中で、チャンスを得た若い選手が見事に台頭。
中堅、ベテランとの融合も抜群で、新生ドイツを大きくアピールして見せた。
今大会のベストチームという評価は、おそらく全世界が一致する所。
今後へ向けての確かな手応えと銅メダルを胸に、南アフリカを後にする。
グループAを無失点で首位通過。決勝トーナメントに入ってからは、
韓国に競り勝ち、ガーナをPK戦で沈め、オランダにもあと一歩まで肉薄し、
最終的に4位という栄誉を手に入れたウルグアイ。
正直言って、誰が彼らの躍進を予想し得ただろうか。
個々の能力を足した数値なら、もっと上のチームはたくさんあっただろう。
しかし彼らには誰にも真似できない“闘う”スタイルが明確に存在していた。
前回のベスト4は40年前。優勝に至っては60年前まで遡る。
古豪復活と世間は呼ぶかもしれないが、ドイツと同様に
新生ウルグアイの誕生だと私は表現したい。
最後の4チームへ残るにふさわしいグッドルーザーだった。
これで残るはあと1試合。
8カ国目となる新王者誕生の瞬間はもうすぐそこまで来ている。
ウルグアイ 2×3 ドイツ
【得点者】
ウルグアイ:カバーニ①(28分)、フォルラン⑤(51分)
ドイツ:ミュラー⑤(19分)、ヤンゼン①(56分)、ケディラ①(82分)
【警告/退場】
ウルグアイ:ペレス①(61分)
ドイツ:アオゴ①(5分)、カカウ①(7分)、フリードリッヒ①(90+2分)
【交替】
ウルグアイ:ペレス→ガルガーノ(77分)
カバーニ→アブレウ(88分)
ドイツ:カカウ→キースリンク(73分)
ヤンゼン→クロース(81分)
エジル→タスキ(90+1分)
【AD的Man of the Match】
エジディオ・アレバロ(ウルグアイ)
写真は、ワールドカップクラスの決戦地「関ヶ原」
AD土屋
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