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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

ワールドカップ 2010年07月07日

(61)準決勝 ウルグアイ×オランダ

foot!
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準決勝
2010/7/6 20:30 グリーン・ポイント(ケープタウン)
ウルグアイ×オランダ

天候:晴れ 気温:11度 観客:62,479人
主審:ラフシャン・イルマトフ(ウズベキスタン)

【ウルグアイ】
GK
1 ネストル・ムスレラ
DF
16 マキシ・ペレイラ
3 ディエゴ・ゴディン
6 マウリシオ・ビクトリーノ
22 マルティン・カセレス
MF
17 エジディオ・アレバロ
15 ディエゴ・ペレス
5 ワルテル・ガルガーノ
11 アルバロ・ペレイラ①
FW
10 ディエゴ・フォルラン③(C)
7 エディンソン・カバーニ
SUB
12 フアン・カスティージョ
23 マルティン・シルバ
2 ディエゴ・ルガーノ
19 アンドレス・スコッティ
8 セバスチャン・エグレン
14 ニコラス・ロデイロ(負傷)
18 イグナシオ・ゴンサレス
20 アルバロ・フェルナンデス
13 セバスチャン・アブレウ
21 セバスチャン・フェルナンデス
4 ホルヘ・フシーレ■■(警告累積による出場停止)
9 ルイス・スアレス③(退場により出場停止)
監督
オスカル・タバレス(ウルグアイ国籍)

(4-1-3-2)
----カバーニ----フォルラン----
------------------
-A・ペレイラ--ガルガーノ--ペレス-
------------------
--------アレバロ--------
-カセレス-ゴディン-ビクトリーノ-M・ペレイラ-
-------------------
--------ムスレラ--------

【オランダ】
GK
1 マールテン・ステケレンブルフ
DF
12 ハリド・ブラルーズ
3 ヨニー・ハイティンハ
4 ヨリス・マタイセン
5 ジオヴァニ・ファン・ブロンクホルスト(C)
MF
6 マルク・ファン・ボメル
14 デミー・デ・ゼーウ
11 アリエン・ロッベン①
10 ウェズレイ・スナイデル④
7 ディルク・カイト①
FW
9 ロビン・ファン・ペルシー①
SUB
16 ミシェル・フォルム
22 サンデル・ボスフケル
13 アンドレ・オーイエル
15 エドソン・ブラーフハイト
18 スタイン・スハールス
20 イブラヒム・アフェライ
23 ラファエル・ファン・デル・ファールト
17 エルイェロ・エリア
19 ライアン・バベル
21 クラース・フンテラール①
2 グレゴリー・ファン・デルヴィール■■(警告累積による出場停止)
8 ナイジェル・デ・ヨンク■■(警告累積による出場停止)
監督
ベルト・ファン・マルヴァイク(オランダ国籍)

(4-2-3-1)
-------ファン・ペルシー-------
------------------
--カイト---スナイデル---ロッベン-
-----デ・ゼーウ--ファン・ボメル-----
-------------------
-ジオ-マタイセン-ハイティンハ-ブラルーズ-
-------------------
-------ステケレンブルフ-------

【マッチレポート】
韓国戦は先制弾に決勝ゴール。ガーナ戦は“大会最高の”セーブ。
決勝トーナメントに入ってからは、色々な意味でもスアレスの活躍で
頂点に輝いた1950年大会以来、60年ぶりとなる準決勝に駒を進めたウルグアイ。
そのスアレスは前述のセーブによって出場停止。
左SBのフシーレも同じく警告累積で出場停止、さらにキャプテンのルガーノは
ヒザの負傷で出場できず、切り札のロデイロも骨折で離脱と、まさに満身創痍。
タバレスは、CBにこちらも負傷を抱えているゴディンを、
左SBには今大会初出場のカセレスを起用。
中盤はアルバロをアンカー気味に配置して、その前に右から
ペレス、初スタメンとなるガルガーノ、A・ペレイラが並び、
フォルラン、カバーニが最前線に張る、4-1-3-2を選択した。
一方、1994年大会準々決勝、1998年大会準決勝と
近年では2度もその行方を阻まれたブラジルを撃破。
初出場から76年目の悲願を確実に視界へと捉え始めたオランダ。
こちらも右SBのファン・デル・ヴィールと、ボランチのデ・ヨンクが出場停止。
そこにはブラルーズとデ・ゼーウがそれぞれ入り、
CBにもブラジル戦はアップ中の負傷によって欠場したマタイセンが復帰。
不動の4-2-3-1で3大会ぶりのベスト4を戦う。
4分、右サイドをロッベンがドリブルで突き進み、後ろへ下げると
スナイデルのクロス、GKムスレラのパンチングは小さい、
拾ったカイトのシュートはバーの上へ越えるが、オランダはいきなり役者たちが魅せる。
6分はウルグアイ、A・ペレイラのGKを見た40mロングはバーの上へ。
いいチャレンジに映ったが、ウルグアイはこのシュートから
次のシュートを放つまでに30分の時間を要することになる。
全体的な流れは予想通りにオランダが高いポゼッション、
ウルグアイが耐えながらチャンスを窺う、という展開。
ウルグアイは相手のキーマン、スナイデルをゾーンで受け渡すが、
基本はアンカーのアレバロがバイタルではマンツーマン気味に対応。
また、過去4試合はいずれもボランチを務め、今日は右SHに入っていたペレスも
対面のカイトがかなりサイドに張っていたため、ある程度そこはSBに任せ、
中央寄りでスナイデルをケアするような格好になっていた。
これで10分前後まではほとんどいい攻撃の形が創れなかったオランダ。
13分には久々のチャンス到来。カセレスはクリアを中央へ、
拾ったスナイデルはアレバロのスライディングを切り返しでいなすと、
ミドルを狙うもファン・ペルシーに当たってしまう。
ウルグアイはその数分前にもクリアがしっかり足に当たらなかったカセレスに
やや不安な部分が見え隠れする。
そんな中、先制ゴールは唐突に。
18分、オランダは中盤でのゆったりとしたボール回し、
スナイデルが右へ何となく付けると、
受けたファン・ブロンクホルストに突如スイッチが入る。
ゴールから優に30mは離れた位置から強烈なミドル、
ボールはムスレラを破り、右のポストを弾いてネットに突き刺さる。
このゲームを含めても、あと2試合で現役生活に別れを告げる35歳のゴラッソ。
キャプテンとして、自らカップを掲げる瞬間を確実に引き寄せる一撃で
やはり優勢を予想されたオランダが、まずはアドバンテージを手にした。
確かに素晴らしいミドルではあったものの、
事故的とも言える出会い頭の一発で失点を喰らったウルグアイも焦りは見えず、
全体的なボールアプローチではむしろ上回り、
リードを許した後もなかなか相手にチャンスまでは持ち込ませない。
31分にはファン・ペルシーのパスを、最高のワンタッチコントロールで
前へ持ち出したロッベンに、この2分前にもデ・ゼーウの顔面を蹴って
イエローカードを受けるなど、不安定なプレーが続いていたカセレスが
体を付けて、シュートを打たせない好ディフェンス。高い集中が続く。
36分にはカバーニの体を張ったポストプレーから、最後はA・ペレイラのミドル。
38分には再びカバーニのポスト、
A・ペレイラの左クロスをニアでフォルランがヘディング。
2本とも決定的なチャンスではなかったものの、少しずつ攻撃にもリズムが生まれる。
すると41分もウルグアイ、ガルガーノの縦パス、
左足でコントロールしたフォルランは前を向くと、右から左へ流れながら、左足一閃。
一瞬逆に動いたステケレンブルフ、
カーブのかかったボールにはわずかに触れるのが精一杯。
やはりウルグアイにはこの男がいる。
いい時間帯でフォルランの今大会4ゴール目が飛び出し、
ウルグアイが追いつく形でゲームはハーフタイムへと折り返した。

先制していたとはいえ、それ以外はどちらかと言えば
ウルグアイに抑え込まれる時間帯の長かったオランダ。
ファン・マルヴァイクは後半開始から決断する。
デ・ゼーウに替えて、送り出したのはファン・デル・ファールト。
基本はそのままボランチに入っていたが、
やはりデ・ゼーウよりも前に出て行く機会がどうしても多くなるため、
ファン・ボメルが1枚でアンカーを務め、
その前にはロッベン、ファン・デル・ファールト、スナイデル、カイトと
豪華な4枚が横並びになる4-1-4-1気味になる時間帯も少なくない。
さて、後半も最初のチャンスはウルグアイに。
51分、ブラルーズが出したバックパスは短い。
カバーニとステケレンブルフが交錯する形になり、
こぼれを拾ったA・ペレイラはGK不在のゴールへループ、
カバーに入ったファン・ブロンクホルストが何とかクリアするが
オランダからすれば後半は嫌な形の入り方になってしまう。
ここからは両チームともなかなか攻撃の手を繰り出せず、かなり膠着した時間帯に。
中盤では相変わらずウルグアイのボールアプローチが速く、
期待された、いわゆる「クリエイティブ4+カイト」もチャンスを創り出せない。
特に今大会初スタメンのガルガーノは、中盤やや前目の位置から
展開という意味でのキーマン、ファン・ボメルにガツガツとプレスを掛ける。
ここを潰したことが、かなり外に張っていたロッベンの抑止にも繋がっていた印象だ。
両チーム通じて久々のチャンスは67分のウルグアイ、
フォルランの左28mFKは枠へ飛ぶも、ステケレンブルフが弾き出す。
68分はオランダ、ファン・ブロンクホルストのフィードを
ファン・ペルシーがうまく収めて落とすと、
ファン・デル・ファールトはワントラップから左足で狙う。
ムスレラのファインセーブ、こぼれを狙ったロッベンの足は右。
大きく枠を外れたものの、止まり掛けていた時計の針が再び動き出す。
そして70分、ロッベンが右サイドからカットイン、
ファン・デル・ファールト、ファン・ペルシーと繋いで、
受けたスナイデルは前を塞いだDF2人にも構わず強引にシュート、
ボールはM・ペレイラとビクトリーノを掠め、
ゴールポストも掠めて、ゴール右スミへ飛び込む。
ただ、ファン・ペルシーはわずかにオフサイドポジションにいたように見える。
シュートを避けたにしても足は出しており、ボールには明らかに関与している。
このゲームを裁いていた32歳のイルマトフ主審は
ほとんど文句の付けようがないジャッジだったと思う。
しかし、バックスタンド側の副審は前半から、特にオフサイド絡みで
かなり微妙な判定が目立っていたのも確か。それは印象に残った。
とにもかくにも、残り20分でオランダが再び1点のリード。
健闘していたウルグアイも、やはりショックは隠せない。
そこを突くのは、したたかなオレンジ軍団。
3分後、大きく左右に揺さぶる展開からスナイデルが左へ、
まったくフリーのカイトがピンポイントクロスを送ると、中でヘディングは意外にもロッベン。
そして意外にもいいコースへ飛んだボールに、ムスレラは一歩も動けず。
畳み掛けたオランダ。一気に点差は2点に広がった。
苦しくなったタバレスが1枚目のカードを切ったのは78分。
A・ペレイラを下げて、アブレウを投入。やや後手に回った感は否めない。
布陣としてはフォルランとアブレウが最前線に陣取り、
カバーニが左サイドに大きく張り出すような変則の3トップに、
中盤はアルバロをアンカーで、その前にはペレスとガルガーノを置くような
4-3-3気味で、最後の反発力に懸ける。
それでも今のオランダはリードしてこそ強さが発揮される。
しっかりブロックを作った上で、ボールを持ったら横幅を最大限に使い、
カウンターもちらつかせる。この徹底ぶりがオランダらしくなくて、実効的だ。
84分、S・フェルナンデスとの交替でフォルランがピッチを後にする。
550分以上戦い抜いてきたエースは限界に来ていた。
86分はロッベン、88分はファン・デル・ファールト、共に枠内シュート。
オランダも最後まで攻撃の手を緩めず、チャンスを創る。
ウルグアイも諦めない。90分を2分過ぎたFKのチャンス、
エリア内に入った6人を全員囮に使うガルガーノのキックは右前方へのパス、
走り出したM・ペレイラはワンタッチで最高の位置へ落とすと、
左足でゴール左スミへ絶妙のコントロールショット。
代表で1度もゴールを記録していない男が、
この大舞台の、この時間帯にかくも冷静かつ大胆なフィニッシュを。
これが世界を2度制した遺伝子を持つ男たちたるゆえんか。
吼えるタバレス、怒るファン・マルヴァイク。1点差。
ロングスローを持つカセレスが恐怖をオランダゴール前に投げ入れる。
1回、2回。アルバロのボレーはファン・ペルシーがハンド気味にブロック。
ウルグアイベンチは猛アピールも、判定はノーファウル。
94分、本当のラストチャンス、
ムスレラが蹴り入れたボールにアブレウが競り勝ち、
収めたS・フェルナンデスのラストパスはカイトが懸命にクリア、
カセレスの左クロス、カバーニはシュートまで持ち込めず
ファン・ブロンクホルストが何とか掻き出すと、大きなホイッスル。
一度は一方に大きく傾きかけたものの、
最後の1秒まで限りなく均衡を保つことになった決勝進出への秤は
水色ではなく、オレンジに歓喜をもたらすこととなった。
それでもその水色が色褪せることはない。
南米最後の砦として、なぜここまで勝ち上がってきたのかを
最後の瞬間まで勇敢に証明して見せた。
340万人と言われる小国で暮らす全国民も、誇りに満ちた大きな拍手を贈ったことだろう。
1974年、1978年に続く、3度目のファイナル進出を果たしたオランダ。
過去には美しく散ってきたチームが、今回は泥臭く勝利する術も手に入れている。
国民にとっても大願と言うべき、世界の頂上まではいよいよあと1つ。

ウルグアイ 2×3 オランダ

【得点者】
ウルグアイ:フォルラン④(41分)、M・ペレイラ①(90+2分)
オランダ:ファン・ブロンクホルスト①(18分)、スナイデル⑤(70分)、ロッベン②(73分)
【警告/退場】
ウルグアイ:M・ペレイラ①(21分)、M・カセレス①(29分)
オランダ:スナイデル①(29分)、ブラルーズ①(78分)、ファン・ボメル①(90+5分)
【交替】
ウルグアイ:A・ペレイラ→アブレウ(78分)
       フォルラン→S・フェルナンデス(84分)
オランダ:デ・ゼーウ→ファン・デル・ファールト(46分)
      ロッベン→エリア(88分)
【AD的Man of the Match】
ジオヴァニ・ファン・ブロンクホルスト(オランダ)

《決勝組み合わせ》
7/11 20:30@ヨハネスブルグ(サッカー・シティ) 
オランダ×ドイツとスペインの勝者
《3位決定戦組み合わせ》
7/10 20:30@ポートエリザベス 
ウルグアイ×ドイツとスペインの敗者

写真は、ジオの出身地「ロッテルダム」
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AD土屋

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