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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

ワールドカップ 2010年07月04日

(59)準々決勝 アルゼンチン×ドイツ

foot!
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準々決勝
2010/7/3 16:00 グリーン・ポイント(ケープタウン)
アルゼンチン×ドイツ

天候:晴れ 気温:16度 観客:64,100人
主審:ラフシャン・イルマトフ(ウズベキスタン)

【アルゼンチン】
GK
22 セルヒオ・ロメロ
DF
15 ニコラス・オタメンディ
2 マルティン・デミチェリス①
4 ニコラス・ブルディッソ
6 ガブリエル・エインセ①■
MF
14 ハビエル・マスチェラーノ(C)■
20 マキシ・ロドリゲス
7 アンヘル・ディ・マリア
10 リオネル・メッシ
FW
9 ゴンサロ・イグアイン④
11 カルロス・テベス②
SUB
1 ディエゴ・ポソ
21 マリアーノ・アンドゥハル
3 クレメンテ・ロドリゲス
12 アリエル・ガルセ
13 ワルテル・サムエル
5 マリオ・ボラッティ■
8 フアン・セバスチャン・ベロン
17 ホナス・グティエレス■
23 ハビエル・パストーレ
16 セルヒオ・アグエロ
18 マルティン・パレルモ①
19 ディエゴ・ミリート
監督
ディエゴ・マラドーナ(アルゼンチン国籍)

(4-4-2)
----イグアイン----テベス----
--------メッシ--------
-ディ・マリア--------M・ロドリゲス-
-------マスチェラーノ-------
------------------
-エインセ-サムエル-デミチェリス-オタメンディ-
-------------------
--------ロメロ--------

【ドイツ】
GK
1 マヌエル・ノイアー
DF
16 フィリップ・ラーム(C)■
17 ペア・メルテザッカー
3 アルネ・フリードリッヒ■
20 イェロメ・ボアテンク
MF
6 サミ・ケディラ■
7 バスティアン・シュヴァインシュタイガー■
13 トーマス・ミュラー③■
8 メスト・エジル①■
10 ルーカス・ポドルスキ②
FW
11 ミロスラフ・クローゼ②
SUB
12 ティム・ヴィーゼ
22 ハンス・ヨルク・ブット
4 デニス・アオゴ
5 セルダル・タスキ
14 ホルガー・バドシュトゥバー
2 マルセル・ヤンゼン
15 ピオトル・トロホウスキ
18 トニ・クロース
21 マルコ・マリン
9 シュテファン・キースリンク
19 カカウ①■
23 マリオ・ゴメス
監督
ヨアヒム・レーヴ(ドイツ国籍)

(4-2-3-1)
--------クローゼ--------
-------------------
-ポドルスキ---エジル---ミュラー-
--シュヴァインシュタイガー-ケディラ----
-------------------
ボアテンク-フリードリッヒ-メルテザッカー-ラーム
-------------------
--------ノイアー--------

【マッチレポート】
1986年。アステカの地で男は神になる。
1990年。愛されていたはずの半島で男は絶望を味わう。
勝ち、そして負けた相手は西ドイツ。
ディエゴ・マラドーナにとって、ゲルマン魂を秘めて戦う
ドイツはいつだって傍にいたチームだ。
ここまで危なげなく勝ち上がってきたアルゼンチン。
大会前とは一変して有力な優勝候補という評価を得てきたドイツ。
前回大会でも準々決勝で激突。
PK戦の末にドイツが準決勝へと駒を進めたが、
試合後の乱闘で両者には遺恨が残った。
ここまでで最大の注目カードと言っていい決戦はケープタウンにて。
メンバーは共に前の試合とまったく変わっていない。
ゲームが始まると、ドイツの出足が勝る。
クローゼがマスチェラーノに激しいチェック。ファウルになったが意欲十分。
すると、流れを注視する間もなくスコアが動く。
3分、ポドルスキが奪ったFK、
シュヴァインシュタイガーのキックを、ニアでミュラーが合わせる。
ファウルを与えたのはオタメンディ。ミュラーを離したのもオタメンディ。
“新たな”ミュラーがドイツに早くも先制ゴールをもたらす。自身大会4ゴール目。
5分もドイツ、左サイドをボアテングが駆け上がり、
そこから4本パスを繋いでシュヴァインシュタイガーがシュート、
クリアをまた拾うと右サイドをラームが侵略しクロス、
クリアをまた拾うとラーム、ミュラーと繋いで最後は再びシュヴァインシュタイガー。
ほとんど相手にボールを触らせないまま、2本のフィニッシュ。
とにかくよく選手が顔を出すドイツ。3列目も積極的に攻撃。
シュヴァインシュタイガーが散らし、ケディラもどんどん前へ飛び出す。
凄まじいドイツのラッシュ。アルゼンチンは翻弄される。
無念の離脱となったバラックもスタンドで笑顔を見せていた。納得の表情。
注目のメッシはボールに触れず、もらいたがって低い位置へ降りて来るが、
ドイツも基本はゾーンながら、エリアに入って来た時には
シュヴァインシュタイガーかケディラがマンツーマンで付く形を取り、
最初の20分は片手で数えられるほどしか、10番はボールをもらえない。
ここまでポゼッションは52%対48%でアルゼンチン?何と意味のない数字!
22分、テベスがドリブルから中へ送ると、珍しくメッシが空いた。
刹那、DF3人の間を通す絶妙のスルーパス、
一歩テベスも間に合わず、ノイアーが飛び出してキャッチしたが、
一発の怖さを、一発でドイツに刷り込ませる。
24分はドイツの大きな決定機、
ラームから受けたケディラは右のエジルへダイレクトパス、
エインセが足を伸ばしてカットしたボールを
ミュラーがかっさらってエリアへ入ると、折り返しはフリーのクローゼへ。
ところがボールはクロスバーの上へと消えていく。
悔しがるクローゼ。ドイツは特に右サイドを完全に制圧していた。
どうにも攻撃を繰り出せないアルゼンチンは、
25分過ぎからディ・マリアとM・ロドリゲスが左右を入れ替える。
ボールは回り出している。後はそこからの一手。
31分、テベスが仕掛けて奪ったFK、メッシのキックはクロスバーを越える。
33分、テベスのスルーパスから右サイド、ディ・マリアが
積極的にエリアまで持ち込むと、チーム初の枠内シュート。
35分、オタメンディのクサビを受けたイグアインは
切り返しでフリードリッヒを外すと左足シュート、ノイアーがキャッチしたが、
徐々に“意味のある”ポゼッションと個の力が融合し始めた
アルゼンチンがペースを掴んでいく。
36分もアルゼンチン、メッシのFKはカベに当たるが、
拾ったエインセはシュートフェイントから繊細なグラウンダーのスルーパス、
テベスが抜け出し、イグアインが押し込む。
スローで見れば明らかにオフサイドだが、
ドイツDFは瞬間、誰1人アピールしていない。
ラインはよく押し上げていたものの、狙い通りではないオフサイドだったか。
ドイツも得意のカウンターから何度か反撃を試みるが、
決定的なシーンまでには至らず、枠を外れるミドルが精一杯。
ドイツがリードを奪い圧倒。アルゼンチンが息を吹き返す。
こういった流れで最初の45分間は経過していった。

後半は明らかにアルゼンチンが立ち上がりから前へ前へ。
メッシも高い位置でボールを受けるシーンが多くなる。
48分、ディ・マリアの無回転ミドルがわずかに枠の左へ。
54分、右サイドからディ・マリアのクロス、
M・ロドリゲスがチェストで落とすと、テベスのシュートはメルテザッカーが顔面ブロック。
58分はドイツ、左サイドからボアテングのアーリークロス、
クローゼがDFラインの裏へうまく潜り込むも、ロメロがパンチングでクリア。
ドイツも大会随一のカウンターと、クローゼの高さをチラつかせる。
60分を過ぎると、1点を奪うためにアルゼンチンが前掛かるのはわかるが、
ドイツもポゼッションされて動かされた影響からかスペースが空き始め、
お互いオープンに攻め合うような展開に変わっていく。
62分、マスチェラーノのパスからテベスが枠内ミドル。
63分、メッシのスルーパスからイグアインが枠内シュート。
64分、中央からメッシがシュート、DFに当たったこぼれに
イグアインが反応するもラームが寸前でクリア。
65分、マスチェラーノのサイドチェンジ、
ディ・マリアが右サイドからカットインして枠内シュート。
ドイツも最後の一線は超えさせない組織的な守備を見せているが、
ジワジワとアルゼンチンが同点に近付いていく。
しかし、次のゴールを記録したのもドイツ。
68分、左サイドでゆっくりと回しながら、エジルが縦へ1本、
ミュラーはデミチェリスのチェックで倒されたが、倒れながらもパスを出す。
一瞬足を止めたアルゼンチンに対して、
しっかり反応して走っていたポドルスキはフリーで抜け出す。
冷静にロメロとブルディッソの間を速いボールで通すと
そこにはドイツが生んだワールドカップ男・クローゼ。難なくプッシュ。
集中力の差が大事な局面でハッキリと露呈した。
0-2、あまりにも大きな2点目。ドイツは圧倒的優位に立つ。
マラドーナは70分、最初のカードとしてオタメンディOUTでパストーレIN。
パストーレは左SHに入り、M・ロドリゲスが右SBへ回る。
レーヴも72分、ボアテングに替えてヤンゼンを投入。
ディ・マリア、M・ロドリゲスで構成してきた相手の右サイドに
攻撃的なカードをぶつけることで、抑止力にしようという意図か。
そして74分、ゲームは決まる。
ドイツのCK、ショートで始めるとシュヴァインシュタイガーはドリブル開始。
ディ・マリアを振り切ると、パストーレをアッサリかわし、
イグアインも簡単に抜きさってラストパスを送ると、CBのフリードリッヒがプッシュ。
まるで相手のお株を奪うようなドリブル。個人技が輝く。
一瞬、組織が崩れた時に個の底力が顔を出す。
シュヴァインシュタイガーに対応したのはディ・マリア、パストーレ、イグアイン。
3人とも攻撃の選手。守備は確かに本職ではない選手ばかりだ。
では、そこにテベスが加わっていたら、あれ程までいとも簡単に抜かせただろうか。
それが戦える選手と戦えない選手の違いではないのか。
とりわけ4分前に投入されたばかりのパストーレが見せた“軽さ”は無視できない。
これ以降も意図を掴みかねるプレーばかりが目に付く。
ベロンもいた。アグエロもいた。パレルモだって、ミリートだって。
マラドーナの期待に、21歳になったばかりの若者は覚悟を持って応えられなかった。
75分にディ・マリアとのスイッチで送り出されたアグエロも、
効果的にゲームへと入っていけない。
逆にレーヴが77分に送り出した20歳のクロースは
すぐに中央から強烈なミドルを枠内へ飛ばすなど、役割も整理されている。
87分53秒、相手のクリアを中央でエジルが拾う。
ポドルスキを経由して、再びボールを受けたエジルは
ほぼノープレッシャーで柔らかいクロス。
自陣から60mをダッシュしたクローゼはインサイドボレーで
ゴール左スミへ丁寧に流し込む。この時、88分3秒。
クローゼ、お得意の前宙。10秒でアルゼンチンを破壊した。
これでクローゼは伝説のゲルト・ミュラーに並ぶワールドカップ通算14点目。
そしてバトレス主審は意味を為さない追加タイムを
1分だけ取ってゲームを終わらせた。
マラドーナは声も出ない。メッシも呆然とピッチを去る。
マキシは涙が止まらない。クローゼとミュラーが笑顔で並ぶ。
これが新生ドイツ。アルゼンチンでさえも、完膚なきまでに叩きのめされる。
組織が個を上回ったという単純な構図ではない。
個が積み重なった組織が、個を積み重ねられなかった組織を打ち破ったのだ。
にわかには信じがたいスコアではあるが必然と言ってもいい結果で、
ドイツがマラドーナを倒して獲得した20年前以来となる頂点まであと2つに迫った。

アルゼンチン 0×4 ドイツ
【得点者】
ドイツ:ミュラー④(3分)、クローゼ③(68分)④(89分)、フリードリッヒ①(74分)
【警告/退場】
アルゼンチン:オタメンディ①(11分)、マスチェラーノ②(80分)
ドイツ:ミュラー②(35分)
【交替】
アルゼンチン:オタメンディ→パストーレ(70分)
         ディ・マリア→アグエロ(75分)
ドイツ:ボアテング→ヤンゼン(72分)
     ケディラ→クロース(77分)
     ミュラー→トロホウスキ(84分)
【AD的Man of the Match】
バスティアン・シュヴァインシュタイガー(ドイツ)

《ベスト4組み合わせ》
7/7 20:30@ダーバン 
ドイツ×スペインとパラグアイの勝者

写真は、間違いなく嬉しくてたまらないであろう2人を撮影した「ケルン」
良平さ~1 0703
AD土屋

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