デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2010/07

S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

ワールドカップ 2010年07月03日

(58)準々決勝 ウルグアイ×ガーナ

foot!
  • Line

準々決勝
2010/7/2 20:30 サッカー・シティ(ヨハネスブルグ)
ウルグアイ×ガーナ

天候:晴れ時々曇り 気温:13度 観客:84,017人
主審:オレガリオ・ベンケレンサ(ポルトガル)

【ウルグアイ】
GK
1 ネストル・ムスレラ
DF
16 マキシ・ペレイラ
2 ディエゴ・ルガーノ(C)■
6 マウリシオ・ビクトリーノ■
4 ホルヘ・フシーレ■
MF
15 ディエゴ・ペレス
17 エジディオ・アレバロ
20 アルバロ・フェルナンデス
7 エディンソン・カバーニ
FW
10 ディエゴ・フォルラン②
9 ルイス・スアレス③
SUB
12 フアン・カスティージョ
23 マルティン・シルバ
3 ディエゴ・ゴディン
19 アンドレス・スコッティ
22 マルティン・カセレス
5 ワルテル・ガルガーノ
8 セバスチャン・エグレン
11 アルバロ・ペレイラ①
14 ニコラス・ロデイロ
18 イグナシオ・ゴンサレス
13 セバスチャン・アブレウ
21 セバスチャン・フェルナンデス
監督
オスカル・タバレス(ウルグアイ国籍)

(4-4-2)
-------------スアレス---
-----フォルラン---------
-カバーニ-------A・フェルナンデス-
-----アレバロ---ペレス-----
-------------------
-フシーレ-ビクトリーノ-ルガーノ-M・ペレイラ-
-------------------
--------ムスレラ--------

【ガーナ】
GK
22 リチャード・キングソン(C)
DF
4 ジョン・パントシル
15 アイザック・ヴォ-サー■
5 ジョン・メンサー
2 ハンス・サルペイ
MF
6 アンソニー・アナン■
23 ケヴィン・プリンス・ボアテング①
7 サミュエル・インコーム
21 クワドウォ・アサモア
11 サリー・ムンタリ
FW
3 アサモア・ギャン③
SUB
1 ダニエル・アギエイ
16 ステファン・アホール
17 イブラヒム・アイェウ
19 リー・アディ■
9 デレク・ボアテング
10 ステファン・アッピアー
12 プリンス・タゴエ■
14 マシュー・アモアー
18 ドミニク・アディアー
20 クインシー・オウス・アベイエ
8 ジョナサン・メンサー■■(警告累積による出場停止)
13 アンドレ・アイェウ■■(警告累積による出場停止)
監督
ミロヴァン・ライェヴァツ(セルビア国籍)

(4-2-3-1)
--------ギャン--------
-------------------
-ムンタリ---アサモア---インコーム-
--K・P・ボアテング--アナン-----
-------------------
サルペイ-ジョン・メンサー-ヴォーサー-パントシル
-------------------
-------キングソン-------

【マッチレポート】
韓国を苦しみながらスアレスの2ゴールで振り切ったウルグアイ。
1970年大会以来のベスト4、そしてその先にも確かに手が届く位置まで来た。
アフリカ唯一の生き残りとして、大陸の期待を一身に背負うガーナ。
延長で難敵アメリカを制したチーム力はホンモノ。
カメルーン、セネガルを上回る、新しいアフリカの歴史を築くことができるか。
タバレスは負傷のゴディンに替わって、最終ラインにはビクトリーノ、
またSHはここまで全試合スタメンだったA・ペレイラを
A・フェルナンデスにスイッチ。彼が右に入り、
今まで右に入っていたカバーニが左へ、と少し変化をつけてきた。
一方のライェヴァッツはジョナサン・メンサーの出場停止を受けて、
負傷明けのヴォーサーを初戦以来となるスタメンに起用。
また、もう1人の出場停止、A・アイェウの所には
CL優勝男ムンタリを今大会初めてスタメンとして送り出す。
8分のガーナ、ムンタリの右FK、DFのクリアをアサモアがボレーで狙う。
まずはとりあえずシュートというのが、ゲームのファーストシュートに。
11分はウルグアイ、左サイドでルーズボールを収めたスアレスが
ヴォーサーをかわして、エリア内から強烈なシュート、
キングソンが1度下に落としながらキャッチしたが、
やはり一瞬でシュートまで持ち込む凄みは今日も健在。
14分はウルグアイ、フォルランが蹴った速い球足の右FK、
キングソンのパンチングは真上に上がって、結果はオフェンスファウル。
18分もウルグアイのCK、フォルランのキックは
ニアでカバーニがわずかに触り、ジョン・メンサーに当たってしまったボールが
ゴールに向かったが、キングソンが抜群の反応で掻き出す。
なかなか流れの中からはお互いにチャンスを創り切れないが、
フォルランという一流のキッカーを持つウルグアイが
セットプレーから何度もいいシーンを創り出し、ペースを握る格好になった。
25分、相手の横パスが乱れると拾ったカバーニはフォルランへ、
一度はトラップが流れて相手ボールになるが、
また拾ったアレバロのパスから、再びフォルランがシュート、
ボールは枠の右側に外れるが、惜しいシーンを創出。
26分は決定機、左サイドからフシーレのスローイン、
スアレスはマーカーのヴォーサーと入れ代わるように中へ抜け出し、
シュートを枠に飛ばすと、キングソンが何とかバーの上へ弾き出す。
20分を過ぎると、徐々にフォルランとスアレスが流れの中でも
よく顔を出すようになったウルグアイが明らかに攻勢へ。
押し込まれる時間が続いていたガーナは、30分に久々のチャンス。
ムンタリの右CK、ヴォーサーはカバーニを振り切り、
ゴディンを外すと高い打点のヘディング、
わずかに枠の左へ外れるが、これがガーナに勇気とパワーをもたらす。
その1分後、メンサーの縦パスをK・P・ボアテングはターンからドリブル開始、
右サイドを切り裂き、中へ折り返すとギャンのダイレクトシュートは
これもわずかにゴール右へ逸れていったが、
この2回の決定機を経て、中盤が落ち着いてボールを回し始めたことで
一気に主導権はガーナに移った。
さらにウルグアイに吹いた逆風は38分、
ヒザにケガを負ってしまったキャプテンのルガーノがプレー続行不可能に。
代わりに34歳のベテラン、スコッティが投入されるが、試合途中でのCBの交替と、
キャプテンの離脱という2つの難題がウルグアイに降りかかる。
39分のガーナ、右サイドで人数を掛けた崩しからアサモアが
左へ長く速いアーリークロスを送ると、ファーでムンタリがヘディング。
44分、ムンタリ、アサモア、K・P・ボアテングと繋いで
ギャンのループ気味ミドルはムスレラがキャッチ。
45分、インコームが右サイドを突破してクロス、
K・P・ボアテングはオーバーヘッドはスネに当たって枠へは飛ばず。
ただ、ラッシュ、ラッシュ。ガーナの圧力が止まらない。
そして規定の45分を2分ほど回ったその時、
ほとんど何もなかったような所から先制ゴールが生み出された。
中盤、ギャンの落としがズレ、ムンタリはゆっくりとボールを拾って前を向く。
すると突如、35m近い距離からロングシュート、
ボールはバウンドして曲がってゴール右スミへ、ムスレラも届かない。
ここまで負傷で満足に出場もできていなかった11番が大事な試合で魅せる。
最高の時間帯でガーナがリードを奪い、ハーフタイムを迎えることとなった。

タバレスは後半開始から決断を下す。
A・フェルナンデスを外して、切り札の21歳ロデイロを早くも投入。
カバーニがいつもの右に回り、ロデイロは左へ位置を取る。
どちらのペースとも言えない形で、ややゆったりと立ち上がっていった後半。
しかし55分、試合を動かしたのはやはりこの男だった。
フシーレがオーバーラップから獲得したウルグアイのFK、
左45度、距離は25m、フォルランが直接狙ったボールは
一度左へ変化しかけながら、右に激しく弧を描く。
これにはさすがのキングソンもお手上げ。
ルガーノから引き継いだキャプテンマークを巻く、ウルグアイの象徴が
圧巻のゴラッソを突き刺し、試合は振り出しに戻された。
ガーナも折れない。
58分、K・P・ボアテングのスルーパスからギャンが思い切ってミドル、
DFのブラインドから出てきたボールをムスレラが何とかセーブ。
59分にはウルグアイの潰し屋ペレスがアサモアへのファウルでイエローカード。
これでアルバロと合わせて、ドイスボランチが共に警告を受けた辺りは、
ガーナ中盤が見せた奮闘の証か。
63分はウルグアイ、左サイドからフォルランのクロスはキングソンを越える、
ファーからフリーで走り込んだスアレスのボレーは、しかし枠を捉えられない。
66分はガーナ、K・P・ボアテングは無理やり狭い所に潜り込むドリブル、
倒されるもベンケレンサ主審のホイッスルは鳴らず、こぼれを狙った
ムンタリの右足シュートも大きく枠外へ消える。
69分もガーナ、中央右27mのFK、ギャンのキックはわずかに右へ逸れる。
70分はウルグアイ、スローインの流れ、
フシーレからパスを受けたロデイロは柔らかいスルーパス、
スアレスのトーキックは何とかキングソンがフィスティングで逃げる。
74分もウルグアイ、右サイド30m以上ある距離からフォルランの直接FKは
ワンバウンドしてゴール右のサイドネット外側をなめる。
交互にと言ってもいい程にチャンスが両チームへと訪れる。
打ち合う、打ち合う。これがワールドカップのベスト8か。
タバレス、ライェヴァッツ、両指揮官もほぼ同じタイミングでカードを切る。
74分はガーナ、インコームOUTでアッピアーIN。
76分はウルグアイ、カバーニOUTでアブレウIN。
78分、フォルランの右FK、ニアでスアレスがフリーのヘディングは
キングソンがファインセーブ。
フォルランのFKは狙っても合わせても相手からすれば実に脅威。
ここからは中央にアブレウ、そこからやや下がり目の横に
フォルランとスアレスを配する3トップに近い布陣にシフトしたウルグアイが、
90分間で決めようと最後の力を振り絞って攻める。
82分、ガーナのCKを奪ったウルグアイのカウンター、
ロデイロ、フォルラン、スアレスと繋いで最後は4対2の局面、
3人へのパスコースがある中で、M・ペレイラの選択はシュート。
ボールは枠の上へ外れる。
同じく82分、やはり中盤でボールを奪ったウルグアイのカウンター、
スアレス、アブレウと繋いで左へ、上がって来たフシーレのミドルはGKキャッチ。
それでもこの時間で両SBがカウンターからフィニッシュへ挑む。
ライェヴァッツも88分に2人目のカード。
先制ゴールのムンタリを下げて、U-20ワールドカップMVPのアディアーを送り込む。
ただ、もはや両者共に疲労は隠せない。
90分を3分過ぎて、ベンケレンサ主審は前後半の終了を告げるホイッスル。
大会ベストゴールに数えられそうな1点を奪い合い、
ゲームにはもう30分間の余韻が加えられる。

延長に入ると、スタミナ面で上回ったガーナがペースを握る。
93分、アッピアーの2連続CKは戻ったアブレウが決死のクリアで逃れる。
95分、中央アサモアのミドルは枠を遥かに越える。
98分、アルバロのクリアを強引に奪ったギャンがエリア内を突き進むが
スコッティが鬼気迫るスライディングで回避する。
このタックルで激しく足首を捻ったギャンは悶絶。
一度はベンチも交替カードを用意しかけたが、根性でピッチに戻る。
エースの意地と自覚。これもワールドカップだからこそか。
逆にウルグアイは1本のシュートも打てないままに、最初の15分が経過していった。

構図は攻めるガーナに守るウルグアイ。
110分、アナンのクサビ、アディアーのポストプレー、
アッピアーの右クロスにニアで合わせたギャンのヘディングはバーの上へ。
113分、アディアーの糸を引くようなフィードは
エリア内のアッピアーにピッタリ合うが、フシーレがシュート寸前でカット。
ウルグアイはこの左SBが攻守にわたって
チームを牽引していると言っても過言ではない。
114分、ようやくウルグアイにもチャンス。
M・ペレイラの右クロス、ヴォーサーのクリアはフォルランが拾う。
シュートは枠を外れたが、相手クリアボールの落下点に入る
フォルランの能力は相当並外れている。
115分のガーナ、アディアーの右クロス、中でギャンは巧みなトラップ、
何とかシュートに持ち込もうとするが、付いていたスコッティも
粘って粘って倒れこみながら右足でクリア、
ボールはウルグアイゴール方向へ転がるが、M・ペレイラが掻き出す。
途中出場のスコッティも、その魂を存分に見せ付ける。
118分、パントシルのロングスロー、フシーレがクリアし切れず、
飛び込んだK・P・ボアテングのヘディングはほんの少し枠の右側へ。
K・P・ボアテングは頭を抱えて叫ぶ。
そして迎えた121分、120分間のゲームにおけるハイライトが
この終盤も終盤、最終盤に訪れた。
右サイドで得たガーナのFK、キッカーはパントシル、
ニアでK・P・ボアテングがすらすと、ジョン・メンサーとムスレラが交錯、
こぼれ球をアッピアーがシュート、ライン上でスアレスが奇跡的にブロック、
アディアーがヘディングで押し込むも、再びスアレスが奇跡的に掻き出したが、
主審に詰め寄るガーナの選手たち。ベンケレンサ主審の胸元から赤いカード。
スロー再生が映る。アッピアーののシュートは確かに足で止めている。
しかし、アディアーのシュートは疑うことなく手でのブロック。
一緒に飛んでいたフシーレも手を出していた。
スアレスは責められない。手を使っていなければ試合は終わっていた。
泣きながらピッチを後にするスアレスをチームメイトが迎える。
ガーナのPK。キッカーはここまで2本のPKを決めているギャン。
助走、キック、ところがボールは魅入られたかのようにクロスバーを選ぶ。
こんなことがあるのか。こんなことが…
顔を覆うギャン。クロスバーを指差し雄たけびを上げるムスレラ。
ガッツポーズで走り回るスアレス。これもワールドカップ。
120分間で決着付かず。
40年ぶりか、それとも大陸初か。
大会2度目のPK戦がベスト4への行方を決めることとなった。

タバレスを中心に円陣を創ったウルグアイ。
パントシルを中心に円陣を創ったガーナ。
歴史を変える。歴史が変わる。我々はそんな瞬間に立ち会っているのだ。
先攻はウルグアイ、後攻はガーナ。
1人目。
フォルランは右スミへ。キングソンは逆。この男は外さない。
キッカーはギャン!右上。絶対にGKは届かない。何というメンタリティ。
2人目。
ビクトリーノは左上へ。キングソンはわずかに届かない。
アッピアーは左上へ。ムスレラは触るも弾き切れず。
3人目。
スコッティは中央へ。キングソンは左へ外された。
ジョン・メンサーは中央右へ。コースが甘くムスレラストップ。助走も短かったか。
4人目。
M・ペレイラはバーの上へ。全力のキックはスタンドへと消えていく。
アディアーは右スミへ。ムスレラは左手一本でセーブ。
5人目。
アブレウは大胆不敵にすくって中央へ。
ゆっくりと、ゆっくりとボールはゴールへ吸い込まれる。

パントシルは座り込んで泣いている。
泣き崩れるギャンをD・ボアテングとスタッフが抱き起こす。
涙で立っていられないアサモアをヴォーサーが支える。
ジョン・メンサーがギャンに声を掛ける。
次は出られないスアレスがフォルランと抱き合っていた。

アフリカとして初のベスト4には、ほんのわずかに届かなかったガーナ。
それでもここまで躍進した価値が薄れるものではない。
あまりにドラマチックな大会との別れが、よりこのチームを浮き立たせる。
眩いばかりの輝きを放ち、アフリカの行く末を照らした“ブラックスターズ”は
細部を彩る脇役を超え、確かな主役として一番星の役割を果たし切り、
静かに南アフリカの地を後にした。
九死に一生を得て、1970年大会以来となる4強の仲間入りを果たしたウルグアイ。
南アフリカを破り、ガーナを破ったこのチームへ
アフリカの大地はどこまで恩恵を授けるのだろうか。
半世紀を超えた、60年ぶりの戴冠まではあとわずかに2勝。

ウルグアイ 1×1 ガーナ
     PK5×3 

【PK戦】
ウルグアイ1人目:フォルラン○
ガーナ1人目:ギャン○

ウルグアイ2人目:ビクトリーノ○
ガーナ2人目:アッピアー○

ウルグアイ3人目:スコッティ○
ガーナ3人目:ジョン・メンサー×

ウルグアイ4人目:M・ペレイラ×
ガーナ4人目:アディアー×

ウルグアイ5人目:アブレウ○

【得点者】
ウルグアイ:フォルラン③(55分)
ガーナ:ムンタリ①(45+2分)
【警告/退場】
ウルグアイ:フシーレ①(20分)、アルバロ①(48分)、ペレス①(59分)、
        スアレス(120+1分・退場)
ガーナ:パントシル①(54分)、サルペイ①(77分)、ジョン・メンサー①(93分)
【交替】
ウルグアイ:ルガーノ→スコッティ(38分)
        A・フェルナンデス→ロデイロ(46分)
        カバーニ→アブレウ(76分)
ガーナ:インコーム→アッピアー(74分)
     ムンタリ→アディアー(88分)
【AD的Man of the Match】
アンドレス・スコッティ(ウルグアイ)

《ベスト4組み合わせ》
7/6 20:30@ケープタウン 
オランダ×ウルグアイ

写真は、両チームの激闘に敬意を表して
突然シリーズから世界標準ということで、合掌造りで有名な世界遺産「白川郷」
139shirakawa.jpg
AD土屋

  • Line