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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2007年12月01日

J2第52節 札幌×水戸@札幌ドーム

foot!
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3月3日に開幕した2007年シーズンのJリーグ。9ヵ月もの長きに渡って多くの人が歩き続けてきた細く険しい道は、ひとまず今日でその大半が各々に与えられた終着点に辿り着きます。そんな中、まだ1つも昇格チームが決定していないJ2。とはいえ首位の東京Vは得失点差の関係上、実質2位以内は確定しているため、焦点は札幌と京都のどちらが自動昇格を果たすか。京都はまず勝利が最低条件で、その上に札幌が負けることが唯一の道。つまり札幌から見れば、京都の結果如何に関係なく引き分け以上で6年ぶりのJ1復帰を決めることができるのです。試合のなかった先週には15節以降守り続けてきた首位の座から陥落。2位ながら追い込まれた状況で真価が問われる最終戦は12時4分、札幌のキックオフでその幕を開けました。開始してすぐに気が付いたのは札幌の選手の堅さ。ボールも人もほとんど動かず、セカンドボールも水戸にことごとく拾われ、「ポゼッションしながら作っていく」(水戸・前田監督)水戸に押し込まれます。そして勢いそのままに11分、村松のCKを鈴木和裕がニアですらすと、塩沢のヘディングはゆっくりした軌道でGKの届かないポイントに吸い込まれ、札幌は早々にビハインドを背負う展開になりました。負けの許されない中で、「2トップに当てるだけの単調な攻撃に終始」(札幌・三浦監督)してしまったホームチームは、30分を過ぎてもシュートがありません。チーム初シュートは37分に砂川が放ったFK。「思った通りではなかった」(三浦監督)前半がもはや終わろうとしていた頃、しかし突然それはやってきました。43分、左サイドから水戸ゴール前に上がったクロスはDFが小さくクリア。それを西が頭で中へ折り返します。素早く反応した砂川が前に落とした所、待っていたのはダヴィ。左足が振り抜かれるとゴール深く突き刺さり、前半終了間際で試合は振り出しに戻りました。各会場45分が終わった段階で、首位はC大阪を1ー2でリードしていた東京V、2位が札幌、3位が草津相手に先制した京都という経過に。このままなら札幌の昇格は決まりますが、ハーフタイムに「勝つために今までやってきたサッカーをして、悔いを残さず45分プレーしよう!!」と三浦監督は檄を飛ばして選手を送り出します。芳賀が「1点取れば変わると思っていた」と語った通り、後半の流れは札幌に。やや不安定だった最終ラインとGKも、時間を追うごとにバランスを取り戻し、相手を危険なエリアの手前で潰します。59分に迎えたカウンターからのピンチも、西澤がスライディングで防ぐなど集中力も持続。第1、第2クールで鉄壁を誇った堅陣がこの大一番で帰ってきました。さらに59分には終盤戦のラッキーボーイ岡本を送り込むと、彼の積極性から攻撃に勢いが出ます。そして83分、その岡本からのパスを左サイドで受けたダヴィが強引なカットインから左足のトーキックでシュート。ボールはGKのニアサイドを抜けて逆転!2ー1!「自分の人生で一番大事な瞬間」と位置付けた昇格を自らの左足で手繰り寄せます。5年間待ちに待ったその時はすぐそこに。一度ファウルの判定を試合終了と勘違いして、湧いたスタンドもご愛敬。そして90分に追加された3分も過ぎ去り、札幌が悲願かつ命題のJ1復帰を見事に果たしました。加えて朗報が。オーロラビジョンに映し出された長居の試合結果は2ー2の引き分け。すなわちそれは札幌のJ2制覇を告げるメッセージ。昇格に華を添えるチャンピオンとして、来季はJ1に挑むことも決まりました。さて、一時は2位に13ポイントもの差をつけて首位を独走していた札幌でしたが、終わってみれば最終節でようやく目標を達成するなど、中盤以降は苦しみました。三浦監督は「こんなにうまくいっていいのかなと思っていたので、第3、第4クールで苦しむのは予想していた」と語りましたが、実際は予想以上に失速したのではないでしょうか。しかし、キャプテンの芳賀が「今までやってきたことは間違ってなかったし、チームが1つになれたことがこういう結果に繋がった」と振り返ったように、立ち戻る場所をしっかりと確立し、そして最後にそこへと立ち戻れたことが優勝で昇格という最高の結果を生み出したのだと思います。最後に会見で来季のことについて聞かれた三浦監督の話に、彼のサッカー哲学が強く滲み出ていたのでご紹介します。曰く「ウチは守備的と括れば守備的かもしれない。よく守備的に戦って昇格したチームはJ1に残留できないと言われているが、J1で監督をした経験上、私は具体的な事例でそれを否定できる。例えばドイツW杯でベスト8に入ったチームのほとんどは守備が強かった。昨シーズンJ1王者の浦和だって、チャンピオンズリーグ王者のミランだって守備が強いのが特徴のチームだ。"ディフェンス"が世界のトレンドなんじゃないだろうか。パスを回すだけがいいサッカーだとは思わないし、最後は意識を持ってシュートをしていくらだと私は思っている」と。三浦俊也、44歳。日本人きっての理論家と評され、その実は非常に情熱的。何の関わりもなかった北の大地に降り立ち、たった1年でチームを長い長い眠りから目覚めさせた手腕は、1シーズンをフルに戦った指揮官としては史上初めて2つのチームをJ1へ昇格させたという事実を引き合いに出すまでもなく、万人の認める所となりました。俊也さん、本当におめでとうございます!   AD土屋




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