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サッカー フットサル コラム 2025年11月21日

真夏のファイナルのリターンマッチ!高体連最高峰対決in大津 大津高校×神村学園高等部マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第19節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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大津高校・今井獅温

今夏のインターハイ決勝は、歴史に残る名勝負だった。大津高校と神村学園高等部という、九州の強豪校同士が対峙した一戦は、49分に山本翼のゴールで先制した大津が、後半アディショナルタイムまでリードしながら、土壇場の70+6分に日高元の同点ゴールで、神村学園がスコアを振り出しに引き戻す。

延長前半に細山田怜真のファインゴールで神村学園が逆転すれば、延長後半に岩崎天利が執念の同点弾を叩き出し、今度は大津が追い付く。最後は8人目までもつれ込むPK戦の末に神村学園が競り勝ち、鹿児島県勢初となるインターハイ制覇を達成。大津は悲願の日本一にあと一歩で届かなかった。この前提は今節を楽しむうえで語り落とせない。

昨シーズンのプレミア王者でもある大津は、ここまでのプレミアリーグを振り返ると、勝点28を積み重ねて5位に付けている。開幕戦では静岡学園と引き分けたが、以降は勝ち負けがハッキリしており、9勝1分け8敗とわずかに白星先行。また、先週末の高校選手権県予選決勝ではルーテル学院高校に1-0で勝利し、冬の全国切符を手繰り寄せている。

前述したインターハイの悔しい経験を経てからは、チーム力も一段階引き上がった印象だが、第14節のヴィッセル神戸U-18戦、第18節のサガン鳥栖U-18戦と、プレミアWESTで優勝争いを繰り広げている2チーム相手に、試合内容では優りながらも、ともに1点差で敗戦。シビアな選手権を勝ち上がるためにも、残りのプレミアで勝負強さを纏い直しておきたいはずだ。

夏の全国王者・神村学園は苦しいシーズン序盤を強いられた。開幕から4試合は勝ちがなく、第5節のファジアーノ岡山U-18戦でようやく初白星をゲット。すると、そこからチーム状況は好転し、神戸U-18に4-0、鳥栖U-18に5-0と衝撃的なスコアで快勝を収めるなど、本来の攻撃的なサッカーが開花する。

優勝を飾ったインターハイを挟んで、第9節から第13節までは5連勝を記録。リーグ後半戦は7試合を終えて3勝1分け3敗とイーブンの成績を残しており、選手権県予選決勝でも県内最大のライバル・鹿児島城西高校を3-0で撃破し、2年ぶりとなる全国出場権を獲得。今節にも良いイメージを持って臨めることは間違いない。

ホームゲームを戦う大津のキーマンには、最大の成長株と言えそうな福島悠士を推したい。2年生だった昨年のシーズン開幕時は、プレミア、プリンス九州、県1部、県2部の4カテゴリー以外の選手で構成される『校内リーグ』でプレーしていたが、1つずつステップを駆け上がり、今季は不動のレギュラーとして躍動。福島京次とのドイスボランチは、プレミアの中でも屈指のバランスの良さを誇っている。

本人も「校内リーグはモチベーションを保つのは難しいと思うんですけど、自分も校内リーグからプレミアまで上がれたので、『ああなりたい』という存在として、多少なりとも影響を与えられているのかなと思います」と遠慮がちに話しているように、『校内リーグの星』として部員たちに与える影響も絶大。あらゆるプレーを効果的にこなせるこの人の一挙手一投足から、目が離せない。

大津のセンターバックを任されている今井獅温も、プレミアでの日常を通じて飛躍的な進化を続けている。昨季のプレミアには1試合も出場することが叶わなかったが、今シーズンはここまで全18試合にフル出場。「最初の方に比べると自信が付いてきましたし、後ろがしっかり声を掛けて、堂々としていれば、前の選手も不安なくやれると思うので、そこはより意識しています」と胸を張る。

189センチという長身を生かした空中戦の強さはもちろん、地上戦の1対1でも巧みな駆け引きを駆使して、相手をストップするシーンも確実に増加。「インターハイでは悔しい想いをしたので、選手権では悔いなく戦って、平岡(和徳)先生を日本一にできればなと思っています」と言い切る成長著しい護り人が、夏のリベンジを期す大津を最後方から逞しく支えていく。

返り討ちを狙う神村学園では、チームの戦い方の幅を広げるポリバレントな仕事人、細山田怜真の存在感が増し続けている。直近のリーグ戦に当たるアビスパ福岡U-18戦では中盤アンカーを務めたかと思えば、選手権県予選決勝では右ウイングバックで奮闘。「サイドの時は攻撃参加とクロスを、ボランチではボールを捌きながら守備もきっちりやることを意識しています」と自身の中でも棲み分けは明確にできている。

さらに「インターハイの決勝でシュートを振り抜いて、ああいうゴールを決めたことで、そこからの試合でもシュートを打つ場面が増えたので、あの1点は凄く自信になりました」という言葉からもわかるように、大舞台で沈めたゴラッソは、得点への意欲をより高めてくれた様子。有村圭一郎監督もその成長を認めるナンバー7の丁寧な仕事ぶりに、是非注目してみてほしい。

既にプレミアで二桁の10ゴールを挙げている徳村楓大は、神村学園の中でも最も得点の香りを漂わせているアタッカーだ。リーグ戦でゴールを記録した試合は、6勝1分けといまだに無敗。来季からのFC町田ゼルビア加入内定も発表されており、ネイマールに憧れているというアグレッシブなプレーは、チームに大きな推進力を生み出していく。

シーズン序盤はなかなか結果が出なかったことで、「去年から出ていた選手たちがチームを引っ張れていない責任を感じて、攻撃の中心になって引っ張らないといけないという自覚が芽生えました」ときっぱり。加えてインターハイ決勝では、PK戦で1人目のキッカーとして登場したものの、枠を外してしまった経験も、今回の一戦に気合いを乗せるモチベーションになるはず。背番号11が危険なエリアに顔を出せば、何かが起きるに違いない。

リーグ前半戦の対戦時は、アウェイの大津が2-1で神村学園を下しているため、今季の対戦成績は1勝1敗のイーブン。3度目の激突で、果たして両者の意地の張り合いは決着を見るのか。真夏のファイナルのリターンマッチは激戦必至。初冬に実現する高体連最高峰対決、要注目。

インターハイ決勝でゴラッソを叩き込んだ神村学園高等部・細山田怜真

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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