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【溜めてきたマグマを爆発させるのは今!吉田湊海が常に漂わせるゴールの予感 FIFA U-17ワールドカップ カタール2025 日本×南アフリカ マッチプレビュー】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史U-17日本代表の不動のエース、吉田湊海
初戦でアフリカ王者のモロッコに2-0で逞しく勝利したものの、2戦目のニューカレドニア戦では35本のシュートを放ちながら、スコアレスドローという結果を突き付けられたU-17日本代表。迎えたポルトガルとの3戦目は、限りなくグループステージ突破が濃厚だったとはいえ、これ以降の戦いを考えても、非常に重要な一戦だった。
このゲームで輝いたのは、チーム最年少でもある16歳のボランチだ。35分。長南開史からのパスを受けた和田武士は、一瞬でゴールまでの道筋をイメージして、浅田大翔とのワンツーでペナルティエリア内へ侵入。寄せてきたマーカーを鮮やかにかわし、左足を振り抜くとGKは一歩も動けず、ボールはゴールネットへ突き刺さった。
さらに日本はアクセルを踏み込む。相手のゴールがオフサイドで取り消される幸運を経て、45分には野口蓮斗、平島大悟と繋いだ流れから、瀬口大翔が左足で打ち切ったシュートは、右ポストを叩いてゴールへ吸い込まれる。背番号20の今大会2点目。前半は2点をリードして、後半に折り返す。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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FIFA U-17 ワールドカップ カタール 2025 ラウンド32 日本 vs. 南アフリカ
配信期間 : 2025年11月15日午後10:15 ~
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FIFA U-17 ワールドカップ カタール 2025 準々決勝-1
配信期間 : 2025年11月21日午後9:15 ~
ただ、72分には思わぬアクシデントが。ライン際でもつれた際に、長南のスパイクが相手選手の足に当たったという判定で、主審はいったんイエローカードを提示するも、FVS(フットボール・ビデオ・サポート)の末にレッドカードへ変更。日本は10人での戦いを余儀なくされてしまう。
80分には1点を返され、苦しい状況を迎えたが、ここで奮起したのは頼れるキャプテン。82分、86分と村松秀司が相手の決定機をともにファインセーブで凌ぎ、チームメイトに改めて大きな活力をもたらす。何とか2-1で逃げ切った日本は、グループステージ首位通過が決定。試合後の選手たちの表情には笑顔が広がった。
1位グループ(各グループ1位の12チーム)の中で10位の成績となった日本が、ラウンド32で対峙するのは、グループAを2位で通過してきた南アフリカ。開幕戦のボリビア戦には3-1で勝利したが、開催国のカタールに1-1で引き分けると、イタリアには1-3で敗れており、バイオリズムは決して良いわけではなさそうだ。なお、アフリカ予選では準々決勝でモロッコと対戦して、1-3で敗れていることも付け加えておきたい。
負ければ終わりとなるノックアウトステージの初戦。勝ち切るメンタリティが求められるラウンド32で爆発を期待したいのは、日本の10番を託されている不動のエース・吉田湊海だ。
「得点は常にこだわってやっていますし、実際に自分が得点を獲れたらチームもだいぶ楽になると思うので、1試合1点以上は獲りたいです」と大会前に意気込んでいたが、ここまでの3試合ではまだノーゴール。この数字に本人が納得しているはずもない。
スタメン起用されたモロッコ戦では、数度の決定機を掴んだ中で、76分には和田のロングフィードからマギージェラニー蓮が粘って残すと、走り込んだ吉田は泥臭くヘディングでゴールネットを揺らしたものの、相手からのFVSリクエストの結果、ハンドがあったという判定でゴールは認められなかった。
さらに連続スタメンとなったニューカレドニア戦でも、後半途中から出場したポルトガル戦でも、決定的なシーンには顔を出しているが、なかなか確かな成果を残すまでには至っていない。
だが、1年生ながらプレミアリーグEAST得点王に輝いた昨シーズンも、既に二桁得点に乗せている今シーズンも、この人が大事なゴールを奪って、鹿島アントラーズユースに歓喜をもたらすシーンは、何度も、何度も、見せ付けられてきた。
また、今大会ではシャドーでプレーする機会が多いが、もともとボランチでプレーしていたこともあり、巧みにボールを引き出し、攻撃の基点を作ったかと思えば、時には最終ライン付近まで戻って守備に奔走する献身性も携えており、攻守に発揮するアグレッシブさも頼もしい限りだ。
自身にとっても初めて挑む世界大会。間違いなく誰よりも得点を渇望している今、吉田のモチベーションが極限まで高まっていることは想像に難くない。何よりもこの10番が結果を出すことで、チームに与え得るポジティブな影響は、測り知れないものがある。
大会直前にはっきりと言い切った言葉を思い出す。「『自分が点を獲ってチームを勝たせる』ということは、目標というよりも、やってやりたいこと、やらなきゃいけないこと、という気持ちです」
得点量産の予感は常に漂っている。あとは、少しだけ詰まっている“ケチャップ”のふたをこじ開けるだけ。日本を席巻する10番から、世界を魅了する10番へ。吉田湊海は誰よりも自分が待ち望んでいるワールドカップのゴールで、青き若武者たちと自身の輝く未来を、力強く切り拓く。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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