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サッカー フットサル コラム 2025年11月5日

カタールの空に勝利の咆哮を響かせろ!闘争系ボランチ・川本大善が世界の舞台で戦う意味 FIFA U-17ワールドカップ カタール2025 日本×ニューカレドニア マッチプレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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U-17日本代表の闘争系ボランチ、川本大善

控えめに言っても、最高のスタートだったことは間違いない。FIFA U-17ワールドカップ カタール2025の初戦となったモロッコ戦。U-17日本代表は試合前のウォーミングアップで、スタメンが予想された小林志紋にアクシデントが発生し、登録メンバー外に。想定外の形でキックオフを迎えることになる。

試合は9分に枠を襲ったモロッコのミドルシュートを、キャプテンマークを巻く守護神の村松秀司がビッグセーブで掻き出すと、以降は最終ラインから丁寧にボールを繋ぎながら、ゲームリズムを引き寄せる。22分には瀬口大翔の右CKから、元砂晏翔仁ウデンバのヘディングがゴールネットを揺らし、ここはオフェンスファウルでノーゴールとなったが、攻勢を強めて後半へと折り返す。

待望の先制点が生まれたのは57分。右サイドで力強いキープを見せた浅田大翔は、カットインしながら左へ優しいラストパス。走り込んだ瀬口の完璧なシュートは、鮮やかな弧を描いてゴール右スミへ吸い込まれ、日本が1点のリードを奪う。

76分に吉田湊海が粘り強く押し込んだ得点は、相手のリクエストによる『フットボール・ビデオ・サポート』で認められなかったが、終了間際の90+8分には途中出場のマギージェラニー蓮が身体を張って残したボールを、平島大悟がゴールへ流し込み、貴重な2点目をゲット。アフリカ王者に2-0と快勝を収め、勝点3を手繰り寄せた。

日本が2戦目で対戦するのは、オセアニア予選を3位で通過してきたニューカレドニア。初戦のポルトガル戦ではPKで先制したものの、そこから失点を重ねて1-6と大敗。グループの中では力の落ちる相手だけに、どれだけ得点を重ねて勝利できるかが、この一戦の最大の焦点になる。

今回のゲームのキーマンには、モロッコ戦でも中盤でハイパフォーマンスを披露した川本大善を推したいと思う。和田武士とコンビを組んだドイスボランチのバランスも良く、お互いに出ていくところと引くところの連携も上々。また、シビアな球際での争いでも、川本は持ち味の対人の強さを遺憾なく発揮。世界デビュー戦で堂々の90分フル出場を果たし、チームの勝利にきっちり貢献してみせた。

2年生だった昨シーズンは、所属の柏レイソルU-18が戦っているプレミアリーグの出場も1試合のみ。年代別代表とは無縁の存在だったが、今季に入って一気にチーム内で台頭すると、6月のスペイン遠征でU-17日本代表の初招集を受け、好アピールに成功。“大外”からメンバー入りを勝ち獲った。

川本が誇る最大の武器は、あふれ出るパッションと、どんな相手にも怯まない闘争心。「チームに悪い雰囲気や緩い雰囲気が流れていた時は、自分が見せないとなと思いますし、会場の見ている人たちを全員引き込んでいくのが、自分の役割や使命だと思っています」と口にするように、自身のビッグプレーには雄叫びを上げるメンタリティも頼もしい。

中学年代からレイソルアカデミーで育ってきたこともあって、一定以上の足元の技術も標準装備。モロッコ戦でもボールホルダーをサポートする角度や、ギャップに潜ってパスを引き出すポジショニングの妙で、チームメイトに安心感を与えつつ、時には前線に飛び出し、フィニッシュシーンに関わる意欲も。どのプレーも実に効いていた印象だ。

もちろん代表選手になったからと言って、奢り高ぶるようなパーソナリティは持ち合わせていない。「自分は常に自分の出せる100パーセントの力を1日の中で出し切るということを考えているので、代表に選ばれたからといって、そこが変わるということは、自分にはないですね」と言い切るあたりに、この人の本質が垣間見える。

攻撃する時間が長くなることが予想されるニューカレドニア戦。チームが前がかりになった時の中盤のバランサーとして、またプレミアリーグや夏のクラブユース選手権でも披露してきた、ゴールの匂いのするところに顔を出せるスコアラーとして、担うべきタスクは少なくない。

それでも、変わらない。そこが日立台の練習場でも、カタールのワールドカップのピッチでも、川本大善は何ひとつ変わらず、自分の出せる100パーセントの力を、タイムアップの瞬間まで出し尽くす。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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