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アカデミー全体で繋ぐ未来のバトン。政田に息衝き始めた「プレミアリーグで戦い続けること」の意義 高円宮杯プレミアリーグWESTファジアーノ岡山U-18×ヴィッセル神戸U-18マッチレビュー
土屋雅史コラム by 土屋 雅史政田のピッチで戦うファジアーノ岡山U-18
ファジアーノ岡山にはジュニア年代から在籍しているという脇本祐希は、それまでより少しだけ言葉に力を込めて、こんなことを話してくれた。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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【先行】高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 WEST 第18節-1 ヴィッセル神戸U-18 vs. 静岡学園高校
配信期間 : 2025年10月18日午後0:50 ~
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【先行】高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 WEST 第18節-2 名古屋グランパスU-18 vs. サンフレッチェ広島F.Cユース
配信期間 : 2025年10月19日午前10:50 ~
「いつもジュニアユースの子たちには大きな声で応援してもらっていますし、そこは本当に力になっています。それをこれからも繋いでいくためにも、プレミアに残留しないといけないと思うので、そこは絶対に成し遂げるべきことかなと感じます」
大人のサポーターたちに混じって、雉のエンブレムが刻まれたウェアを纏う中学生たちが、プレミアリーグを戦う“先輩”たちに大きな声援を送り続ける。それはファジアーノのトップチームもトレーニングを行っている、政田サッカー場に息衝き始めた日常の光景だ。
プレミアリーグWEST第17節。岡山U-18がホームで迎え撃つのは、リーグ首位を快走するヴィッセル神戸U-18。難敵相手の一戦は、45分までに3点を先行される展開に。ただ、前半終了間際に行友翔音のCKが直接ゴールに吸い込まれ、1-3というスコアでハーフタイムに入る。
「前半の最後にああいう形で、セットプレーで1点獲り返せたことは大きかったですし、後半もう一度やり直そうというところで、厳しい立ち上がりから始まっても、自分たちは実際にそういう試合の方が多いので、誰一人諦めていなかったです」と話すのはキャプテンの堤涼太朗。ホームチームの選手たちはもう一度ねじを巻き直し、後半のピッチへ飛び出していく。
勢いは間違いなく岡山U-18が上回っていた。「後半は前からハメに行ったので、攻撃的な守備ができて、自分たちの攻める回数も多かったですし、メンタル的にも改善されたんじゃないかなと思います」とは脇本。フィニッシュの回数も増え、押し込む時間が続く中で、73分には田邊健太のクロスから安西来起がヘディングで合わせる豪快なゴール。スタンドに陣取ったU-15の選手たちも、一段階ボルテージが上がる。
だが、終盤まで攻め続けたものの、ファイナルスコアは2-3。「2点は獲り返したんですけど、やっぱり前半に3失点したのが痛かったですね。守備のところがうまくハマっていなかったので、そこを前半のうちに改善できていたら、もっと勝てるチャンスが広がっていたのかなと思います」とは既にクラブとプロ契約を締結している千田遼。後半は十分に盛り返したが、勝点獲得にはあと一歩及ばなかった。
この日の前日。岡山U-15は『高円宮杯JFA U-15サッカーリーグ 2025中国プログレスリーグ1部』最終節で、勝点で並ぶサンフレッチェ広島ジュニアユースに4-0で快勝を収め、リーグ連覇を達成。その試合には、昨年の優勝の味を知るU-18の1年生たちも応援に訪れていたという。
だからこそ、堤はその勢いをプレミアの結果に繋げたかった。「ジュニアユースは昨日の試合でリーグ戦の優勝が決まっていて、それも刺激になった部分もあって、今日は応援に来てくれるということで、ユースの選手として後輩にしっかり良いプレーを見せるというか、お手本を見せられるチャンスだと思っていたので、勝ちたかったですね」
かつてU-15のカテゴリーでプレーしていた千田は、U-18の選手としての在り方に、自身の経験も踏まえてはっきりとしたイメージを持ち合わせている。「自分たちがジュニアユースの時に、ユースのカテゴリーはプリンスだったんですけど、試合を見に行った時には凄くカッコよかったですし、素直に憧れがあったので、今はプレミアリーグで戦っているのであれば、もっとカッコいい姿を自分たちが見せないといけないなと」
「ファジはアカデミー全体も強く繋がっていて、ジュニアの選手がジュニアユースの選手に憧れて、ジュニアユースの選手がユースの選手に憧れて、そこからトップへと繋がっていくと思うので、そういう意識は自分の心の中にもずっとあるのかなと思います」
スタンドから声援を送る岡山U-15の選手たち
9月21日。ファジアーノ岡山スポーツパーク寄島。秋晴れの中、U-12、U-15、U-18とファジアーノアカデミーの全カテゴリーの選手が集い、『大運動会』が開催された。ファジレッドとファジホワイトの2チームに分かれ、年代の垣根を越えて、さまざまな競技を通じて盛り上がった1日のことを、堤は笑顔でこう振り返る。
「メチャメチャ楽しかったです。コーチとか保護者は見守っているだけで、競技もそのルールも全部自分たち主体で考えました。長なわとび、綱引き、二人三脚、借り物競争とかをやったんですけど、やっぱりジュニアの子はかわいいなと思いましたね(笑)。よりみんなとの関係性は深くなったかなという感じです」
U-18を率いる梁圭史監督にとっても、この『大運動会』という素敵な試みは、さまざまな気づきのあるイベントだったようだ。
「メッチャ楽しかったですよ。そもそも運動会って楽しいものですし、シンプルな笑顔が至るところにあって、繋がりも生まれますし、素晴らしい企画だなと思いましたね。子どもたちの屈託のない笑顔を見ていると、僕も『人を笑顔にできたら』とか思ったりする中で、別にサッカーではなくても、幸せな時間が過ごせるのなら、それも凄くいいなと思った時間でした」
大運動会に集ったアカデミーの選手、スタッフ、保護者で記念撮影
笑顔で一緒に綱を引っ張った“おにいちゃん”が、真剣な表情を浮かべて、自分の目の前を駆け抜けていく。笑顔で一緒になわとびを跳んだ“先輩”が、激しく相手に身体をぶつけて、力強くボールを奪う。その姿に憧れて、自分もこのピッチに立ちたいと願う若き芽が、アカデミーの歴史を継承していくのだ。
今シーズンのプレミアは、あともう5試合しか残っていない。現在は8位に付けているが、降格圏に当たる11位の東福岡高校との勝点差はわずかに3ポイント。シビアな状況の中で戦う“450分間”に向けて、坂本は気持ちを引き締め直す。
「やっぱりプレミアになると、全国大会みたいなレベルの戦いを毎週のようにできますし、2023年に当時の3年生が上げてくれたおかげで、今こうやってプレミアで戦えているので、僕らがまた残留して、次の代も残留して、ファジアーノの歴史を繋ぎながら、良いものを残していかないといけないなと思います」
アカデミー全体で繋ぐ未来のバトンの“最終走者”。岡山U-18の3年生たちは、自分たちに課せられた責任を感じつつ、それでも楽しみながら、残された時間を噛み締めながら、今まで通りに目の前の1試合へ、全力を出し尽くす。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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