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魂の大一番!凱歌をあげるのは竜か、鹿か!超注目の10.5決戦 流通経済大柏高校×鹿島アントラーズユースマッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第16節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史シーズンを左右する大一番に挑む流通経済大柏高校
正念場を迎えていると言って良いだろう。12年ぶりのプレミアリーグEAST制覇を狙う流通経済大柏高校のことだ。前半戦は序盤から首位争いを繰り広げ、夏のインターハイも準決勝で大津高にPK戦で敗れたものの、4試合無失点と守備陣も安定。後半戦ではアクセルを踏み込み、さらなる上昇気流に乗るはずだった。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 EAST 第16節-2 流通経済大学付属柏高校 vs. 鹿島アントラーズユース
配信期間 : 2025年10月5日午前10:50 ~
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高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 EAST 第16節-1 浦和レッズユース vs. 前橋育英高校
配信期間 : 2025年10月4日午前10:50 ~
ところが、再開初戦の浦和レッズユース戦に引き分けると、昌平高校には4-3と打ち勝ちながら、ホームで対峙した川崎フロンターレU-18には1-4で完敗を喫してしまう。そして、前節の前橋育英高校戦は、実に3度もクロスバーやゴールポストにシュートを弾かれ、0-1で敗戦。今シーズン初の連敗を突き付けられて、この大一番へ臨むことになった。
アウェイに乗り込む鹿島アントラーズユースは、盤石の態勢を敷きつつある。リーグ前半戦を首位で折り返すと、夏のクラブユース選手権では悲願でもあった初の日本一を獲得。後半戦に入っても、横浜FCユースと前橋育英高校を続けて撃破し、公式戦の連勝を12まで伸ばす。
第14節の柏レイソルU-18戦は、0-0で今季初の引き分けとなり、連勝こそストップしたが、前節の市立船橋高校戦は開始1分に福岡勇和がミドルシュートで先制点をゲット。40分にはカウンターから、51分にはサイド攻撃からともに高木輝人がゴールを奪えば、57分にもセットプレーから倉橋幸暉が追加点を記録し、終わってみれば4-1と快勝。2位のFC東京U-18に6ポイント差、3位の流通経済大柏に7ポイント差を付けて、着々とリーグ制覇へ突き進んでいる。
プレミアリーグ全体を見渡しても、有数の高い強度を誇る両チームの対戦。今回は3つのポイントに絞って、試合を展望していきたい。
(1)2年生センターバックの奮戦
流通経済大柏の中でも、リーグ戦でただ1人フルタイム出場を続けているのは、2年生センターバックの大徳剛矢だ。身体的な強さもスピードも兼備しているディフェンダーは、周囲の大半が3年生という環境の中でも堂々とプレー。各チームの強烈なフォワードたちと肌を合わせることで、着実に自信を纏いつつある。
大徳同様に前節までは全試合にスタメン出場していたセンターバックの廣瀬が、前橋育英戦で退場処分となったため、今回の一戦は出場停止に。そんな状況下で大徳に求められるのは、守備全体を統率すること。同じ2年生でもある鹿島ユースの吉田湊海とのマッチアップは避けられず、プレミアの舞台で積み重ねてきたものを、相手のエース相手にどこまで発揮できるかは、流通経済大柏の守備の1つのポイントだろう。
鹿島ユースの最終ラインを引き締めている2年生センターバックとして、元砂晏翔仁ウデンバの存在も語り落とせない。来季からのトップ昇格が内定した大川佑梧とのセンターバックコンビは、プレミア屈指のタッグ。191センチの長身を生かした空中戦も、長い手足を生かしてボール奪取を狙う地上戦も、ハイレベルなパフォーマンスを継続させてきた。
9月27日にはトップチームのアウェイ・名古屋グランパス戦で、初のJ1ベンチ入りを経験。試合出場はなかったものの、プロの真剣勝負の空気を味わった。本人曰く「サッカーを楽しんでいる時が一番調子が良い」とのこと。流通経済大柏の長身フォワード・大藤颯太とのマッチアップの勝敗が、試合の結果に直結してくることは間違いない。
(2)激化するフォワード争い フィニッシャーは誰だ
今シーズンの流通経済大柏を牽引してきた2トップ、大藤颯太と金子琉久が苦しんでいる。ここまでのリーグ戦ではともに8ゴールを叩き出し、何度もチームを勝利に導いてきたが、後半戦はやや2人の勢いに陰りが見え、前節は金子がベンチスタートに。ただ、スタメンで登場した大藤も身体が重く、ハーフタイムに金子と交代。試合も無得点で敗れることになった。
前橋育英戦では、先発に抜擢された1年生ストライカーの熊木虎太郎がポスト直撃のシュートを放つなど、一定以上のプレーレベルを披露しただけに、今節のフォワードの組み合わせは不透明だが、やはり前半戦の好調に大きく貢献してきただけに、大藤と金子が見せる意地の爆発に期待したいところ。3年生2トップの真価が問われている。
もはやプレミアの顔になりつつある鹿島ユースの背番号40、吉田湊海の勝負強さは驚異的だ。ここまで積み上げた7ゴールのうち、実に4ゴールが決勝点。85分から2点差を引っ繰り返す大逆転劇を演じたFC東京U-18戦では、きっちり3点目をマーク。チームの歓喜を力強く引き寄せた。
加えて前節は、実に12試合ぶりのスタメンとなった高木輝人が、起用に応えるドッピエッタで勝利の主役に。“兄”の意地を見せ付けた。一方で、この試合は“兄”との交代で途中出場となった“弟”の高木瑛人も、クラブユース選手権決勝では豪快なヘディングをネットに突き刺すなど、印象的なゴールも決めている。また、前半戦の流通経済大柏戦では正木裕翔が2得点の活躍。2トップの一角を巡るポジション争いからも目が離せない。
(3)中盤の強度の出し合い 意地の張り合い
今シーズンから中盤の構成にダイヤモンド型を採用している流通経済大柏。アンカーの島谷義進はほぼ不動の地位を築いている中で、とりわけ攻守両面での貢献がより求められるサイドハーフの人選が、今回の試合でもカギを握ってくるはずだ。
前節は右に古川蒼真、左に上田哲郎を置いてスタートしたが、20分前後に古川と右サイドバックの石井友啓が入れ替わり、さらに30分前後には2トップ下の山元琉士が右へ、右の石井が左へ、左の上田が2トップ下へスライドするなど、頻繁に配置転換を試みたものの、最後までうまくフィットしたとは言い難い。
1点を追い掛ける後半には、右に乙川宙、左に安藤晃希と攻撃性の高いアタッカータイプが交代出場したように、どんな4人が先発でピッチに解き放たれるかからは、そのゲームに対する榎本雅大監督の思考が透けて見える。試合が始まったら、まずは中盤を注視し、誰がどこに配置されているかをチェックしていきたい。
1年生だった昨シーズンから鹿島ユースのドイスボランチを任されている、福岡勇和と大貫琉偉のコンビネーションは熟成の域に達しつつある。どちらも守備に特徴のあるタイプだが、今季はより積極的に攻撃にも参加。前節も開始1分で福岡がミドルシュートを叩き込み、チームに大きな勇気をもたらした。
全試合スタメンを続ける福岡に対し、大貫は年代別代表の活動で欠場することもあった中で、福岡と3年生の佐藤湧斗がボランチでコンビを組んだ試合は、3戦3勝という数字も残っており、前節はセンターバックが主戦場の1年生・倉橋幸暉が福岡と並んで起用されると、セットプレーからプレミア初ゴールまで記録。誰が登場してもハイパフォーマンスを出せるあたりに、このグループの練度が透けて見える。
アントラーズ伝統の4-4-2システムの中でも、中央で攻守を繋ぐドイスボランチは、どの試合でもその出来が勝敗を左右する重要なポジション。福岡と大貫が先発で出てくるのか、それとも他の選手が彼らに代わって出てくるのか、どちらにしても鹿島ユースの中盤が90分間打ち出し続ける強度には、是非注目してほしい。
前回対戦はカシマスタジアム(当時)で行われた第10節。3分に上田のゴールで流通経済大柏が先制するも、42分と49分に正木の連続ゴールで鹿島ユースが逆転。流通経済大柏も65分にはオウンゴールで追い付いたが、85分に平島大悟が挙げた得点が決勝点。3-2でホームチームが競り勝っている。
シーズンの趨勢が決まる可能性もある、超注目の『10.5決戦』。流通経済大柏が何とか食らい付くか、鹿島ユースが引導を渡すか。試合が終わった後に凱歌をあげるのは、果たしてどっちだ。
鹿島アントラーズユースの2年生コンビ、吉田湊海(40番)と福岡勇和(27番)
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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