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FC東京U-18時代の佐藤龍之介
「1年生がしっかりやらないと絶対にチームは勝てないと思うので、そこは先輩にも要求しながら、うまくコミュニケーションを取って、どっちも良いプレーができる関係性を築けたらなと思います」。『FIFA U-20ワールドカップチリ2025』に臨むU-20日本代表の背番号7、佐藤龍之介が弱冠15歳にして話していた、そんな言葉を思い出す。
初めてそのプレーを見た時から、備えている才覚は際立っていた。FC東京U-15むさしから、U-18へと昇格したばかりの高校1年生は、いきなりプレミアリーグの開幕戦で熊田直紀との交代でデビューを飾ると、3試合目の前橋育英高校戦ではスタメンに抜擢され、フル出場でチームの勝利に貢献してしまう。
試合後にメディアに囲まれ、一生懸命話している佐藤の姿を見た熊田が、少しだけ笑顔を浮かべて「かわいいですよね」と口にした光景も印象深い。その年のオフシーズンにトップチームのキャンプに参加した際にも、長友佑都と森重真人という2人の“重鎮”とは早々に良好な関係性を築いたという。先輩の懐にスッと飛び込んでいけるパーソナリティも、この人の大きな武器だと思う。
2023年シーズンは飛躍の年となった。3月にはルヴァンカップで先発に指名され、久保建英のクラブ史上最年少記録を更新すると、8月には16歳でプロ契約を締結。さらに11月のU-17ワールドカップでは、アルゼンチンやスペインと対峙。世界における自身の現在地を過不足なく把握したことで、さらなる成長の糧を得る。
一転して2024年シーズンは、トップチームでの公式戦出場もトータルで5試合にとどまり、プレミアリーグでは1年を通じて登録外に。高校3年生という大事な時期に、実戦経験を積むことがほとんど叶わなかった。
だが、そんな苦しい状況下でも着実に努力を重ね、成長曲線を伸ばし続けていたことは、期限付き移籍で加わったファジアーノ岡山で不動のレギュラーを掴み、A代表デビューまで果たした今季のここまでのパフォーマンスで、十分すぎるほどに証明してみせている。
J SPORTSのインタビューでU-20ワールドカップへの意気込みを問われた際には、強い決意を滲ませた。「個人としては3ゴール、3アシストを目標にして、チームとしては優勝を目指していきたいと思います」
2年ぶりとなる世代最高峰との“再会”は、もうすぐそこまで迫っている。繊細にして、豪胆。佐藤龍之介がその名を南米の地から、世界へと高らかに轟かせる。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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