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怒涛の8連勝中!無双のクリムゾンレッドが夏の全国王者を迎え撃ついぶきの森決戦 ヴィッセル神戸U-18×神村学園高等部マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第15節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史ヴィッセル神戸U-18・西川亜郁
過去3シーズンはいずれもプレミアリーグWESTで2位。今季は今まで以上にタイトルを渇望している、ヴィッセル神戸U-18の好調が止まらない。苦手の前半戦も9勝2敗という好結果で首位ターン。第7節のファジアーノ岡山U-18戦から始まった連勝は、現在8連勝まで伸びており、着実に勝点を積み重ねている。
アウェイに乗り込んだ前節の大津高戦は、4対19というシュート数が示すように、押し込まれる時間も長く、何度も決定機を作られるも、GK胡云皓のファインセーブやゴールポストに助けられ、懸命に凌ぎ続けると、90+5分に藤本陸玖が決勝FKを沈め、1-0で白星を強奪。チームには最高に近い風が吹いていると言っていいだろう。
開幕時こそ3連敗を含む4試合勝ちなしで、やや不安なシーズンスタートを切った神村学園高等部だったが、インターハイ予選からアクセルを踏み込み、リーグ戦と悲願の日本一を勝ち獲ったインターハイを合わせて、公式戦15連勝を記録。チーム力は向上の一途をたどっている。
その勢いを持って臨んだ前節のサンフレッチェ広島F.Cユース戦も、日高元の連続ゴールで幸先良く2点を先行。その後はお互いに点を獲り合いながらも、終盤までリードを保っていたものの、後半アディショナルタイムにまさかの連続失点を喫し、3-4で逆転負け。リーグ戦と公式戦の連勝がストップした状態で、今節へ向かうことになった。
ホームゲームを戦うヴィッセル神戸U-18からは、まず大西湊太を注目選手に挙げたい。7月にはチームメイトの渡辺隼斗と瀬口大翔とともに、来季からのトップチーム昇格が発表されており、本人も「みんな褒めてくれて、祝ってくれて、凄く嬉しかったですし、その期待に応えたいなと凄く思いました」と想いを新たに、日々のトレーニングへ取り組んでいる。
ここ2シーズンのプレミアでは、前節までの全36試合に連続出場を続けているが、今季はここまで無得点。本人は「思ったようなプレーも出せていないですし、内容のいい試合が多いわけでもないので、満足のいく結果は出ていないです。前の選手として、価値を出すためにはゴールに絡むことが大事だと思うので、後期は数字を出していきたいなと思います」とさらなる活躍への意欲を語っており、大西がどういう形で得点に関われるかは、今節の勝敗のカギを握る1つの大きなポイントだ。
その大西と右サイドで縦関係のコンビを組む、西川亜郁が披露している今季のハイパフォーマンスは語り落とせない。ここまではリーグ戦全試合にスタメン出場。「もともと中盤をやっていたので、内側でのプレーに苦手意識はあまりなくて、内に入っていくことだったり、すぐ蹴らずにドリブルで運んだり、縦パスで間を通したりすることは狙っています」と自身のプレーの特徴を冷静に解説してくれる。
ただ、1年時から出場機会を得てきた西川も、前節まで3シーズンの通算で40試合に出場してきたプレミアでは、まだ初ゴールが生まれていないだけに、「もう本当にずっと決めたいと思っているんですけど、まだまだゴール前でパスを探してしまうので、ここ最近はシュートを意識していますし、点を決めたいという欲はメチャメチャあります」ときっぱり。右サイドバックの位置から果敢に攻めあがる背番号2の、プレミア初得点にも大いに期待したい。
連敗は回避したい神村学園のトップスコアラーは、ここまで9得点をマークしている徳村楓大だ。チームでただ1人、開幕から全試合でスタメンを張っているアタッカーは、神出鬼没なポジショニングでゴール前に現れると、思い切りの良いフィニッシュでゴールネットを揺らしていく。この人が点を獲った試合は、ここまで5戦5勝。まさに勝利を呼び込むエースとしての働きも際立っている。
昨年からコンスタントに試合に出ていたこともあり、「今年のプレミアリーグの入りが悪かったのは、去年から出ていた選手たちがチームを引っ張れていない責任が絶対にあったので、そこで攻撃の中心になって引っ張らないといけないという自覚が芽生えました」と口にするように、チームの勝敗を担う自覚と責任も十分。ネイマールに憧れているという万能アタッカーは、この試合でリーグ戦でのゴール数を二桁に乗せられるか。
夏の日本一を陰日向で支えた荒木仁翔の存在も、神村学園にとっては必要不可欠だ。前節もゴールを叩き出した正確な左足の威力はもちろん、ビルドアップへの巧みな関わり方も、この人の持ち味の1つ。「“上下の段差”を付けて、相手のプレスの掛け方を見ながら、判断を変えられるようになってきましたし、認知のところはプレミアを通じて変わってきたかなと思います」と自身でも確かな成長を実感しているようだ。
中学時代にプレーしていたソレッソ熊本と神村学園の先輩であり、利き足も同じ吉永夢希(ヘンク/ベルギー)に対しては「神村に来てくれた時にクロスを見ると、質の部分で違いを見せつけられますね」と言いながらも、「それでも自分は自分なので、比べられるところはあると思うんですけど、武器のキックで自分の色を出して、『神村にこういう選手がいるんだ』というところを、みんなに見てほしいです」とも。そのプレーを90分間見続けるだけでも面白い、クレバーなレフティから目が離せない。
両雄の前半戦の対戦は、5月5日に行われた第6節。その時は日高元と福島和毅が得点を重ね、さらに徳村も2ゴールを奪った神村学園が、ホームで4-0と快勝を収めている。
「前期はチンチンにやられましたし、神村はだいぶ強かったです。でも、安部さん(安部雄大監督)も言っていたんですけど、『男なら1回負けた相手には、2回も負けられない』と。そこはプライドを持って戦いたいです」(大西)
ホームチームが連勝街道をさらに突っ走るのか、それともアウェイチームが意地を見せて、赤き凱歌を上げるのか。WEST首位と夏の全国王者が対峙する『いぶきの森決戦』では、そこかしこで繰り広げられるはずの高校年代最高峰のプレーを、思う存分楽しみたい。
神村学園高等部・荒木仁翔
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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