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「威風堂々。泰然自若。「無双の守備者」は自分の信じた道を行く【U-20日本代表・市原吏音(RB大宮アルディージャ)】」
土屋雅史コラム by 土屋 雅史大宮アルディージャU18時代の市原吏音
周囲のチームメイトのほとんどが年上だった15歳のころから、グループを束ねようとするリーダーシップは際立っていた。『FIFA U-20ワールドカップチリ2025』に臨むU-20日本代表のキャプテンを託されるであろう、RB大宮アルディージャの至宝・市原吏音のことだ。
高円宮杯プレミアリーグにデビューしたのは、大宮U15からU18に昇格したばかりのシーズン開幕戦。流通経済大柏高校に3点をリードされた後半の終盤。丹野友輔監督は“27”という、この日の両チームで一番大きな背番号の1年生を、戦場へと送り出す。
初スタメンに抜擢されたのは、開幕から7試合目のこと。横浜FCユースとのアウェイゲームで、2歳年上の実兄・未藍とともにキックオフからピッチに立つと、無失点にきっちり貢献。その存在感をはっきりと示してみせる。
印象に強く残っているのは、2022年シーズンのプレミアEAST開幕戦。背番号も4番に変わっていた市原は、U-20日本代表のチームメイトに当たる大関友翔を擁する川崎フロンターレU-18との一戦で、試合には0-1で敗れたものの、1人で守り切れる圧倒的な守備能力を披露する。
試合終盤には2年生にも関わらず、キャプテンマークを左腕に巻く一幕も。「今年は “2年生キャプテン”をやっているので、僕に回ってきたんですけど、来年からじゃなくて、もう今年からリーダー的な存在になっていかないといけないので、年間を通して徐々にチームの中心になっていきたいと思います」と言い切った市原は、この年の1年間で、年代別代表で欠場した2試合を除く、リーグ戦20試合にフルタイム出場を果たし、絶対的なディフェンスリーダーへと成長を遂げた。
その後の活躍は、あえて言うまでもないだろう。まだ高校3年生だった2023年7月に天皇杯のセレッソ大阪戦でトップチームデビューを果たすと、あっという間にレギュラーの座を確保。実質のプロ1年目となる昨シーズンも副キャプテンに指名され、主力としてJ2昇格のメインキャストに。今季もJ1昇格争いを繰り広げるチームを牽引し、今やA代表入りを期待する声も少なくない。
中学時代から年代別代表に名を連ね続けてきたが、年齢的な巡り合わせもあって、今回のU-20ワールドカップは初めてたどり着いた、同年代の怪物たちと対峙する舞台。自身の現在地を確認するには、最高のステージだ。
その堂々とした立ち姿は、欧州や南米列強のストライカーたちと並んでも、決して見劣りしない。日本の未来を担い得る、大宮産のセンターバックの世界初挑戦から、目が離せない。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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