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「待ち焦がれた世界との邂逅。「泣き虫プレーメイカー」が迎える飛翔の時【U-20日本代表・大関友翔(川崎フロンターレ)】」
土屋雅史コラム by 土屋 雅史川崎フロンターレU-18時代の大関友翔
「中学生の頃の自分は世代別代表なんて口に出せるようなプレーヤーではなかったので、他人事でしたね」。ほんの数年前までの自分をそう振り返るのは、『FIFA U-20ワールドカップチリ2025』に臨むU-20日本代表の背番号10を託されている大関友翔だ。
初めて年代別代表にピックアップされたのは、FC多摩ジュニアユースから川崎フロンターレU-18へと進んだ高校1年生の冬。そこからはもともと秘めていたポテンシャルが少しずつ開花し、コンスタントに日の丸の付いたウエアへ袖を通すようになる。
そんな大関が一気に飛躍を遂げたのは、川崎U-18にとっても、自身にとっても、初の高円宮杯プレミアリーグ挑戦となった2022年シーズン。10番を背負ったプレーメイカーは、高校年代最高峰の舞台で持ち前の高い技術と創造性を存分に発揮し、チームの初昇格初優勝に大きく貢献してみせる。
個人的に忘れられない試合がある。EAST王者として挑んだ2022年のプレミアリーグファイナル。WEST王者のサガン鳥栖U-18と国立競技場で対峙した一戦は、激闘を繰り広げたものの、2-3で惜敗。試合が終わってしばらく経っても、大関は涙が止まらなかった。
「プロにさせてもらったのはヤスさん(長橋康弘監督・当時)のおかげだったので、『ヤスさんを日本一にしたかったな』って。サポーターもメッチャ来てくれていて、ホーム感も作ってくれたので、そこへの申し訳なさもありましたね。基本的に僕は泣き虫なので、泣くことは多いんですよ(笑)」。このアカデミーラストゲームも含めて、U-18で過ごした3年間の思い出が、今の大関を形作る大事な要素であることは言うまでもない。
昨シーズンは福島ユナイテッドFCで研鑽を積み、プロ3年目となる今季は復帰したフロンターレで存在感を打ち出している。とりわけAFCチャンピオンズリーグエリート準決勝では、チームを勝利に導くゴールを奪い、アジアの強豪相手にもその才覚を披露すると、7月にはEAFF E-1選手権を戦うA代表にも招集され、貴重な経験を積み重ねてきた。
今回のU-20ワールドカップは、誰もが認める日本のナンバー10としてチャレンジする、自身にとっても初めての世界大会。待ち焦がれてきた晴れ舞台に、腕が鳴らないはずがない。
“泣き虫プレーメイカー”がたゆまぬ努力を重ねて、たどり着いた世界デビューの時。目の肥えた南米の観衆を驚かせるだけのスキルと、さらなるステップアップを明確に見据えた野心を携えながら、青いユニフォームを纏った大関友翔の躍動が、今からとにかく楽しみだ。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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