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決着をつけろ!通算成績6勝3分け6敗!柏と鹿島のバトル・オブ・セプテンバー 柏レイソルU-18×鹿島アントラーズユースマッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第14節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史柏レイソルU-18・川本大善
昨シーズンは最終節まで優勝争いを繰り広げた柏レイソルU-18だが、今季はやや思うような結果を残せていない。前半戦終了時点での順位は8位。9節から3連敗を喫して夏の中断期間に突入すると、後半戦の初戦でも前橋育英高校に競り負け、連敗が4に伸びてしまう。
ただ、「何かチームを大きく変えないといけない」(藤田優人監督)状態で、前の試合からスタメンを6人入れ替えて臨んだ浦和レッズユース戦は、アウェイで4-0の快勝。指揮官も「ただの1勝じゃないなとはものすごく感じています」と口にするなど、浮上のきっかけを掴んだだけに、今節がとにかく重要なキーゲームになることは間違いない。
10節で流通経済大柏高校とのビッグマッチを3-2で制すと、以降は堂々と首位をキープ。現在はリーグ戦6連勝中、悲願の日本一を勝ち獲ったクラブユース選手権を含めれば、公式戦では怒涛の12連勝中と、鹿島アントラーズユースの勢いは止まる気配がない。
前節の前橋育英戦も先制を許したものの、前半のうちに平島大悟のゴールで追い付き、後半にも朝比奈叶和、吉田湊海が得点を重ね、終わってみれば3-1で逆転勝利。今シーズンのプレミアリーグ全体を眺めても、最も安定して力を発揮しているチームだと言っていいだろう。
ホームで必勝を期す今節の柏U-18のキーマンには、背番号2のボランチ・川本大善を推したい。アカデミーの先輩に当たる、杉井颯(鹿児島ユナイテッドFC)や福島大雅(明治大)の系譜を継ぐ、闘争心にあふれたファイタータイプ。「チームに少し緩い雰囲気が流れている時は、自分が見せないとなと思いますし、会場の見ている人たちを全員引き込んでいくのが、自分の役割や使命だと思っています」と言い切るあたりに、頼もしいパーソナリティが滲む。
チームを率いる藤田監督も「川本の姿勢はアカデミーの後輩たちに良い影響を与えると思いますし、ゼロか100か決着を付けたい子で(笑)、いろいろな基準を上げてくれる子なので、ウチには欠かせないですね」と言及。大きな信頼を寄せていることが窺える。
首位と対峙する一戦に向けての意気込みを尋ねても、気合の入った言葉が返ってくる。「中学生ぐらいから鹿島アントラーズとやる時は、言い方は悪いですけどケンカみたいな感じになるので、自分も凄く燃えますし、代表で一緒にやっていた選手もいっぱいいるので、絶対に負けたくないと思っています」。好プレーを見せた時には雄叫びを上げる、川本の一挙手一投足から目が離せない。
中学校3年生にして、プレミアデビュー戦でゴールを決めたのはもう2年前。今シーズンは柏U-18の10番を背負って、エースの座を託されている加茂結斗は、「結果ですべてが変わる世界だと思っているので、そこへのこだわりは誰より強いと思っています」と自身の結果に対する意欲を隠さない。
前節の浦和ユース戦では、好シュートで3点目となるオウンゴールを誘発したが、それだけで満足するはずもない。その1分後には自らドリブルで持ち込むと、すぐ横には澤井烈士が並走していたが、「パスを出したらほぼ100パーセント得点かなと思いながらも、さすがにオウンゴールで終われないなと」自らシュートまで持ち込み、今度は正真正銘ゴールをゲット。「勝負の世界はその1点が自分になるか、違う選手になるかで評価も変わってくると思うので、ちょっと自分を出して、決めに行きました」と胸を張った。
鹿島ユースの吉田は、加茂にとってU-17日本代表のチームメイトでもあり、強く意識する存在。「アイツがいるからサッカーを頑張れるというか、お互い高め合えますし、仲もメッチャいいので、アイツには絶対に負けたくないですね」と、友人であり、ライバルでもある相手エースへの想いを明かした背番号10の躍動は、ホームチームが勝利を引き寄せるための必要条件だ。
一方の鹿島ユースの注目選手には、加茂も対抗心を燃やす吉田湊海を挙げないわけにはいかないだろう。昨シーズンのプレミアEAST得点王は、今季もここまで7得点を記録。ゴールを奪った試合は6戦全勝と、自身の結果をきっちりとチームの結果に結び付けてきた。
今年の4月29日に開催された横浜FC戦で、既にJ1デビューも経験。「1分ちょっとぐらいしかピッチに立つことはできなかったんですけど、自分は『もうこの中でずっとやりたいな』と思いましたし、『ここで活躍できる選手になりたいな』と思いました」と語りながら、「試合に出られたことはいいんですけど、結果も大事だと思うので、次は(徳田)誉のゴール記録を抜かしていきたいというのはあります」とも。昨シーズンに徳田誉が刻んだ“17歳6か月27日”というクラブJ1最年少得点記録を更新することは、明確に見据えるべき目標だ。
ゴールを決めた後のガッツポーズや、叫びながらパフォーマンスを披露する姿は、実にエモーショナルであり、圧倒的なスター性も漂う。「去年は『10点獲る』と言って10点獲ったので、今年は15点行きます!」ときっぱり。この試合でも吉田の得点感覚と、ゴールセレブレーションには、大いに注目したい。
両チームは今季の前半戦までプレミアで15回対戦しており、結果は6勝3分け6敗とまったくのイーブン。今こそ決着をつける時。90分間が終わった時に、歓喜を享受するのは柏U-18か、鹿島ユースか。ゼロワットパワーフィールド柏で火花を散らすバトル・オブ・セプテンバー、激闘必至。
鹿島アントラーズユース・吉田湊海
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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