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今季4度目の対峙!首都の王は青赤か緑か!2025東京ダービー最終章! FC東京U-18×東京ヴェルディユースマッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第13節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史FC東京U-18・小島颯来
首都に居を置くライバル同士として知られる、FC東京と東京ヴェルディのユースチームが激突する“東京ダービー”。公式戦では今季4度目の対峙となる一戦が、今回のプレビューマッチだ。
前半戦終了時点で5勝4分け2敗と白星先行。首位の鹿島アントラーズユースとは5ポイント差の5位で後半戦へと折り返したFC東京U-18。とりわけホームでは3勝2分けと無敗を誇っており、8年ぶりのEAST制覇は極めて現実的な目標だと言っていいだろう。
夏の中断期間を経て、再開初戦となった前節のアウェイ・青森山田高校戦は、14分に松野泰知、小島颯来、菅原悠太の連携で先制点を奪うと、22分には尾谷ディヴァインチネドゥがPKを沈め、2点を先行。前半の内に1点を返されたものの、67分には北原槙がゴラッソを叩き込み、ファイナルスコアは3-2。粘り強く勝ち切って、敵地から勝点3を持ち帰ることに成功した。
今シーズンは11年ぶりにプレミアの舞台へと帰還。開幕から3試合は白星に恵まれなかったが、以降はコンスタントに勝ち点を積み重ね、前半戦は堂々の3位フィニッシュ。現在は6試合負けなしと、好調をキープしている東京ヴェルディユースが、リーグを盛り上げている。
川崎フロンターレU-18をホームに迎えた、後半戦一発目となる前節は、得点ランキングの首位に立つエースの仲山獅恩が、9分と20分に連続ゴール。その後は1失点を喫しながら、41分に舛舘環汰がチーム3点目をマークし、再び点差を2点に広げる。だが、退場者を出した後半に2失点を献上し、結果は3-3のドロー。好ゲームを演じるも、勝点1の獲得にとどまった。
FC東京U-18を最前線で牽引するのが、191センチの体躯も頼もしい尾谷ディヴァインチネドゥだ。現在はチームトップの6ゴールを記録。毎週火曜日に行われるという走力やフィジカルを鍛える練習に励んだことで、「今年は90分走り切れるようになったり、後半のアディショナルタイムでも点を獲れるようになっているところが、去年とは全然違うところかなと思います」と確かな成長を感じているという。
12節までで残した『前期で5ゴール、後期で1ゴール』は、去年のシーズン通算とまったく同じ数字。「去年の後期は全然点が獲れなかったですけど、今年はもうこの時期で並びましたし、目標は20点なので、去年を大幅に上回るためにも、もっと獲らないといけないなと思います」と意気込むストライカーが、今節でまずはシーズン“7点目”を決められるかどうかに大いに注目したい。
2025年はリーグ戦全試合にスタメン出場中。FC東京U-18の右サイドバックを任されている小島颯来の成長が止まらない。躍動が続く理由を尋ねると、「去年はケガが多かった中で、今シーズンはケガがゼロというところと、自分に与えられた役割やタスクを、与えられたもの以上にこなすという気持ちでやっているので、この出場時間や試合数になっていると思います」とのこと。上下動を繰り返せる抜群の運動量が際立つうえに、前節もアシストを記録したように、数字も徐々に残し始めている。
チームの試合を見ていると、ベンチから『さっちゃん!』と小島への指示が聞こえるが、この声の主は佐藤由紀彦監督。「ユキさんからしか『さっちゃん』とは呼ばれないですね。チームの監督にそう呼ばれるのは初めてで、最初は自分でもビックリしていましたけど、今は嬉しいです(笑)」と本人も気に入っている様子。『さっちゃん』の攻守にわたるハイパフォーマンスが、ダービーでの勝利を力強く引き寄せる。
個性的なタレントが居並ぶ東京Vユースの中でも、3バックの左センターバックを託されている中村宗士朗は、一際異彩を放っている。好きな選手にネイマールを挙げるだけあって、隙さえあれば最終ラインからドリブルを敢行。「中1まではフォワードかサイドハーフで、ドリブルとか足元の練習しかしてこなかったので、試合中に『あ、ドリブル行ける!』ってなっちゃいますね」と自身で笑うが、彼のドライブが攻撃のアクセントになっていることは間違いない。
前述したように、もともとは攻撃的なポジションを担っていた中村を、中学2年時にセンターバックへコンバートしたのは、当時はジュニアユースの監督を務めており、今季からユースへと“異動”してきた小笠原資暁監督。ここまでリーグ戦12試合にフルタイム出場を果たすなど、指揮官からの信頼も厚い“ドリブル系センターバック”のスイッチが入る瞬間は、今回のゲームでも絶対に見逃せない。
東京Vユースのアタックを加速させる2年生アタッカーの広瀬怜音も、“ヴェルディらしさ”を小柄な身体に詰め込んだ好タレント。「攻撃を活性化させるのが自分の武器で、相手のいないスペースに入って、フリーな状況でボールを受けることとか、裏への抜け出しが特徴だと思っています」と自己分析する能力を存分に生かし、シャドーの定位置を確実に掴みつつある。
参考にしている選手を問うと、「中学の時から(仲山)獅恩くんです」と即答。さらに「いつもお手本になるようなプレーとか、驚くようなプレーをしてくれて、自分にはない技術には感動させられますし、見ていて『凄いな』という言葉しか出なくて、自分もそれに少しでも近づけるように頑張っていきたいです」と言葉は続く。そんな憧れの仲山とも良好な連携を築いている広瀬が、どれだけゴール前に顔を出せるかは、そのままチームの勝敗に直結するはずだ。
なお、両者は今シーズンの公式戦で3回にわたって対戦。1回目は2月の東京都クラブユースU-17選手権で、FC東京U-18が4-2で勝利。2回目は4月のプレミア前半戦で、この時は2-2のドロー決着。3回目は7月に行われたクラブユース選手権準々決勝で、ここもFC東京U-18が2-0で競り勝っている。
今回は双方の3年生にとって、アカデミーの一員として戦う最後のダービーであり、並々ならぬ気合が入っていることは容易に想像できる。
「今年はもう3回も東京ダービーをやっていて、2勝1分けで来ているので、最後もホームですし、しっかり勝ち切りたいです。今シーズンはまだ1試合で複数得点を獲れていないので、そこを目指しながら、貪欲にゴールを狙っていければなと思います」(尾谷)「ジュニアユースのころからすべてを知っている相手だと思うので、理屈じゃないところもありますし、一番勝ちたいゲームでもあるので、気合は入っています。自分の特徴を出して点に絡めれば嬉しいですし、まず勝利が一番の目標なので、勝つことにすべてを捧げたいと思います」(小島)
「プレミアも前期はギリギリのところで引き分けて、クラブユースでも対戦して負けていて、今季はまだ勝てていないので、勝ちに行くのはもちろんですし、これがアカデミーでの最後のダービーなので、アウェイで一旗揚げて勝って帰りたいと思います」(中村)「クラブユースでもFC東京に負けてしまって、最近はFC東京に勝てていないので、3年生の想いもチームの想いも背負って、自分が少しでも勝利の役に立てるように、しっかり準備して頑張りたいと思っています」(広瀬)
東京Vユースのキャプテンを任されている仲山は、前節の試合後に“アカデミーラストダービー”に向けて、「気持ちは今からメチャメチャ入っていますし、もう2,3試合勝てていないので、最後は圧倒して勝って、『東京はオレらだぞ』というところを見せたいですね」と言い切った。それをFC東京U-18の小島に伝えると、こちらも「いや、東京は青赤ですよ!」ときっぱり。今季4度目の『東京ダービー』は激闘必至。首都の王になるのは青赤か、緑か。キックオフの瞬間が今からとにかく楽しみだ。
東京ヴェルディユース・中村宗士朗
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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