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逆襲の太陽王子、再始動!真夏の蹉跌から立ち上がるタイガー軍団とのキーゲームに挑む!柏レイソルU-18×前橋育英高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第12節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史柏レイソルU-18・ノグチピント天飛
前半戦は4勝1分け6敗と、黒星先行の8位。第9節のFC東京U-18戦、第10節の東京ヴェルディユース戦、第11節の流通経済大柏高校戦と3連敗を喫し、やや苦しい状態で中断期間に入った柏レイソルU-18は、仕切り直しとなる後半戦での巻き返しを窺っている。
山口を舞台に戦った夏のクラブユース選手権のグループステージでは、ブラウブリッツ秋田U-18に2-0、セレッソ大阪U-18に3-0と快勝で2連勝。最終節では名古屋グランパスU-18に0-1で競り負け、準々決勝進出とはならなかったものの、一定以上のパフォーマンスを披露した3試合を経て、再始動となる今節へと向かう。
4勝1敗と圧倒的な数字を残しているホームゲームでの強さも後ろ盾に、前半戦を終えた段階で首位と4ポイント差の4位と、十分にタイトルを狙える位置に付けている前橋育英高校。昨年からレギュラーとしてシビアな実戦経験を積み上げてきた選手も多く、チーム力もより熟成されてきている。
だが、冬夏連覇を真剣に目指したインターハイでは、2回戦で高知中央高校に後半アディショナルタイムでの連続失点を食らい、まさかの逆転負け。高体連のチームとの試合では、昨年9月のプレミア・昌平高校戦以来となる、実に10か月ぶりの黒星を突き付けられたことで、改めて勝負の後半戦へ気を引き締めて挑むことになる。
柏U-18の注目選手として挙げたいのは、リーグ前半戦のゴールマウスを託されていたノグチピント天飛だ。ここ2年間はハーパー・タイガ・オリバー、栗栖汰志(藤枝MYFC)の牙城を崩せず、プレミアでの出場はなかったが、「自分の現在地を知った中で、ちゃんとゼロから本当の技術を身につけていくことを教えてくれたのが、堀江さんでした」と堀江健太GKコーチの元で地道にトレーニングを重ねたことで、今季はレギュラーの座を力強く手繰り寄せた。
なお、「お父さんのおかげで自分のことを知ってくれる人も結構いるので、感謝しています」と本人も口にするように、父親のノグチピント・エリキソンさんは2004年から3シーズンにわたって、柏のトップチームでプレーした経験を持ち、ポジションも同じGK。“息子”も年代別代表に選ばれるなど将来を嘱望されており、今後は親子Jリーガーの誕生にも期待が懸かる。
リーグ前半戦の最終節と、クラブユース選手権の3試合では、2年生の金子遙真がGKのスタメンとして出場しており、ノグチピントはベンチから試合を見守ることに。リスタートとなる今節で再びポジションを奪い返し、躍動できるか。アカデミーラストイヤーのリーグ後半戦。背番号1の3年生守護神の意地にも要注目だ。
さらに柏U-18の浮沈を握る存在として、廣岡瑛太を推す。1年時からプレミアの出場機会を掴み、昨季も前半戦は主力として躍動していたものの、夏のクラブユース選手権でヒザを負傷し、後半戦は丸々棒に振ることに。だが、「ネガティブになっても良くないというのはわかっていたので、何事もポジティブにということはずっと意識していました」というメンタルで、筋トレや体幹トレーニングに取り組んだことで、確実なパワーアップに成功した。
もともとサッカーIQの高さと正確なテクニックを有しており、今季の開幕戦では左サイドバックで登場。以降もダイヤモンド型の中盤アンカー、ドイスボランチの一角に加え、3バックの左CBも務めるなど、ポリバレントさも証明しており、チームの戦い方の幅を広げている。
ただ、廣岡もノグチピント同様に、クラブユース選手権では3試合ともにベンチスタートで、敗退が決まった名古屋U-18戦は出場もなし。去年の長期離脱を経て、『楽しく、ポジティブに』サッカーをすることの意味をより理解してきただけに、そのマインドは心の中央に据えつつも、この人がスタメン奪取への覚悟をトレーニングから示すことが、グループのさらなる成長へ繋がることに疑いの余地はない。
一方の前橋育英からは、高い技術で攻撃にアクセントを加える平林尊琉をご紹介しておきたい。10番を任された昨シーズンはプレミア全試合でスタメンに指名され、今季の前半戦も全試合に先発で登場。現在は1年時の第20節・青森山田高校戦から、圧巻のプレミア36試合連続スタメン出場を誇っている、絶対的な主力選手だ。
とはいえ、日本一まで駆け上がった昨年度の高校選手権では、個人として納得の行くパフォーマンスを繰り出せず、「自分はメッチャ緊張していて、本当に何もできなかったんですけど、みんな自分の良いところをあの舞台で出していて、みんなの方が上に行ったかなという気がしました」と悔しい感情が自分の中で湧き上がっていたという。
一方で最高学年となった今シーズンは、ある意味で肩の力が抜けている。「コツコツと、淡々とやりたいです。一気に成長はしないですし、1年は長いので、本当にゆっくりという感じで、1つ1つやっていくことが今年の目標です」。再び見つめ直した“前橋育英の10番”という責任と役割を自身の中に刻み込み、コツコツと、淡々と、勝利に貢献するプレーを積み重ねていくだけだ。
両チームのプレミアにおける対戦成績は、柏U-18から見て2勝2分け3敗とほとんど五分。また、前橋育英の大岡航未は昨季の2試合、今季の前半戦と、対柏U-18戦では3試合続けてゴールを叩き出しているだけに、この試合でもキーマンの1人になってくるのではないだろうか。
後半戦の開幕戦であり、良い形でリスタートを切るうえでも、とにかく大事な一戦。ともに攻撃的なマインドを打ち出しているアグレッシブな両雄が、勝利だけを目指してバチバチにやり合う90分間が、今から楽しみだ。
前橋育英高校・平林尊琉
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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