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後半戦は黒星先行。不調を脱したい両雄が8勝目を狙う生田対決! 川崎フロンターレU-18×流通経済大柏高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第16節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史川崎フロンターレU-18を支えるムードメーカー、齊名優太
一昨年のプレミアリーグEAST王者。川崎フロンターレU-18が思うように勝点を伸ばせていない。開幕3連勝と最高のスタートを切ったものの、以降は勝ち負けがハッキリとしたゲームを繰り返す中、夏の中断を挟んだとはいえ、11節からはまさかの3連敗を喫してしまう。
現在は最下位と苦しい戦いを強いられている市立船橋と対峙した前節。長橋康弘監督は井澤晴己、齊名優太、平内一聖、ステンパールカ大翔と、プレミア初スタメンとなる4人の選手をピッチに送り出す大胆な采配を振るう。試合は67分に八田秀斗のゴールで先制するも、最終盤の90+2分に痛恨の失点を許して、1-1のドロー決着。連敗こそストップさせたが、勝点2を失う格好となった。
流通経済大柏高校ももどかしい時間が続いている。前半戦は開幕から9戦負けなしと着実に勝点を積み重ねていった中で、インターハイ予選決勝で永遠のライバル・市立船橋に競り負け、全国切符を逃したあたりから旗色が変わる。
こちらも11節からは3連敗を含む4戦未勝利。14節では鹿島アントラーズユースに4-3と打ち勝って、実に5試合ぶりの白星を掴んだものの、前橋育英高校と対戦した前節は、1点をリードされた後半にシステム変更で攻勢を強めるも、終わってみれば0-2の敗戦。内容に結果が伴っていないのが現状だ。
ホームゲームを戦う今節の川崎U-18のキーマンには、チームに欠かせない選手へと成長している楠田遥希を挙げたい。前半戦の立ち位置はセンターバックの土屋櫂大が欠場した試合で、そのポジションを穴埋めする“代役”的なもの。本人も「櫂大くんとか(山中)大輝が戻ってきたら、センターバックは自分じゃなくてもいいんじゃないかなと思っています」と話していたが、そんな言葉と裏腹に存在感は日に日に増していく。
とりわけ飛躍を遂げたのは夏のクラブユース選手権。土屋がセンターバックとして戦列復帰したにも関わらず、楠田は本職のボランチで定位置を確保。攻守に効果的なプレーを披露し続け、全国準優勝に大きく貢献。チームメイトと長橋監督の確かな信頼を勝ち獲った。
「ボランチだったら守田(英正)選手が好きで、あの落ち着いたプレーはよく見ています」という2年生ボランチは、土屋が欠場した前節もセンターバックに入って、ディフェンスラインに安定感をもたらしている。リーグ戦でも6節以降は全試合にスタメンフル出場。2つのポジションを高水準でこなし、押しも押されもせぬ主力へと駆け上がった楠田の出来が、今節の勝敗を左右することは間違いない。
苦しむチームの雰囲気を劇的に変え得るムードメーカー、齊名優太の奮闘にも大いに期待したい。前節の市立船橋戦ではプレミア初のスタメンに指名され、ボランチの位置で全体のバランスを注視しながら、70分に交代するまで自らの役割をまっとうしてみせた。
この人のいるところには、常に笑顔が付いて回る。試合前の集合写真時に掛け声をかけるのは、川崎U-18の恒例行事。ベンチからも、アップエリアからも、齊名が大声を出して盛り上げることで、グループの空気が明るくなっていくシーンも幾度となく目撃してきた。
U-12時代にはキャプテンとして日本一も経験した、アカデミー生え抜きの元気印。チームに結果が付いてきていない今だから、こういう選手の活躍こそが起爆剤になるはず。今まで溜めてきたエネルギーを爆発させるような齊名の躍動が、リーグ戦5試合ぶりの勝利には必要不可欠だ。
再浮上のきっかけを引き寄せたい流通経済大柏で注目したいのは、スペシャルなドリブルを搭載している亀田歩夢だ。中学時代はテクニックに定評のある選手の揃うP.S.T.C.LONDRINAジュニアユースに在籍。「敵がいてもあまり圧は感じないですし、近ければ近いほど自分の技術は出せるので、どんな敵でもビビることはないですし、ロンドリーナで磨いた足元が今も出ていると思います」と言い切る姿勢が頼もしい。
今やプレミアでも有数のドリブラーとして警戒されている中で、本人は自分の築き上げてきたスタイルに絶対的な自信を持っている。「他の選手のスタイルとは絶対に違うので、まったく一緒の選手もいないですし、真似する選手もいないですし、自分のこのスタイルを良い意味で崩さず、絶対に貫き通して、プロになれたらなと思います」。
「小さいころから遊びがサッカーみたいな感じでした。ずっとボールを触っていましたね」と口にするのも納得の、サッカー小僧感あふれるプレーには、常にワクワク感が漂っている。あとはそれを確かな結果へと繋げるだけ。流通経済大柏が誇る背番号8の突破者。ひとたびボールが入ってしまったら、亀田はそう簡単に止められない。
両チームの前回対戦は5月18日の第7節。流通経済大柏のホームで行われた一戦は、21分に柚木創、45+2分に亀田がゴールを挙げて2点を先行した流通経済大柏が、川崎U-18の反撃を恩田裕太郎の1点に抑え、2-1で勝ち切っている。ここまで7勝同士の両雄が、“8勝目”を懸けて激突する90分間。是非攻撃的なスタイルをぶつけ合う、スペクタクルなゲームを楽しみたい。
流通経済大柏高校・亀田歩夢
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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