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連勝か、初白星か!赤の誇りと青の意地の激突 第2ラウンド! 名古屋グランパスU-18×鹿児島城西高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第13節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史名古屋グランパスU-18・池間叶
前半戦の成績は6勝2分け3敗。大津高校、サンフレッチェ広島ユースに続いて、プレミアリーグWESTの3位に付けている名古屋グランパスU-18。今シーズンから指揮を執っている熱血漢・三木隆司監督に率いられているチームは、着々と進化を続けている。
夏のクラブユース選手権でも愛媛FC U-18、東京ヴェルディユース、湘南ベルマーレU-18と難敵ばかりが同居したグループステージを首位で突破すると、準々決勝ではリーグ戦で苦杯を嘗めた広島ユースに2-1で競り勝ってリベンジ達成。最後は準決勝でガンバ大阪ユースに敗れたものの、その実力を全国の舞台でも示してみせた。
一方、プレミアリーグ初昇格のシーズンを戦う鹿児島城西高校は苦しんでいる。ここまでの11試合では2分け9敗。「手応えは掴んでいるんですけど、勝ち星を1つ挙げられればもっと自信が付くのになと思っています」と新田祐輔監督も話したように、まだ白星に恵まれていない。
とはいえ、残留圏内となる10位のファジアーノ岡山U-18とは、まだ8ポイント差ということを考えれば、後半戦の巻き返し次第で十分に挽回は可能。この夏に積み上げてきたであろう厳しいトレーニングの成果として、まずは初勝利を目指しつつ、降格圏脱出に向けてアクセルを踏み込んでいく。
名古屋U-18でフィーチャーしたいのは、8月下旬に行われたSBSカップでU-18日本代表に招集を受けた左利きのサイドプレーヤー、池間叶だ。今季のリーグ戦では全11試合に出場して、左ウイングバックの位置で確たる存在感を放っており、本人は「ビックリの方が大きかったですね」という年代別代表初選出も、傍から見れば納得のパフォーマンスを続けている。
同年代の実力者とともに過ごした代表活動には大いに刺激を受けた様子。「初めて選ばれて嬉しい気持ちはあったんですけど、もっと貪欲に自分を成長させていかないと今後も選ばれないですし、チームでももっと存在感を出して、人としてもピッチの中のプレーヤーとしても成長していきたいと思います」。今やプレミアでも屈指の左ウイングバックに駆け上がりつつある池間の、クロスを含めた攻撃へと積極的に関わるプレーには大いに注目したい。
鹿児島城西高校をキャプテンとして束ねるのは、守護神を託されているゴールキーパーの藤吉純誠だ。「声は自分の持ち味です」と言い切るように、とにかく1試合中途切れないコーチングとチームメイトを鼓舞し続ける声は圧巻。それでも本人は「チームを盛り上げるだけではなくて、もっと具体的にコーチングして、もっと失点を減らさないといけないので、まだまだ全然ですね」と謙虚な姿勢を崩さない。
173センチと上背はそこまでないが、ジャンプ力やシュートストップも含めて躍動感のあるプレースタイルも魅力的。なお、参考にしているのは鳥栖のパク・イルギュとのこと。「あの選手は背後のケアもしますし、勝利に対しても貪欲なので、そういうところをもっと真似していきたいなと思っています」と同じ九州のJクラブで活躍を続ける名手もお手本に、勝利を引き寄せるための努力を重ねている。
ディフェンスラインで奮闘を続けるレフティ、柳真生も印象的なプレーを披露している。もともとはボランチが主戦場だったが、リーグ戦では一貫して左サイドバックで登場。「左で持った時に、(中村)玲音との関係性でクロスも上げられますし、対角のフィードも蹴れるので、そういうところは武器なのかなと思います」と本人も語った通り、正確な左足で攻撃の起点を創り出している。
もう1つの武器として携えているロングスローは、今年に入って投げ始めた代物だ。「ロングスローはそこまで投げていなかったんですけど、今年の春の遠征で『1回ロングスローを投げてみろ』みたいになったら結構飛んだので、そこから投げています」。鹿児島城西のセットプレー時には、キッカーもスローワーも務める柳の“左足”と“両手”から目が離せない。
前述したように初めてのプレミアを戦っている鹿児島城西は、結果こそなかなか付いてきていないものの、このリーグで経験を重ねることの重要性を指揮官は痛感しているようだ。
「生徒たちはメチャクチャ楽しそうですよ。やっぱり日常のトレーニングからのパススピードも上がりましたし、倒れてもすぐ立ち上がることも当たり前のようにできるようになってきますし、百聞は一見に如かずどころじゃないですよね。それ以上のものがあります。毎日のバチバチ感は自分も練習していて楽しいです」(新田監督)
また、周囲に与える影響の大きさも語り落とせないという。「ホーム戦の時はもう小学校のチーム、中学校のチーム、地域にビラを配っているんです。そうするとおじいちゃんおばあちゃんも応援に来てくれるんですよ。それこそ職員朝礼でも、“ヴィッセル”というとピンと来ないかもしれないので、『明日“楽天”が運営しているチームが来ます』と(笑)。そういう一流企業が運営しているチームと、我々は戦っているんだという、そんなところにも楽しみがいろいろあるので、そういうことをいろいろな人に伝えながら盛り上げまくっています」(新田監督)。今節の“トヨタ”との一戦もビッグマッチであることは間違いない。
5年ぶりのWEST優勝を狙う名古屋U-18にとっても、リーグ戦初勝利を渇望する鹿児島城西にとっても、勝ち点3のみを奪いに行く後半戦のファーストゲーム。プレミアではかなり新鮮な対戦カードでもある今回の90分間も、両チームの誇りと意地のぶつかり合いを存分に楽しみたい。
鹿児島城西高校・藤吉純誠
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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