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サッカー フットサル コラム 2024年7月5日

星に日本一の願いを!関東の実力者が集う七夕決戦!昌平高校×FC東京U-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第11節】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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昌平高校・岩谷勇仁

昇格2年目となった昌平高校が攻撃的なサッカーで、今シーズンのプレミアリーグEASTも賑わせている。ここまで挙げた20得点はリーグトップの数字。前橋育英高校に4-2、川崎フロンターレU-18に3-1と打ち勝つゲームもあれば、青森山田高校との一戦でも2-1と接戦を制するなど、現状では4勝3分け3敗と白星が先行している。

だが、前節は無敗を続けている流通経済大柏高校相手に、悔しい敗戦を突き付けられる。前半のうちに先制されながら、直後に岩谷勇仁のゴールで追い付いたが、後半に2失点を喫して、ファイナルスコアは1-3。2試合未勝利で今節を迎えることになった。

対するFC東京U-18は年代別代表に選出されるようなタレントを多く擁している中、10試合を終えた段階でまだ連勝が一度もなく、3勝3分け4敗の8位と好調の波に乗るまでには至っていない。

大宮アルディージャU18とホームで対峙した前節は、再三に渡って創出した決定機を相手GKの攻守に阻まれ続けたが、終盤に菅原悠太が相手の隙を突いて決勝ゴールを叩き出し、2-1で競り勝って3試合ぶりの白星をゲット。今季初の連勝を狙って、前半戦ラストゲームの今節に挑むことになる。

好選手が居並ぶ昌平でフィーチャーしたいのは、左サイドバックとして全10試合にスタメン出場している上原悠都だ。入学直後は右サイドバックでレギュラーを掴むと、インターハイで全国4強も経験。個人としてもU-16日本代表にも選出されるなど、一躍注目を浴びる存在となる。

だが、2年生に進級した昨季はケガが長引いたことで、本格的に復帰したのはシーズン終盤に差し掛かってから。「プレミア1年目をピッチで過ごせなかったことで、(大谷)湊斗とか(鄭)志錫とかと差ができちゃったなと思っているので、攻撃面も守備面ももっと高めて、その差を埋めていかないといけないなと思っています」と今季に懸ける想いを口にしている。

その実力や経験値を考えても、高体連有数のサイドバックであることは間違いない。「今年は自分たちの代で、去年とも一昨年とも違う感覚なので、ディフェンスを引っ張っていきたいですし、この2年で見つかった自分の課題とか、もっと伸ばすべき長所をしっかりと突き詰めて、三冠を狙っていきたいと思います」。帰ってきた上原のさらなる躍動が、昌平の上位進出には必要不可欠だ。

もう1人のキーマンは、左ウイングの位置で印象的なプレーを見せている岩谷勇仁を挙げたい。昨季までは右サイドでのプレーが多かったが、今年3月のJヴィレッジカップから左サイドで起用されると、もともと持っていた突破力が開花。縦にも行けて、カットインもできるドリブルは、プレミアのステージでも十分に通用している。

2年生までは一度もAチームでプレーしたことがなかっただけに、今の状況には本人も驚きつつ、試合への渇望感を隠さない。「この高校最後の年でようやくトップに入れて、だんだん試合にも出られるようになったので、もう前の立場には戻りたくないんです。もともと大勢の人の前でサッカーをするのが夢でしたし、テレビでやるような試合にも出て、『凄いね』とか言われたいので(笑)、もう頑張り切るしかないですね」。

実は毎試合自分の中で掲げている目標があるという。「試合の時には『絶対に相手を10回は抜きたい』と自分の中で思っていて、それはまだプレミアでも全然できていないので、今後も試合に出られたら達成していきたいです」。気持ちいいぐらいにドリブルで仕掛ける昌平の新・主役候補。左サイドでボールを持った岩谷には、是非注目してほしい。

FC東京U-18では、2年生レフティの菅原悠太が面白い。プレシーズンから右サイドハーフで好調をキープしていたものの、開幕前のケガで戦線離脱すると、その間に同じ2年生の尾谷ディヴァインチネドゥが、自身の抜けたポジションでブレイク。「仲間とはいえライバルなので、ちょっと悔しかったですけど、復帰したら自分らしくやっていきたいなと思っていました」と復帰へのモチベーションを高めていく。

第6節の横浜FCユース戦で今季のプレミア初出場を果たすと、以降はスタメン起用が続いていた中で、前節は久々にベンチスタートとなったが、ちょうどそのことがわかったタイミングで、アカデミーの後輩の激励に訪れた安部柊斗から小さくない刺激を受けたという。「安部さんは『反骨心が大事だ』と。『試合に負けても、監督から何かを言われても、下を向くんじゃなくて、見返してやるという気持ちが大事だ』と教えてもらいました」。

迎えた前節の大宮U18戦。「『そろそろ自分がチームを勝たせないとな』と思っていたので、後半から出たら点を獲りたかった」という菅原は後半開始からピッチへ解き放たれると、83分に相手GKのファンブルを見逃さず、泥臭くボールをネットに押し込む。自身にとってのプレミア初ゴールは、チームに勝利をもたらす貴重な1点になったが、「嬉しかったですけど、やっぱり自分の形で点を獲りたいので、この1点だけではなくて、もっともっと獲っていきたいなと思います」ときっぱり。右サイドで違いを生み出せるこのレフティから、ブレイクの予感が漂う。

ベスト4まで勝ち上がった一昨年以来、2年ぶりの出場となるインターハイが控える昌平も、昨年度はファイナルでPK戦の末に敗れたものの、準優勝に輝いたクラブユース選手権に臨むFC東京U-18も、この夏の日本一を明確に狙っている。前半戦のラストゲームは、その目標達成へ弾みを付ける意味でも、両者にとって負けたくない90分間。実力者が集う7月7日の七夕決戦、激闘必至。

FC東京U-18・菅原悠太

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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