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無敗継続か、初勝利か。2週連続の開催は千葉頂上決戦! 流通経済大柏高校×市立船橋高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第9節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史流通経済大柏高校のキャプテン・奈須琉世
今シーズンの流通経済大柏高校は、とにかく周囲のチームからの評判が高い。実際にプレミアリーグでも7試合を終えた段階で、5勝2分けと無敗を継続しながら首位に立っており、現在も4連勝中。まさに絶好調と言っていいだろう。
一方の市立船橋高校は苦しんでいる。開幕から8試合を消化して2分け6敗と、まだ白星を掴めていない。とりわけ深刻なのは得点力不足。リーグ戦で記録された得点は2節の鹿島アントラーズユース戦で金子竜也が挙げた1点のみ。前節まで6試合連続ノーゴールで、連敗も4まで伸びている。
5月から始まったインターハイ予選でも、両者の違いはトーナメントの勝ち上がりへ顕著に現れる。流通経済大柏は初戦となった4回戦で暁星国際高校を3-0、準々決勝で八千代高校を2-0で退けると、準決勝でも難敵の日体大柏高校に2-0と快勝を収め、無失点のままで堂々と決勝へ駒を進める。
対照的に市立船橋は4回戦こそ翔凛高校を2-0と下したものの、準々決勝の中央学院高校戦は終盤まで1点をリードされながら、77分からの2ゴールで劇的な逆転勝利。準決勝の東京学館高校戦も延長にもつれ込む接戦を何とか制して、ファイナルへと進出してきた。
だが、やはりサッカーはわからないものだ。両雄が激突した決勝戦。前半は流通経済大柏が攻勢を強めるも、市立船橋の守護神を任されているギマラエス・ニコラスのファインセーブもあって、0-0でハーフタイムへ折り返すと、53分にはカウンターから伊丹俊元のクロスを久保原心優が決め切って、市立船橋が先制点を奪う。
追い掛ける展開を強いられた流通経済大柏も意地を見せ、60分には柚木創のCKから富樫龍暉がヘディングをゴールへ打ち込み、スコアを振り出しに引き戻したが、勝利の女神は市立船橋に微笑みかける。73分。渡部翔太のクロスを岡部タリクカナイ颯斗とギマラエス・ガブリエルが繋ぎ、最後は伊丹がプッシュ。これが決勝点となって、市立船橋が全国切符を手繰り寄せた。
それから1週間で早くも実現したリターンマッチ。ホームゲームを戦う流通経済大柏は、センターバックを務める闘将・奈須琉世に注目したい。昨シーズンのスタートは千葉県1部リーグに主戦場を置くCチーム。地道な練習で実力を伸ばし、カテゴリーを着々と上げ続け、シーズン途中からプレミアの試合でもスタメンを勝ち獲った。
ポジションもフォワードやサイドバックなどいろいろなチャレンジを繰り返した中で、今季はセンターバック起用が続いているが、本人はもちろん守備面にフォーカスしつつ、自身のゴールへの意欲も十分。攻守に力強さを発揮するキャプテンが、千葉ファイナルのリベンジを虎視眈々と狙っている。
もう1人のキーマンは、奈須とセンターバックコンビを組む富樫龍暉だ。こちらも昨シーズンはサイドバックやサイドハーフでの出場も多く、ある試合では左サイドハーフでスタメン出場しながら、前半の途中で右サイドバックへスライドしたことも。この人の存在がチームの戦い方の幅を広げていることに疑いの余地はない。
今年1月にはU-17日本高校選抜合宿にも招集され、レベルの高い環境で実力を磨いた。先週末の決勝ではヘディングで同点ゴールをゲット。昨シーズンのプレミアでも市立船橋相手に得点をマークしているだけに、相性の良さも追い風にしたいところ。リーグ最少失点を誇る流通経済大柏。そのディフェンス陣を司る奈須と富樫のハイパフォーマンスは、首位キープと無敗継続にとって必要不可欠だ。
市立船橋では左利きのストライカー、伊丹俊元を推す。プレミアでスタメンに指名されたのは開幕戦と第8節の昌平高校戦のみ。今季のリーグ戦ではここまで3試合に出場してノーゴールと、チームに歩調を合わせるかのように、なかなか結果を出し切れていなかった。
ところが、一転してインターハイ予選では主役級の活躍を披露。延長を戦った準決勝で貴重な逆転ゴールを叩き出し、勝利の主役をさらうと、決勝でも1ゴール1アシストと大暴れ。プレミアで苦しみ続けた市立船橋の千葉制覇を、自らの躍動で引き寄せた伊丹が、今度はプレミア初白星を目指すチームの中で、自身の初ゴールにも意欲を燃やす。
その時に置かれている状況がどんなものであっても、この永遠のライバルとの試合へ向かう気持ちは、いつだって特別だ。2週連続の開催となった千葉の頂上対決は激闘必至。双方にとって、絶対に負けられない90分間の結末はいかに。
市立船橋高校・伊丹俊元
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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