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サッカー フットサル コラム 2024年4月26日

激しくもフェアな“死闘”。試合の流れが一変した前半30分前後のポイント

後藤健生コラム by 後藤 健生
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ボヤニッチがPKを決めて、2試合合計で3対3の同点。そして、横浜FMは1人少ないままで残り時間を戦わなければならなくなってしまったのだ。

しかし、横浜FMのハリー・キューウェル監督は慌てて選手交代はせずに、MFの榊原恵悟を最終ライン(右サイドバック)に下げて前半を終えさせ、ハーフタイムで本職のセンターバック、エドゥアルドを入れて最終ラインを立て直した。

この判断は、欧州のトップクラブで経験を積んだキューウェル監督らしい勝負勘だった。

こうして、数的劣勢に陥った横浜FMは専守防衛。蔚山が横浜FMのゴールに対してシュートの雨を降り注ぐが、横浜FMはGKのポープ・ウィリアムの好守やDFのシュートブロックで耐え忍ぶ。蔚山のシュートミスやゴールポストに助けられた場面もあったが、それも横浜FMの選手がシュートコースに体を入れて粘り強く守備をしたことの結果だ。

前半30分までは思い描いた通りの理想的な展開で3ゴールを奪った横浜FMだったが、その後は延長戦まで含めた120分間は本来やりたいはずの攻撃サッカーを放棄して割り切って守備に徹した。

横浜FMが3点を連取した後にプレー強度を落とし、そのタイミングで蔚山はボヤニッチを投入。2試合合計で同点となって、上島が一発退場となった……。そうした様々な要素が絡み合って試合の流れはすっかり変わったのだ。

上島の退場によって横浜FMは守りに徹するしかなくなったのだが、実は蔚山にとってもあの退場の判定は不運だったのかもしれない。

もし、一発退場の判定がなく、横浜FMが11人でそのまま戦っていたら、さらに失点していた可能性が高い。横浜FMはかなり浮足立っており、蔚山はボヤニッチ投入以来、良い形で得点機会をつかんでいたからだ(もちろん、横浜FMもさらに得点することができただろうから、点の取り合いになっていたのではないか)。

だが、実際には退場者を出したおかげで横浜FCの選手たちの守備意識が急激に高まり、PK戦に持ち込むことに成功し、決勝進出の権利を手にすることになった。

両チーム選手たちの激しくもフェアな戦い(120分間戦って、両チームとも反則は1桁)。そして、偶然が織りなしたスペクタクルだった。

雨の中での120分+PK戦の死闘の末、ホームの横浜FMが3-1で勝利し、決勝進出

雨の中での120分+PK戦の死闘の末、横浜FMがホームで勝利し決勝進出を決めた

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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