人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2024年1月26日

人それぞれ意見があり、世代間ではギャップも生じる

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
  • Line
今シーズン、ファン・ダイクは一度もドリブル突破を許していない。当代随一のCB

今シーズン、ファン・ダイクは一度もドリブル突破を許していない。当代随一のCBだ

「フィルジル・ファン・ダイクってヤツは、つくづく幸運なディフェンダーだと思うよ。なにしろウェイン・ルーニー、ディディエ・ドログバ、ロビン・ファン・ペルシー、アラン・シアラー、ティエリ・アンリ、カルロス・テベス、フランク・ランパードといった凄腕のアタッカーがいない時代を生きているんだからね」

ドイツ代表とチェルシー、レバークーゼンで一世を風靡したミヒャエル・バラックの発言である。当代随一のセンターバックを、バッサリと切って捨てた。

評価は人それぞれだ。正解・不正解は判断するのは難しい。みずからの意見を頑なに信じ、反対する者を「絶対に間違っている」と糾弾する狭量は分断を招く。

いま、世界は極めて危険な方向に向かっているような気がしてならない。

さて、バラックが指摘したように、ルーニーをはじめとする8人のアタッカーはたしかに凄腕だった。だれもが複数年にわたってハイパフォーマンスを維持している。

また、アンディ・コールとドワイト・ヨークの “ホットセット” も一筋縄ではいかず、ナイアル・クインとダンカン・ファーガソンはヘディングだけで飯を食っていた。1990年代後半から10~15年ほどのプレミアリーグに個性的なアタッカーが揃っていたことは、バラックの言葉を借りるまでもない。

では、ファン・ダイクが対峙してきた凄腕アタッカーをチェックしてみよう。ハリー・ケイン、アーリング・ハーランド、ソン・フンミン、ジェイミー・ヴァーディー、ピエール=エメリク・オーバメヤン、そしてセルヒオ・アグエロといったところだ。

たしかに、実績ではバラックの時代が上まわっている。プレミアリーグの歴史を築いた英雄ばかりで、同じ時代を生きた選手に対するリスペクトとみずからのプライドが、冒頭の発言につながったと考えられる。

また、バラックはケイン、ハーランド、ソン、ヴァーディー、オーバメヤン、アグエロの凄さを体験していない。こうした感覚のズレも、ファン・ダイク軽視を招いた一因ではないだろうか。

前述したように評価は人それぞれであり、バラックの発言を大上段に否定するのはアンフェアだ。筆者も歴代ベストイレブンを選ぶなら、DFラインは右からリリアン・テュラム、アレッサンドロ・ネスタ、ファビオ・カンナヴァーロ、パオロ・マルディーニを並べる。1980年代後期から長きにわたってセリエAを支えた彼らの運動能力と戦術理解度は、現代のフットボールでも十分に通用すると信じているからだ。

当然、異論・反論が湧きあがる。最高にクールなDFを知らない世代の皆さんにすれば、チンプンカンプンの人選だ。

でも、それでいいじゃないか。

感銘を受けた選手は個人差があり、世代間ではギャップが生じる。ペレやヨハン・クライフはもちろん、ディエゴ・マラドーナを知らない世代と一緒に仕事をしている。意見を統一するのは不可能だ。完全に一致すると逆に気持ちが悪い。

アジアカップで苦戦する日本代表には、行きすぎたバッシングが降りかかっている。全勝優勝を疑わなかったための感情論ではなにも解決しない。鈴木彩艶に対する差別などもってのほかだ。

周囲の意見を尊重しよう。年長者を敬い、若者に寄り添えさえすればそれでいい。十人十色、百人百様……。多様な価値観があるからこそ、人生は美しい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ