人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2023年9月28日

196センチの体躯を誇る“ヒガシの壁”。東福岡高校・笈西櫂大が極めるのは唯一無二の存在感を放つ守護神への道 【NEXT TEENS FILE.】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
  • Line

東福岡高校・笈西櫂大

着実に成長している実感はある。出会うべきタイミングで出会った偉大な“先輩”の後押しを受け、このゴールキーパーという特別なポジションを極めるため、日々自分と向き合いながら、さらなる飛躍への道を一歩ずつ、丁寧に、力強く進んでいる。

「もっとたくさん練習することで、1つでも多く勝てたらいいなと思いますし、どの試合でもできるだけ最少失点に抑えて、自分がチームを勝たせたいですね。もう“東福岡の壁”と呼ばれるぐらいにまでなって、キーパーでチームを勝たせられる存在になりたいです」。

196センチという恵まれた体躯を誇る“ヒガシの壁”。東福岡高校のゴールマウスを託された笈西櫂大は、唯一無二の存在感を放つ守護神を目指して、あらゆるアタッカーの前に立ちはだかっていく。

9月9日に開催されたプレミアリーグWEST第12節。ホームにヴィッセル神戸U-18を迎えた東福岡は、立ち上がりからやや劣勢を強いられると、いきなり開始6分に決定的なピンチを迎えてしまう。スルーパスに抜け出した相手フォワードとの1対1。だが、ゴールキーパーの笈西はあっという間に距離を詰めると、投げ出した身体でシュートを弾き出してみせる。

2点をリードされた後半にも、難しいコースに飛んできたシュートを2度に渡って笈西がファインセーブで凌ぐと、エネルギーを得たチームは1点を返し、同点を狙って猛攻に打って出る。最終的には1-2で逃げ切られたものの、勇敢なプレーを繰り返す背番号1の躍動が強く印象に残った。

とりわけ夏を過ぎてからは、自身でも進化しつつある手応えは掴んでいるという。「いろいろな大学に練習参加したことが大きいですね。シュートスピードが全然違ったので、今は打ってきそうなコースがだいたい予測できますし、相手が高校生だったらそんなにシュートが速いとは思わなくなりました。それに先輩にもいろいろ教えてもらって、インターハイが終わってから自分としてはプレーが良くなっていると思います」。

さらにこの9月には、東福岡のゴールキーパー陣にとって大き過ぎるトピックスがあった。18シーズンに渡ってプロの世界で活躍し、Jリーグでも250試合を超える公式戦を経験してきた元アビスパ福岡の神山竜一氏が、チームのゴールキーパーコーチに就任したのだ。

「これまでは自分たちでキーパーを研究しながら練習していたんですけど、詰めるべき部分が全部はわかっていなかった中で、神山さんという素晴らしいコーチが来てくれたおかげで、理論的に教えてもらうことができて、自分の調子も上がっていると思います」。

「何より今まではフィールドプレーヤーのコーチしかいなくて、やっぱりキーパーの気持ちを全部わかってもらうのが難しかったんですけど、神山さんは『ここは大丈夫だから』と言ってくれたりして、自分たちの気持ちを安心させてくれるので、そこをわかってくれるのは本当に大きいです」。昔の人も『餅は餅屋』とはよく言ったものだ。やはり『ゴールキーパーにはゴールキーパーコーチ』。経験豊かな“先輩”の教えを、笈西は全力で吸収しようと努力を重ねている。

今年に入ってからは、個人的にも大事な出会いがあったという。「Jリーガーのキーパーの方と話してもらえる機会があって、プロになるための話も聞けたんです。僕の地元の大分で試合があったときに、30分ぐらい話す機会をもらいました」。

プロの世界に身を投じている“先輩”の話は、とにかく刺激的だった。さらに、笈西はある“偶然”についても嬉しそうに明かしてくれた。「実は足のサイズが同じだったので、スパイクももらったんです。凄く嬉しかったですけど、ここからもっと頑張って、将来はあの人を超えていきたいと思います」。笑顔で未来を語る言葉も頼もしい。

プレミアの舞台に立つ日常は、間違いなく自信を纏わせてくれている。「ハイボールの処理はプレミアでも絶対に通用していると思いますし、セービングもある程度は通用しているので、そこには自信を持っています。その中でもっと守備範囲も広げたいなというイメージを持ってやっていますし、今は『キーパーが絶対に守らないといけない』という気持ちが強くなっています」。

目指すのは伝統に彩られたチームの歴史に残る“ヒガシの壁”。周囲の理解の中でかけがえのない出会いに恵まれ、加速度的な成長を遂げている笈西が、このまま努力を重ねる道を歩み続けていくのなら、きっとその先には見たことのない景色が、色鮮やかに広がっているはずだ。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ