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サッカー フットサル コラム 2023年8月15日

サッカーの若者離れが進む理由、プレー以外の時間の長さ

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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久保建英は開幕ゴールでナンバー1であることを証明

久保建英は開幕ゴールでナンバー1であることを証明

サッカーは「タイパ」が悪いのだろうか?

ラ・リーガの開幕節を見ていてそう自問した。

最近の若い人は「90分間の試合は長過ぎて耐えられない」と、スペインでもよく言われるようになった。

ちなみに、のんびりしたこの国には「タイムパフォーマンス(かけた時間に対する満足度)」なんて概念は存在しないのだが、それでも例えばレアル・マドリーのフロレンティーノ会長は「若者離れが進んでいる」と主張している。

「若者には試合が長過ぎるって言うんだ。興味を持ってもらう工夫をするか、試合時間を短くするしかないと、サッカーに未来はない」と。

だからこそ、「欧州スーパーリーグが必要だ」という理屈になるのだが、それは置いといて「90分は長過ぎてしばしば退屈だ」というのは、還暦を過ぎた私ですら実感している。

例えば、ヘタフェ対バルセロナだ。

この試合はロスタイムを含めて116分間続いたのだが、正味のボール・オン・プレーの時間(芝生の上でボールがプレーされている時間)は56分間だった、と『マルカ』紙が報じている。

残りの60分間、つまり試合時間の半分以上は、ファウルだったり、ボールが外に出ていたり、倒れた選手がいたり、審判への抗議があったり、なかなかプレー再開しなかったり、交代で選手が出たり入ったりしてプレーが止まっていた、ということだ。

FIFAは「時間稼ぎを許さない」ということで今季からロスタイムを長く取っている。この試合でも26分間のロスタイムを取った。だが、ロスタイムをいくら取っても正味のプレー時間を増やすことにはならない。

増量では質は向上しないのだ。

元凶はファウルである。

この試合では31回のファウルが犯され、その度にプレーが止まり、審判への「イエロー出せ」という抗議がなされ、痛がる選手の回復待ちや治療をせねばならなかった。

90分間の試合のはずが実際には2時間近く続き、そのうち正味サッカーをしていたのは1時間というのは「タイパは最悪」で、「苦行」に近い。サッカーを離れていくのは若者だけではないだろう。

日本のみなさんはソシエダ対ジローナはどう見ましたか? 久保建英の開幕ゴールとMVPは彼が変わらずナンバー1であることの証明だった。

が、試合自体は中断ばかりで楽しめなかった。電光石火のパス交換やドリブルで抜け出し、さあチャンスだ、と思う間もなく倒される。で、アピールと痛みの回復待ち……。

数えてみたら、こちらのファウル数も31だった。ソシエダは22ものファウルを犯し、その大半が「戦術的ファウル」だった。

ボールをロストしカウンターを喰いそうになると、シャツを引っ張ったり、足を引っかけたりする。失点よりもファウルやイエローの方が安くつくから。倍速視聴した人がいてもおかしくない内容だった。

ピケが主催し、10代と20代に大人気の“サッカーエンタテインメント”「キングス・リーグ」は20分ハーフで抗議は禁止、負傷者は外に出され代わりの選手を入れて再開される。交代はプレー時間中に自由に何度でもできる。

つまり、ピケは“だらだらした長い試合がサッカーをつまらなくしている”と考えているわけだ。で、キングス・リーグの試合の視聴者数はしばしばラ・リーガのそれを超える。

サッカーは何かをすべき時にきているのかもしれない。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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