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サッカー フットサル コラム 2023年8月1日

強豪スペインを4-0で撃破!高精度カウンターを牽引した遠藤純 「走ることでチームを支えよう、と思うようになった」

サッカーニュース by 松原渓
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強豪国スペインに4-0。ワールドカップ初の3連勝スタートを切ったなでしこジャパンが、グループステージ1位突破を決めた。

スペインの強力なサイドアタックを5バックで封じ、7本のシュートで4得点。その鋭いカウンターアタックを左サイドで牽引したのがMF遠藤純だ。初戦のザンビア戦で1ゴール1アシストと結果を残した遠藤は、この試合も立ち上がりから躍動した。

前半8分、自陣のタッチライン際で相手のプレスをダブルタッチでかわすと、カバーに入った2人の相手を巧みなターンでかわし、前につないだ。2万人を超える観客がどっと沸いた。

「スペインの選手は、(ボールを奪おうと)足を出した時にボールを引くプレーが上手なので、よく観察して、間合いはかなり意識しました。自分が左利きだと相手もわかっていたので、取られる前に逆にボールを引いたり、工夫しました」

違いを見せたのは、警戒されていた利き足だった。12分、タッチライン際でDF熊谷紗希のパスを柔らかくトラップ。対峙したDFオナ・バトレは、縦へのドリブルと中へのパスを警戒して間合いを開けていたが、遠藤は次の瞬間に左足を一閃。MF宮澤ひなたには、わかっていた。

「純が持った時に、パスが出てくるな、という持ち方をしていたので」

鋭く内側にカーブしたクロスが敵陣を切り裂く。スペインの高いラインの背後をついて宮澤とFW植木理子が全力で駆け上がり、美しいカウンターから宮澤のゴールが決まった。

守備でも、大きな仕事を果たした。左サイドでマッチアップしたのは、19歳の若きスピードスター・FWサルマ・パラルエロ。周りと連係して、彼女に決定的な仕事をひとつもさせなかった。

「(パラルエロ選手は)自分と同じ左利きだったので負けたくなかったし、左で持った時にやられたくない守備の仕方はわかっているので。裏に抜けられてしまった場面もありましたが、(南)萌華さんのカバーや守備陣のスライドが速くて、すごく効いていたと思います」

50分には、快足を生かして前線で相手の横パスをかっさらい、ビッグチャンスを創出。84分にピッチを退く際には、スタジアムが大きな歓声と拍手に包まれた。

【2度目のワールドカップでスケールアップした輝き】

今大会は、遠藤にとって2度目のワールドカップとなる。初出場した4年前のフランス大会は、当時最年少の19歳だった。

2戦目のスコットランド戦でFW岩渕真奈の先制点をアシストしたが、ベスト16敗退。悔しさが、新たな原動力になった。そこからの4年で、プレーは驚くほどスケールアップしている。

WEリーグの日テレ・東京ヴェルディベレーザでは、左サイドバックや右サイドなど、様々なポジションを経験して判断力を磨き、2021年12月に、NWSL(米女子プロサッカーリーグ)挑戦を発表。

世界最高峰のリーグでも持ち前の負けず嫌いや胆力で、存在感を示している。鮮やかなピンクヘアーも、プレーの個性を際立たせる。

アメリカでの1年半で、遠藤は自身の成長を実感しているという。

ゴールが見えたら積極的に足を振るようになり、シュートレンジが広がった。筋トレに励み、スピードも向上。フェイントを交えた仕掛けのパターンが広がり、1対1の勝率も上がった。移籍から1年が経った今年3月のインタビューで、遠藤はこう話していた。

「体が大きい選手が多いので対等に当たったら負けますが、タイミングを少しずらすだけで勝てることがあるし、日本と比べて相手のリーチが長い分、逆にフェイクした時に相手の重心が完全にずれるので。その瞬間を狙って相手の背後に向かってドリブルをしてみたり、いろいろ研究しました」

その中でも、一番の変化は運動量だという。所属するエンジェル・シティーFCでは、サイドから中央まで、流れの中で柔軟にこなす。攻撃で味方が開けた大きなスペースをいち早くカバーするなど黒子役を献身的にこなし、試合中の走行距離は毎試合上位に入るようになった。

「走ることでチームを支えよう、と思うようになったのは、大きな変化だと思います」

今回のスペイン戦も、相当な距離を走った。試合後は「正直、きつかったです」と苦笑したが、4年前とは責任感の強さも違う。そして、心の支えもある。

ワールドカップメンバー発表前の5月のリーグ戦で左膝を負傷し、焦りやプレッシャーが押し寄せた。だが、アメリカのチームメートやスタッフに支えられて信じてリハビリに取り組み、本番に間に合わせた。

「代表のピッチに立つ自信はありました。いろんな人に支えてもらったので、感謝しながら結果で恩返ししたい。今の状態はすごくいいので、試合を通してパフォーマンスを上げていきたいです」

大会の2週間前にそう話していた遠藤は、その言葉を自分の活躍で証明している。

ここからは負ければ終わりのノックアウトステージ。最高の舞台でさらに輝きを放つチャンスは、まだまだある。

文・写真:松原渓
松原渓

松原渓

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。

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