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ただ、ワールドカップ本番で強豪と戦うなら、さらに一段とギアを上げていく必要がある。
パナマ戦では、高い位置からプレスをかけて中盤で相手を囲い込んで狙い通りの位置でボールを奪うことができていた。
だが、それはパナマとのチーム力の差のおかげでもあった。プレッシングの強度がそれほど高くなくても、パナマの選手がミスを引き起こしてくれていたからだ。
最新の(6月9日付の)FIFAランキングによれば、日本は11位でパナマは52位。それだけの差があったのだ。
男子の(6月29日付の)ランキングでは日本は20位。そして、52位を見るとアイルランドが位置している。
男子の日本代表がアイルランドと対戦したとしても、そう簡単には勝てないだろう。ちなみに、51位はコートジボワール、53位はサウジアラビア。いずれも強敵であることは間違いない。
つまり、女子の場合は男子よりもランキングの上位と下位の実力差が大きいのである。ランキング20位のチームが10位以内の国に勝つことは、相当難しい。パナマ戦の「完勝」を評価する時には、その点も考慮する必要がある。
ただ、幸いなことに女子ワールドカップで日本が初戦で対戦するのはFIFAランキング77位とパナマよりもかなり下にいるザンビアであり、2戦目も36位と日本にとって“格下”に当たるコスタリカだ(ザンビアが準備試合でドイツに勝っているというのは不気味な情報だが)。
もし、FIFAランキングはかなり信用していいものだとすれば、日本はグループリーグでまず2勝できる公算が大きい。格下との対戦ではあるが、ワールドカップ本大会という緊張感を伴う2ゲームを通じてプレー強度を上げて、そして3戦目に強豪(ランキング6位)のスペインと対戦できる。
その時点で日本もスペインもすでに2勝してグループリーグ突破を決めている可能性も高いが、そうなれば、比較的楽な精神状態で対戦して、さらに調子を上げることもできる。
こうして、日本代表はグループリーグ3戦を通じてチームをベストの状態に持って行って、ラウンド16以降の戦いに備えることができるのだ。
この恵まれたスケジュールをうまく利用して、ザンビア、コスタリカ、スペインとの3戦をどのように戦ってチーム状態を上げていくのか……。それが、今大会の目標であるベスト4進出のために非常に大事になるはずだ。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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