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もともとFWで一時はSBとして起用されることが多かった清家は、今シーズンはSH、あるいはFWとしてプレーして、そのスピードとフィジカルの強さを見せている。
中盤のどこでもできる塩越柚歩はサイズを生かしてスケール感の大きなプレーが魅力だし、不動のボランチとして浦和の中盤を支え続けてきたキャプテンの柴田華絵はまさにいぶし銀。派手なスルーパスを出すことはないが、相手の攻撃を読み切ってピンチを未然に防ぎ、また長短のシンプルなパスを使って攻撃のリズムを整える。そう、男子日本代表で長く活躍した遠藤保仁のようなプレーヤーだ。
今シーズンは、DFの南萌華が開幕前に海外(ASローマ)に移籍してCBに不安があった浦和だが、19歳の石川璃音が安定したプレーを見せ、そして、40歳の大ベテランで本来は俊足FWだった安藤梢が初めてCBというポジションに挑戦して見事なプレーでCBという重要なポジションを埋めた。安藤は、優勝が決まった大宮戦でもフル出場し、終盤の88分に大宮がサイド攻撃からビッグチャンスを作りかけた場面でも、タッチライン際までカバーして見事なスライディングでピンチを防いで見せた。
シーズン開幕当初は、昨年までと同様にこうした各選手の「個の力」で相手を圧倒するような試合が多かったのだが、優勝を決めた大宮戦では「目がそろった」プレーで完勝。チームとしてのまとまりが感じられた。
試合後のフラッシュインタビューで楠瀬直樹監督は「大人の選手たちが自分たちで作ったチームだ」という趣旨の発言をしていたが、サッカーという競技を追求するベテランの安藤や中堅の柴田、猶本らを中心にチームが熟成してきていることを強く感じさせる大宮戦だった。
アジア・サッカー連盟(AFC)は2023年から女子のチャンピオンズリーグ(ACL)を創設すると発表したことがある。まだ、開催は本決まりになってはいないが、もし今シーズンから女子ACLが発足するとしたら、浦和レッズレディースは有力な優勝候補となるはずだ。
そして、もし、浦和レディースが女子ACLで優勝できたとしたら、浦和レッズは男女のACLタイトルを同時に保持するという、とんでもない記録を達成することになるのだが……。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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