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サッカー フットサル コラム 2023年5月29日

「第18条」の復活を熱望する 最近のジャッジは硬直化しすぎているのでは?

後藤健生コラム by 後藤 健生
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もちろん、あの位置で無理なタックルを仕掛ける必要はなかったし、タックルでボールを奪える可能性も低かったので、脇坂の判断が誤りだったのは間違いないし、反則なのも間違いない。イエローカードが出されても仕方のないプレーだ。

だが、それが一発レッドだとは僕には思えない。

では、なぜあのプレーに対してレッドカードが出たのか? それは「足裏が当たれば自動的、機械的に退場」という判断だったのではなかろうか?

最近、問題となるジャッジのかなりの部分が、この「自動的、機械的」な処分が原因となっている。

ボールが手に当たった。そして、腕を体から離していた。だから自動的にハンドとされる、といったケースだ。

ハンドの判定の場合、昔は選手の「意図」が問題になったが、審判員が「意図」を読み取るのは不可能だという理由で、現在では「意図」については考慮されない。腕の広げ方やボールの強さなどで自動的にハンドリングの反則が取られ、それがエリア内であればPKとなる。

しかも、それが肉眼では見えない程度の軽い接触でもVAR明らかにされてしまうのだ。

僕には、本来はやはり「第18条」が必要な気がする。

足裏が入っていても、その衝撃が大きくなく、大きな危険がないのなら警告でいいし、たとえ広げた腕にボールが当たっても、DFがスライディングをする際にバランスを取るために広げた自然な動きであればハンドを取るべきではない。

それが「常識」なのではないのか?

退場処分は試合の流れに大きな影響を及ぼし、結果的に高額な入場料を払って観戦に来た観客の楽しみを減らすことになる(あの試合で川崎が敗れたのは脇坂の退場のせいではないが、11人同士の試合だったら川崎がどのように流れを立て直したかはぜひ見たかった)。

つまり、退場は試合の娯楽性を著しく損なうのだ(稀には、退場によって試合が動き出すこともあるが)。だから、なるべくなら退場はなしですますべきだ(相手に危険を与える行為などはもちろん厳罰に処するべきだが)。

誤解していただきたくないのは、僕は現場でジャッジを担当している審判員の方々を批判しているのではないということだ。審判の方々は国際サッカー評議会(IFAB)が決めた規則の通りにジャッジしているだけだ。

僕が言いたいのは、競技規則やその解釈が最近あまりにも硬直化していたり、些細なことに囚われ過ぎているのではないかということだ。

何分もかけて一所懸命に赤や青のラインを引いて些細なオフサイドを探し出してせっかくの“ゴラッソ”を取り消すなんていうのは愚の骨頂。

VARが何のために存在するのか……。それは、「明らかな誤審」を防ぐことのためでしかない。「第18条」の復活を強く希望する次第である。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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