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2年ぶりの再会はプレミアの舞台で。関東の実力者対決 昌平高校×川崎フロンターレU-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグEAST第6節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史昌平高校・大谷湊斗
今シーズンからプレミアリーグの舞台へ初参戦を果たしている昌平高校。開幕戦でFC東京U-18と1-1で引き分けると、第2節でも柏レイソルU-18と1-1のドロー決着。第3節こそ横浜F・マリノスユース相手に黒星を喫したものの、続く第4節では大宮アルディージャU18に2-0で競り勝ち、記念すべきプレミア初勝利を手繰り寄せた。
前節で対峙したのは流通経済大柏高校。チームを率いる藤島崇之監督にとっては、習志野高校時代の2学年上に当たる榎本雅大監督との対戦でもあったが、結果は0-2での敗戦。“先輩”の意地に屈する格好となり、現状は1勝2分け2敗の8位とやや苦しい序盤戦となっている。
一方の川崎フロンターレU-18は、ここまで3勝2分けという成績で2位。EAST、WEST通じて唯一となる無敗を続けている。フロンタウン生田のこけら落としとなった開幕戦で前橋育英高校に3-0と快勝。第2節の流通経済大柏戦は後半アディショナルタイムに失点を喫し、勝ち点1を分け合ったが、そこから大宮U18、尚志高校と激突した2試合で連勝を飾ってみせた。
だが、前節の市立船橋高校戦は87分に香取武のゴールで勝ち越すも、90+3分に同点弾を献上し、結果は2-2のドロー。流通経済大柏戦に続いて最終盤での失点で追い付かれており、ゲームクローズの部分に課題が残ったことは否めない。
この一戦では2つのポジションにスポットを当てたいと思う。まずは守備の要のセンターバック。キャプテンの石川穂高と最終ラインでコンビを組む、昌平の“門番”は佐怒賀大門だ。身長は172センチと決して大きくはないが、鋭い読みと対人の強さを生かした高い守備力を有し、チームの要所を任されるにふさわしい実力者だ。
思い出すのは昨年のインターハイ。準々決勝でキャプテンの津久井佳祐(現・鹿島アントラーズ)が負傷離脱したことを受け、センターバックの代役には佐怒賀が指名される。帝京高校と激突した準決勝の試合前に藤島監督が「佐怒賀はサッカー観があるので、面白いと思いますよ」と話した通り、素晴らしいパフォーマンスで相手の強力アタッカー陣に対抗。結果的に試合は敗れたが、代役以上の出来を見せたクオリティは、レギュラーを掴んだ今季も随所に現れている。
川崎U-18のディフェンスリーダーは土屋櫂大。昨シーズンのプレミア終盤戦は左サイドバックで定位置を掴むと、国立競技場で開催されたプレミアリーグプレーオフも経験。「本職はセンターバックですけど、サイドバックも含めて後ろの4枚はどこでもやれるというのも自分の強みだと思っています」とは本人だが、今シーズンは開幕から継続してセンターバックの一角を担っている。
EAST王者に輝いた2022年のチームで、センターバックコンビを組んでいた高井幸大と松長根悠仁は揃ってトップチームへ昇格。「去年は高井くんとナガネさんがいて、2人を目標としてはいるんですけど、やっぱりそこに追い付かないといけないですし、2人を超えていけたらなと思っています」と言い切る5番のセンターバックの出来が、勝敗のカギを握ることは間違いない。
もう1つの注目ポイントは“トップ下”を主戦場に置くアタッカーだ。昌平の1トップ下を務めるのは大谷湊斗。既に昨年度の高校選手権でも全国の舞台でそのポジションに配されていたタレントは、2列目ならどこでもできるポリバレントさも魅力。前節も前半は1トップ下で、後半は左サイドハーフで起用されており、その汎用性がチームの幅を広げている。
小学生時代は大阪の高槻南AFCでプレーしていたが、中学時代は全寮制を敷く山梨のアメージングアカデミーで、その実力に磨きを掛け、高校は埼玉の強豪へと進学してきた。2つ歳上の兄、彩斗は東山高校で昨年度の高校選手権準優勝メンバーに名を連ねるなど、サッカー一家ぶりも注目を集めている16歳が、ゴール前で発揮するテクニックとアイデアに是非注目してほしい。
今シーズンの川崎U-18の1.5列目は、尾川丈が一貫して託されている。EAST王者となった昨シーズンは、右サイドハーフの位置からするすると中央のスペースに潜り、効果的な仕事を淡々とこなす姿も印象的。それでも、より中でプレーする時間が増えたことで、怖さも増しているように見える。
トップチームへと昇格した大関友翔から譲り受けた10番は、三笘薫や田中碧も背負ったチーム伝統のエースナンバー。ただ、本人は「プレッシャーはあるが、背負い過ぎずにやっていきたい」と言及。1トップに入る岡崎寅太郎との連携も良好な“新10番”にも、やはり攻撃面で違いを見せることが義務付けられていると言っていいだろう。
両者はプリンスリーグ関東で過去に4度対戦。2021年の対戦では、当時1年生だった小田晄平が2ゴールを奪い、昌平が勝利を収めているが、通算成績では川崎U-18が3勝1敗と勝ち越しており、2015年の対戦時には若き日の三笘も得点を記録している。
2年越しで再会する舞台は、プリンスリーグからプレミアリーグに変わった。攻撃面に特徴を持つ両雄だけに、今回の一戦でもお互いにアグレッシブな持ち味を披露する、激しい打ち合いを是非期待したい。
川崎フロンターレU-18・尾川丈
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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