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だが、中盤をベレーザに制圧されてしまったことで、サイド攻撃も不発となってしまった。朴康造(パク・カンジョ)監督は、「中盤でボールを動かすことなく、すぐにサイドにボールを突っ込んでしまった」と表現したが、そうした状況になってしまったのは、ベレーザの中盤での激しいプレッシングでボールを落ち着かせることができなかったからだろう。
こうして、スコアレスのまま試合は後半に突入したが、後半の立ち上がりも前半と同様、ベレーザが押し込む形が続いた。だが、60分を過ぎるころからともに足が止まり始めて、ゲームの流れが変わってくる。同時に、I神戸はトップに高瀬愛実も投入して攻撃の厚みを増す。さらに、ハーフタイムに朴監督からの指示もあり、I神戸がうまくサイド攻撃を使うシーンも増えてくる。
流れは、大きく変わった。
63分に中盤で縦へのパスがつながって、そこから右サイドに開いて守屋がクロスを入れる場面があったが、その4分後、I神戸は再び右サイドから攻撃を展開。守屋のクロスは一度は跳ね返されてしまったが、再び守屋にボールが渡って、守屋からの速いクロスを入れると逆サイドから詰めてきた小山がヘディングで決めてI神戸が先制した。
なかなか形が作れなかったものの、結局、最終的に決めたのはやはり両サイドのウィングバックによる形だった。
I神戸の先制ゴールの後、71分にはベレーザの中盤で攻撃の起点を作っていた木下が筋肉系の故障のために交代を余儀なくされてしまう。だが、それでも長いパスを使って迫力ある攻撃を繰り返したベレーザは、植木のシュートによって獲得した右CKから宮川が決めて同点に追いついた。
こうして、90分間の激しい攻防を終えて、試合は1対1の引き分けに終わった。この結果、同時刻に行われた試合で勝利した三菱重工浦和レッドダイヤモンズレディースが首位に立って「前期」を折り返すことになったが、浦和とI神戸の勝点差はわずかに1ポイントの差。これからも、激しい試合が展開されることだろう。そして、それが日本の女子サッカーのさらなる飛躍につながるといいのだが……。
2022年10月に開幕した2シーズン目のWEリーグ。皇后杯や代表の活動のため中断期間も長かったが、「後期」に入るとほとんど中断なしに6月10日の最終節までの攻防が続く。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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