人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2023年2月1日

マドリード戦で活躍の久保建英 「緩急の使い分け」こそ、日本選手にとっての大きな武器

後藤健生コラム by 後藤 健生
  • Line

ああした「緩急の使い分け」は、これからヨーロッパのクラブでプレーする日本人選手にとっては大きな武器となるに違いない。

明治時代に西洋式の近代スポーツを取り入れた日本のスポーツ界は、「西洋人に比べて日本人はフィジカル的に劣る」ということを前提に戦ってきた。

だが、多くの日本人フットボーラーが各国リーグの上位チームで活躍し、日本代表がワールドカップでベストエイト以上を目指すように、現在では「フィジカルが弱い」などという言い訳は通用しない。野球界では大谷翔平がメジャー選手に対してフィジカル的に優位に立っているし、パワーが必要なラグビーでも日本代表が世界のトップに肉薄している。

しかし、それでも爆発的な瞬発力とかスプリント能力といった分野では、やはりたとえばアフリカ系の選手たちに勝つことは難しいだろう。

従って、日本人選手はやはりアジリティーや持久力、そして「緩急の使い分け」を武器にして戦うべきなのだ。

久保がレアル・マドリード相手に奮闘する数時間前には、イングランドのFAカップでブライトンの三笘薫がリヴァプール撃破の立役者になった。

アディショナルタイムのスーパーゴールはまさに彼のテクニックの高さを示したものだったし、イングランド代表のサイドバック、トレント・アレクサンダー=アーノルドをドリブルで翻弄する場面は何度もあった。

後半の立ち上がりにアレクサンダー=アーノルドをかわして深い位置まで持ち込んでクロスを入れた場面では、やはり「緩急の変化」が武器になっていた。ほとんど止まった状態からの急加速に、イングランド代表はまったくついていけなかったのだ。

三笘薫は小学校時代から高校卒業まで川崎フロンターレの下部組織で育った選手である(その後、筑波大学を経て川崎に入団)。また、久保もバルセロナに渡る前の小学生時代に川崎のU-10に所属していた。

その川崎のサッカーはパスをつなぐポゼッション・サッカー。全速力で走るだけではなく、立ち止まった状態でもほんの少し位置を変えるだけで相手のマークから逃れられる。走るだけでなく、逆に動かないことも武器になるという考え方で貫かれている。

最近の6年間でJ1優勝が4回というトップチームの試合を見ていても、そのことはよく理解できる。そして、カタール・ワールドカップに出場した日本代表にも川崎育ちの選手が数多く参加し、彼らの間で共有されているそうした「緩急」を使い分ける感覚が代表の武器の一つになった。

間もなく開幕するJリーグで王座奪還を目指す川崎では、今シーズンから24歳の若きMF橘田健人がキャプテンに指名された。俊足と運動量を武器とするこの期待のMFが「緩急」の使い分けや動きを止めることを覚えたら、川崎にとっての新しい武器となるはずだ。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ