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ヤマハ決戦のキーマンは後半戦の絶好調ストライカー、舩橋京汰と山下基成だ!ジュビロ磐田U-18×大津高校マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第21節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史
前田遼一監督を新指揮官に据えて、2022年シーズンのプレミアリーグをスタートさせたジュビロ磐田U-18。開幕戦で前年度王者・サンフレッチェ広島ユースをアウェイで3-1と撃破すると、続く清水エスパルスユースとの静岡ダービーも、試合終盤の決勝点で堂々勝利。さらに名古屋グランパスU-18にも逆転で競り勝ち、開幕3連勝を達成。夏の中断に入る前の前半戦は7勝3敗と好調をキープし、首位争いを演じてみせる。
ただ、最近はやや停滞した時期を強いられている。第18節のヴィッセル神戸U-18戦、第19節の履正社高校戦は連敗。次戦のガンバ大阪ユース戦には9-1で大勝を収めるも、ここ2試合の清水ユース戦と静岡学園高校戦は、いずれもリードして迎えた後半アディショナルタイムの失点で、ともに痛恨のドローを喫し、“勝ち点4”を失う結果に。それでも、首位と勝ち点1差の3位に付けており、優勝の可能性は十分に残されている。
一方、アウェイゲームに臨む公立の雄・大津高校は絶好調と言っていいだろう。9月は2分け2敗とやや苦しんだものの、第16節の清水ユース戦で5試合ぶりの白星を掴むと、そこから名古屋U-18、G大阪ユース、セレッソ大阪U-18を相次いでなぎ倒し、前節の東福岡高校戦も2-0で快勝して怒涛の5連勝を達成。完全に残留争いから抜け出している。
磐田U-18は得点ランキング10傑に2人の選手が入っている。1人は12ゴールの伊藤猛志だ。開幕から5戦連発といきなりフルスロットル。とりわけ第7節のヤマハスタジアムで神戸U-18相手に叩き込んだドライブシュートは、しばらくスタンドのざわめきが収まらないレベルのスーパーゴール。以降も順調に得点を重ねていたが、中断以降は負傷離脱を余儀なくされた。
もう1人は10ゴールの後藤啓介。チームを勝利に導く重要なゴールを決める勝負強さも発揮してきた長身アタッカーは、それでも途中出場が多く、完全なレギュラー奪取には至っていない。その中で9月以降のサックスブルーの前線を牽引してきたのが、2年生ストライカーの舩橋京汰だ。
そのひたむきプレースタイルに対する前田監督の評価は高く、伊藤の2ゴールと後藤の追加点で勝利を収めた前述の神戸U-18戦でも、試合後には「ゴールは決めていなかったですけど、舩橋京汰は90分間攻守に渡って献身的にプレーしていたので、そのプレーが勝利に繋がったかなと思います」と明言するほど。とはいえ、わずか1ゴールに終わった前半戦の出来に本人が満足していたはずもない。
ところが、後半戦は一気に得点力が開花。10試合で8ゴールを積み上げ、チームの得点源へと成長を遂げる。抜群のスピードを生かし、ラインの裏に抜け出して奪うゴールパターンが印象的だが、エリア内でのリフティングからボレーを沈めたC大阪U-18戦の一撃には、思わず試合を撮影していた選手も「エグっ!」と呟くほど、確実に進化を続けている。この試合でも相手陣内を切り裂く11番の躍動感には期待大だ。
大津の前線には、昨年度のチームからエースを務めている小林俊瑛が力強くそびえ立つ。今シーズンはキャプテンも務め、中心選手としての自覚も十分。プレミアでも11ゴールを記録し、現時点で得点ランキング6位に食い込むなど、上位を窺うブルー軍団にとって、このストライカーの存在が必要不可欠であることは言うまでもない。
そして、ここに来てフォワードの定位置を確保し、好調を彩る主役の1人へと躍り出たのが山下基成だ。リーグ前半戦はベンチスタートの試合も多く、1ゴールを挙げたのみだったが、夏のインターハイで好パフォーマンスを披露すると、中断明けは2トップの一角に起用されることが増え、そのままレギュラーに定着。11試合で6ゴールと、2試合に1点以上のペースで得点を重ねている。
参考にしている選手は日本代表の上田綺世。エリア内の際どい局面にも恐れることなく飛び込む勇気と、点に直結しそうなポイントを嗅ぎ分ける感覚を生かしたワンタッチゴールが特徴的。また、「俊瑛が競った後のこぼれ球はだいたいわかります」と言い切るように、小林とのコンビネーションも日々向上中。2人は学校のクラスも同じということで、「ピッチ外でも結構仲は良いです」と山下。日常から共有する時間も、好連携の要因なのかもしれない。
4月から始まったプレミアリーグも残されたのは2節のみ。伊藤と小林が絡んでいる得点王争いももちろん気になるが、9月以降のチームに確かな結果で貢献してきた2人のフォワード、舩橋と山下がここからどれだけゴールを叩き出すかにも、大いに注目していきたい。
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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